息子クイズ -サト母の『子育てラクじゃありません!』-

公開日:2022/10/18

息子クイズ -サト母の『子育てラクじゃありません!』-

著者:サト母

ワーキングマザー「サト母」がおくる、等身大のエッセイを不定期で連載。

日常の中にある出来事を、母の目線から切り取っています。

息子が、クイズを覚えた。

クイズを聞いて答える、読んで答えることは保育園のときからできている。

小学生になった息子が覚えたのは、クイズの出題だ。

 

息子は少し発達が遅めである。その話は追って書こうと思うのだが、小学校1年の半年で、ひらがなとカタカナを覚え7割くらいは書けるようになった。

そんな息子の最近のブームとなっているのが、私にクイズを出してくることだ。

 

ある日、帰宅し家事をしていたら息子に呼び止められた。

テーブルにスケッチブックを開くと、彼はこう切り出す。

 

「ママ、クイズです!」

家事の手を止めて付き合おうと、彼のスケッチブックを覗く。

覚えたカタカナを得意気に、

『クイズ』

としたためている。

字の形はまだまだ崩れかけており、まっすぐでもないが、きちんと読める字ではある。

『クイズ』と書けたところで、息子はキラキラした目で私を見るなり、出題がはじまった。

 

「ママ! もんだいです。おさるが すきなものは なんでしょう?」

 

なるほど、彼なりに工夫したクイズである。

問題は長いためかスケッチブックに書かれず、彼は読み上げるのみだった。

そして答えを言おうかなと思うと、スケッチブックに文字を書き始めた。

 

『①』

 

スケッチブックに息子が記載し、声を出す。

 

「えーっと、いちばん!」

 

どうやら選択式の問題らしい。

続いて書いてあった文字は、

 

『ばナナ』

 

なるほど、バナナ。

ひらがなとカタカナが混ざるも、まあちゃんと伝えたいことは書けているから合格点だろう。

そして、これが回答だろうと思うも、選択肢問題のようなので次の選択肢を待つ。

 

「いちばん、バナナ」

 

改めて1番目の選択肢を読み上げた後、クイズは続く。

 

「にばん!」

 

「……」

 

「…………」

 

いやいや、息子よ、遠く見てる場合じゃなくてさ、2番の選択肢は?

ツッコもうか悩みつつも眺めていると、あちこち見ながら2番の選択肢を、今、考えている。

問題はもう出している、1番の選択肢はすぐに書けている。

しかし、2番目以降の選択肢は今、問題も一番の選択肢も出し終えたまさに今、探しているところだ。

これもう答え1番で決まりじゃん!

出題の進め方でバレちゃってるよ息子!!!

おさるが好きそうなものはもう言ってるから、ちょっと違うもの言えばいいんじゃないかな、車とか洋服とか文明っぽいものならいいんじゃないかな。

おさるのジョージでも洋服着てないし、いい選択肢だと思うなぁ。

 

いろいろと思うことがあるも、息子は2,3分悩んでから気づいたかのようでこう書いた。

 

『② チシコ』

 

?!?!???!

何て書こうとしたのこれ?

ちょっとどうツッコんだらいいの、どうしよう、こういうこと書くなとか注意したらいい?

いろいろ脳裏をよぎったところで息子が声を出した。

 

「にばん、チョコ。 さあ、なんでしょうかー?」

 

そうだった、これは二択のクイズだった。

1番の選択肢から謎の間をおいての2番の提示。

そして2番はまさかの誤字選択肢。

正解は絶対1番だし…… これはどう答えたらいいかな。

少し悩むそぶりを見せつつ、私が口を開いた。

 

私「おさるは、やっぱりバナナでしょ、いちばん!」

 

息子はニヤリとした目でこちらを見る。

ちょっとだけ溜めつつ、スケッチブックの選択肢に×と○を書いてこう言った。

 

「せいかいはぁ~~~~~ いちばんでしたー! ママ、まるー!!」

 

世界一簡単なクイズ。

だけど息子が自ら考え、出題したオリジナルクイズ。

私は正解の丸をもらったけど、息子にも花丸つけておきますか。

まとめ

ワーキングマザー「サト母」がおくる、等身大のエッセイを不定期で連載。

日常の中にある出来事を、母の目線から切り取っています。

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