「本は人生を豊かにする」という言葉、たびたび耳にしますよね。読書好きであれば、本がもたらしてくれるさまざまなメリットを感じていると思いますが、デジタルネイティブと呼ばれる今の子どもたちは、読書の習慣がないことも珍しくありません。まさに我が子もそうです。そこで今回は、まもなく始まる読書週間に親子で読みたいおすすめの本を紹介します。
今年の読書週間はいつ? 意味や由来は?
読書週間とは、毎年“文化の日”を挟んだ10月27日〜11月9日までの2週間の期間を指します。始まりは終戦からわずか2年後の1947年、まだ戦争の傷跡が各地に残っていた当時、「読書の力によって、平和な文化国家を創ろう」と出版社、取次会社、書店と図書館が力を合わせて、新聞や放送のマスコミも一緒になり、第1回「読書週間」が開かれました。それから70年以上が過ぎ、「読書週間」は日本中に広がり、日本は世界のなかでも特に「本を読む国民」の国となりました。
読書週間のねらいって?
読書週間を本に親しむきっかけにしてほしいと、公益社団法人 読書推進運動協議会は次の3点をねらいとして挙げています。
ねらい① 読書への興味や関心を高め、すすんで本を読もうとする意欲をもつ
ねらい② 読書の楽しさやすばらしさを知る
ねらい③ 身近な友達からの本の紹介や、読み聞かせを通して読書のきっかけをつくる
子どもが本を読むメリットとは?
SNSやインターネットでは、断片的な情報を受け取るだけになりがちです。自分でものを考えることにつながる読書は、子どもにとって一層必要といえます。そこで、読書のメリットを大きく4つ紹介します。
1. 想像力が養われる
本を読むことで想像力が高まると、具体的に以下のようなメリットをもたらします。
豊かなイメージをもてるようになる
情景を想像したり、次の展開を予測したりする能力が養われます。また、登場人物などの気持ちを汲み取ることで、思いやりのある言動ができるようになり、空想を楽しむことで固定概念に囚われず、自由な発想ができるようになります。
例えば、現実では実現不可能なアクションや魔法、動物との会話、未知との遭遇etc.子どもの柔軟な想像力は、本によってさらに広がり、夢のような世界へ連れていってくれます。想像力が育つことで、現実でも既存の知識や情報から、新しい着想を得る力が養えるのです。
夢をもてるようになる
さまざまな本に触れ、本の登場人物に自分を重ねたり、感情移入したりして楽しむことができます。子どもの好奇心を育てることにもつながり、【自分の好きなこと=夢をもつ土台作り】となります。
2. 文章を理解する力が身につく→コミュニケーション能力が育つ
本を繰り返し読むことでたくさんの言葉を知り、語彙力や読解力を身につけることができます。今までの自分にはなかった表現方法を学べ、相手の目線に合わせた言葉を選んだり、TPOに応じた言葉選びもできるようになります。
文章を理解する力は、大人になっても仕事や人間関係などのさまざまなシーンにおいて役立つスキル。本を読むことで単純に文章を理解できるだけでなく、どのような構成で成り立っているのかも理解できるようになります。
語彙力や読解力に加えて、先に挙げた想像力を活用することで、子どものコミュニケーション能力はぐんぐん伸びていきます。本の世界に描かれたさまざまな思考や価値観に触れることで、視野が広がって物事をいろいろな側面から見られるようになります。相手の立場に立った言動ができるようになり、感情をコントロールする能力も身につきます。
3. 集中力が養われる
本の読み聞かせや読書を習慣化させると、次第に文字への抵抗がなくなり集中する時間が増えると言われています。相性のよい本と巡り合うことで、周囲の音が聞こえなくなるほど集中力が磨かれることも。本を通して集中するクセをつければ、他の物事でも集中力を維持しやすくなることが期待できます。
4. 親子の親密度が高まる→自己肯定感が高まる
読み聞かせの場合、親子の感情を共有できるため、親密度が高まります。また子どもは、親からの愛情を感じて自己肯定感が養われるともいわれています。子どもを膝に乗せるなどのスキンシップを取りながら、親が本を読むことで子どもは安心します。自己肯定感を高めることは、自分という軸をもつこと。他者に振り回されにくくなり、幸福度が高まると考えられます。
読書週間に読みたいおすすめの本5選
子どもが読みやすい、おすすめの本を紹介します。対象年齢は目安です。それぞれテーマは違えど、共感したり、感動したり、不思議に感じられるストーリーは、大人が読んでもおもしろいので、本選びの候補としてぜひ手にとってみてください。我が家の小学2年生の娘にも感想を聞いてみました。
へびのくび
織田道代/作 きくちちき/絵
対象年齢:3歳〜5歳ごろ
へびくんととかげちゃんは大のなかよし。とかげちゃんの作った、くもの巣と花びらと葉っぱのスカーフを、いろいろな動物がマントにしたり、エプロンにしたり。みんな間違えてばかりなので、へびくんがモデルになって、首に巻こうとしますが…。へびの首って、一体どこ? 動物たちにあちこち触られて、へびくんは、くくくくく、へへへへへ。 子どもに「へびくんの首はどこだと思う?」と声をかけて一緒に予想したり、子どもをへびくんに見立ててくすぐったり、スキンシップを取りながら読んでも楽しいはず! とかげちゃんが決めた、予想外の首の位置にもご注目。
『へびのくび』を読んでみた小学2年生の感想
「とかげちゃんが作った“くもの巣と花びらと葉っぱのスカーフ”が気になる。キラキラしてて、くっつくタイプなのかな。絵の色がキレイだし、動物たちや虫が描かれているから、小さい子たちは絶対に気にいるはず」
おかしのまちのおかしなはなし
いわさきさとこ/作・絵
対象年齢:4歳〜6歳ごろ
お菓子たちが暮らす町。和菓子と洋菓子はいつも対立していてケンカばかり。そこにある日新しい住人が引っ越してきました。和菓子と洋菓子どっちの仲間になるのか、お菓子の町は大騒ぎ。その住人は毎日いろいろなお菓子に変身して、なにやら不思議な研究をしているようだけれど、いったいぜんたいその正体は…?
『おかしのまちのおかしなはなし』を読んでみた小学2年生の感想
「まず、可愛いような怖いような絵がおもしろい! 読んでみて、『見た目と違って食べてみると意外とおいしいことってあるよな〜』と思ったし、『友達でもタイプが違うなと思っても話してみると楽しい! ってこともあるよな〜』と思いました」
チリンのすず
やなせたかし/作・絵
対象年齢:子どもから大人まで
生まれたばかりの子羊、チリン。ある日、狼のウォーが牧場を襲い、母羊が死んでしまいます。チリンは強くなるために、お母さんのかたきである狼のウォーに弟子入りすることに。成長して“けだもの”となったチリンは、ウォーと一緒に二人組の暴れ者として恐れられるようになります。激しい嵐の夜、チリンはついに復讐を果たすが…。 『あんぱんまん』の作者、やなせたかし先生が描く、絶望とその隣にある希望を描いた名作。子どもたちはもちろん、大人にもぜひ読んで欲しい1冊です。
『チリンのすず』を読んでみた小学2年生の感想
「狼のウォーがかわいそうで悲しくなった。羊は草を食べていれば生きていけるけど、狼は羊やほかの動物を食べないと生きていけないし、例えば羊を食べるのをやめたとしたら、楽しみもなくて、なんのために生きているのかわからないと思う。最後に羊のチリンが狼のウォーのことを、いつのまにか好きになっていたと言うところが、じーんとした」
ムシてつ
牛窪良太/作・絵
対象年齢:3〜5歳ごろから
カナブンの“こてつ”は、電車が大好き! いろいろな路線が行き交う“ムシてつ”に詳しい“ムシてつはかせ”です。今日は電車を乗り継いで、じぃじとばぁばが住む街がある、遠くの駅までお出かけです。自動改札に“musimo”をタッチして、まずは“アリせん”に乗って、出発進行! 地下鉄“アリせん”の次は、“タガメせん”に乗り換えて池のなかを進みます。エキチカがある大きなターミナル駅で乗り換えた“オケラせん”は、空を飛ぶ“カブトムシせん”に乗り入れ! 雑誌『kodomoe』の付録で出会ったこちら。子どもたちが大好きでボロボロになるまで読んだため、その後、発売された単行本も購入。にぎやかなムシたちの世界を走る鉄道を描いた、鉄道×昆虫のハイブリッド絵本です。
『ムシてつ』を読んでみた小学2年生の感想
「虫たちの世界にも電車があって、地面の中を走ってるんだって、想像するだけで楽しい。ターミナル駅のエキチカにはたくさんお店が入っていて、ムシドナルドもある! 細かいところまでおもしろくて、読むたびに発見がある」
ねこは るすばん
町田尚子/作・絵
対象年齢:4、5歳から大人まで
人間は出かけていき、猫は留守番と思いきや? 忍び込んだタンスの中はパラレルワールドで猫の街へとつながっていて、大きく伸びをしたかと思うと、2本足で歩きだした! カフェに行ったり、床屋に行ったり、釣り堀に、回転寿司に、バッティングセンターからの最後は銭湯! 猫のおひとりさま時間は、なんだかおじさんの休日みたい(笑)。 触りたくなるような毛並みや鋭い目つき、愛らしいポーズなど、リアルな猫のイラストが可愛らしく、おひとりさま時間を満喫する様子に思わずニヤニヤ。思っていた展開と違う様子に、子どもたちは毎回引き込まれてしまいます。
『ねこは るすばん』を読んでみた小学2年生の感想
「ありえないと思うけど、猫は猫の世界で楽しくやっているのかも!? 最後のうるうるお目目の猫を見たら、部屋をぐちゃぐちゃにしてても絶対許せちゃう!」
まとめ
文/Ai Kano