著者:サト母
ワーキングマザー「サト母」がおくる、等身大のエッセイを不定期で連載。
日常の中にある出来事を、母の目線から切り取っています。
著者:サト母
ワーキングマザー「サト母」がおくる、等身大のエッセイを不定期で連載。
日常の中にある出来事を、母の目線から切り取っています。
息子が、クイズを覚えた。
クイズを聞いて答える、読んで答えることは保育園のときからできている。
小学生になった息子が覚えたのは、クイズの出題だ。
息子は少し発達が遅めである。その話は追って書こうと思うのだが、小学校1年の半年で、ひらがなとカタカナを覚え7割くらいは書けるようになった。
そんな息子の最近のブームとなっているのが、私にクイズを出してくることだ。
ある日、帰宅し家事をしていたら息子に呼び止められた。
テーブルにスケッチブックを開くと、彼はこう切り出す。
「ママ、クイズです!」
家事の手を止めて付き合おうと、彼のスケッチブックを覗く。
覚えたカタカナを得意気に、
『クイズ』
としたためている。
字の形はまだまだ崩れかけており、まっすぐでもないが、きちんと読める字ではある。
『クイズ』と書けたところで、息子はキラキラした目で私を見るなり、出題がはじまった。
「ママ! もんだいです。おさるが すきなものは なんでしょう?」
なるほど、彼なりに工夫したクイズである。
問題は長いためかスケッチブックに書かれず、彼は読み上げるのみだった。
そして答えを言おうかなと思うと、スケッチブックに文字を書き始めた。
『①』
スケッチブックに息子が記載し、声を出す。
「えーっと、いちばん!」
どうやら選択式の問題らしい。
続いて書いてあった文字は、
『ばナナ』
なるほど、バナナ。
ひらがなとカタカナが混ざるも、まあちゃんと伝えたいことは書けているから合格点だろう。
そして、これが回答だろうと思うも、選択肢問題のようなので次の選択肢を待つ。
「いちばん、バナナ」
改めて1番目の選択肢を読み上げた後、クイズは続く。
「にばん!」
「……」
「…………」
いやいや、息子よ、遠く見てる場合じゃなくてさ、2番の選択肢は?
ツッコもうか悩みつつも眺めていると、あちこち見ながら2番の選択肢を、今、考えている。
問題はもう出している、1番の選択肢はすぐに書けている。
しかし、2番目以降の選択肢は今、問題も一番の選択肢も出し終えたまさに今、探しているところだ。
これもう答え1番で決まりじゃん!
出題の進め方でバレちゃってるよ息子!!!
おさるが好きそうなものはもう言ってるから、ちょっと違うもの言えばいいんじゃないかな、車とか洋服とか文明っぽいものならいいんじゃないかな。
おさるのジョージでも洋服着てないし、いい選択肢だと思うなぁ。
いろいろと思うことがあるも、息子は2,3分悩んでから気づいたかのようでこう書いた。
『② チシコ』
?!?!???!
何て書こうとしたのこれ?
ちょっとどうツッコんだらいいの、どうしよう、こういうこと書くなとか注意したらいい?
いろいろ脳裏をよぎったところで息子が声を出した。
「にばん、チョコ。 さあ、なんでしょうかー?」
そうだった、これは二択のクイズだった。
1番の選択肢から謎の間をおいての2番の提示。
そして2番はまさかの誤字選択肢。
正解は絶対1番だし…… これはどう答えたらいいかな。
少し悩むそぶりを見せつつ、私が口を開いた。
私「おさるは、やっぱりバナナでしょ、いちばん!」
息子はニヤリとした目でこちらを見る。
ちょっとだけ溜めつつ、スケッチブックの選択肢に×と○を書いてこう言った。
「せいかいはぁ~~~~~ いちばんでしたー! ママ、まるー!!」
世界一簡単なクイズ。
だけど息子が自ら考え、出題したオリジナルクイズ。
私は正解の丸をもらったけど、息子にも花丸つけておきますか。