2024年元日に発生し、最大震度7を記録した能登半島地震から約1か月が経ちました。石川県の能登地方やその周辺では地震の回数は徐々に減少しているものの、余震は続いていて、依然、気象庁は注意を呼びかけています。関東地方でも1月に何度か地震がありました。いつどこで地震が起こるかわからない地震大国の日本。今回は、小さいお子さんを子育て中の親御さんに向けて、子連れでの避難を想定した備えについて考えたいと思います。
子どもと一緒に“災害の備え”を確認しておこう
地震は、いつ、どこで発生するか分かりません。自宅や買い物先、よく遊びに行く場所、また勤務先といった各場所での避難先を家族で共有しておくと、離れ離れになったときでも落ち合いやすくなります。また、防災というと、マニュアルやガイドに沿って大人が準備万全にしておくと思いがちですが、せっかく準備したグッズも、使い方がわからなければ緊急時に使うことは大人でも難しいもの。いざという時に適切に使えるよう普段から親子で使用法を確認するなどして備えておきましょう。
避難先と避難ルートをあらかじめ家族でチェック
避難場所や避難経路を、自治体のハザードマップなどを見ながら家族で確認しておくことをおすすめします。自宅や学校、職場周辺を実際に歩き、災害時の危険箇所や役立つ施設を把握し、ハザードマップに印をつけるなど、自分用の防災マップを作っておくとベター。また、自分の住む地域の地域危険度を確認しておくことも大切です。
日々の散歩や買い物のついでに子どもと一緒に、避難ルートを実際に歩いてチェック。そのときは、子どもも一緒に避難しやすいのは抱っこなのかおんぶなのかなど、避難方法もあわせて確認できるとよいでしょう。
子どもと一緒に防災グッズの荷造りを
自然災害は怖いものですが、だからといって準備のときまでそのような気持ちになる必要はありません。“子どもと一緒に楽しくやってみる”ことを前提に、遊び感覚で体験しておきましょう。用意した防災グッズをリュックに詰めるときは、「これは何に使うのでしょう?」など、クイズ形式で用途や使い方を話しながら詰めるのも◎。何が入っていて、どう使うのか、子どもは意外と覚えているものです。そして、以下の3点も家族で共有しておきましょう。
- リュックに詰めた防災グッズは、玄関付近など置く場所を決めて家族で共有
- 停電に備えて懐中電灯をすぐに使える場所に置いておく
- 散乱物でケガをしないようにスニーカーなどを身近に準備しておく
【非常用持ち出し品の例】
防災用リュックに常備しておくもの
避難所に行くなら、持ち出し品をやたらと増やす必要はありません。背負って小走りで移動できる程度の重さを目安に、移動中の安全を確保するツール、避難所での生活に役立つ備品をコンパクトにまとめましょう。子どもの手をひいての避難などは、荷物が重いと転倒することもあるので重さは抑え気味に。
- 飲料水(1人あたり500mlのペットボトル2本くらい)
- 食料品(簡単に食べられるもの程度で。缶詰などは移動時に重く邪魔になることも)
- 救急用品(ばんそうこう、包帯、常備薬など)
- 衛生用品(マスク、消毒用アルコール、ウェットティッシュ、体温計、生理用品など)
- タオル、防寒用アルミシート(体を拭いたり、簡単な目隠しになったりするタオルは必須。寒さ対策としては毛布より防寒用アルミシートの方が軽くてかさばらずベター)
- 衣類(下着など)
- カイロ
- ヘルメット、防災ずきん、軍手、ヘッドランプ(暗い場所を移動するときに周囲を照らす照明は、両手が自由になるヘッドランプがおすすめ。転倒の危険を防ぎ、子どもの手を引くことも可能に)
- 携帯ラジオ、予備電池
- 乳児のいる家庭はミルクや紙おむつ、哺乳びんなど
- 耳栓やアイマスクなどの安眠グッズ(子どものぬいぐるみなどもあると◎)
- 非常用給水バッグ
- 筆記用具
※子どもの年齢によっては抱っこ紐もあると便利です
枕元に置く緊急用持ち出し袋に常備しておくもの
防災用のリュックに入れたままにはできないけど、必ず持ち出す必要があるものは、小さめの袋やポーチに入れて、スマートフォンやスマートフォン用バッテリーと一緒に毎晩枕元に置いておくといいでしょう。懐中電灯も一緒に並べておくと停電時にも安心です。
- 貴重品(預金通帳、印鑑、現金(小銭を中心に2万円ほど)
- 常備薬
- 医療関係備品(健康保険証、お薬手帳、常備薬)
- 懐中電灯
【家の中やその近くで数日過ごすための備蓄品の例】
- 飲料水(1人1日3リットルを目安に、3日分を用意)
- 食料品(温めれば食べられるご飯ほか、1人最低3日分の食料を用意)
- 非常用の簡易トイレ
- ガス停止に備えて、カセットコンロとガスボンベ
- 電力を確保する非常用バッテリー、LEDランタンなど広範囲を照らして調光できる照明、懐中電灯
非常食を食べてみよう!
非常食は子どもが食べられるものか、親子で事前確認を。例えば「今夜は非常食パーティーだよ」と、子どもにとって楽しい雰囲気を演出して、食べられるものを増やしておくのも手。また、日ごろ食べている賞味期限が長いものや水を自宅に多めに備蓄しながら、消費したら買い足す=ローリングストックを取り入れるのもおすすめです。
暗闇でライトを使ってみよう!
避難時の停電や避難所での就寝時消灯など、夜は真っ暗になる場面もあり、慣れない暗闇を怖がる子どももいます。そんなとき、防災グッズの懐中電灯やLEDランタンで明るくなることが分かっていれば、子どもの不安もひとつ減ります。暗くした部屋の中や夜の屋外などの暗いところで準備したライトを子どもと点けてみて、“暗いところが明るくなる”ことを体験しておきましょう。
携帯トイレを使ってみよう!
災害時はトイレが使えなくなることもあるため、非常用携帯トイレは防災グッズの必須アイテムですが、避難時に初めて使うのは子どもにとっては難しいもの。あらかじめ試しておくと安心です。まだオムツが取れていない場合は、その準備も忘れずに。
家族が離れ離れになってしまった場合の集合場所や安否確認の方法を決めておこう
災害時は携帯電話がつながらない、電池が切れてしまったなど、携帯電話が使えない状況も想定されます。子どもにも、自宅や家族の携帯電話の番号を覚えさせるorメモなどで持たせておくと安心です。
ちなみに公衆電話は災害時でも優先的につながるようになっています。公衆電話の場所の確認や使い方を子どもと体験しておきましょう。停電になってしまうとテレフォンカードは使用できなくなるため、小銭を用意しておくことも忘れずに。
また、災害時の連絡手段のひとつとして、NTTが災害伝言ダイヤル(171)という音声伝言板を提供しています。誰がいつどこにどのような状況かを伝言板に残しておくことができるので、家族の安否確認にも使えます。毎月1日と15日 には体験ができるので、家族で体験しておくのもおすすめです。
地域の人とのつながりを築いておこう
日頃から隣近所の人など地域の人とのお付き合いを大切に。災害時の協力体制まで話し合えればベストですが、そこまで話せなくとも、いい関係を作っておきましょう。「あそこのお家は3人子どもがいて、下の子はまだ赤ちゃん」など、近所の人がこちらの家族構成を知っていれば、いざというときに手助けしてもらえることもあります。
防災について学ぼう!考えよう!
内閣府や地方自治体が作成した、子ども向けの防災啓発コンテンツをまとめたサイトがあります。災害が起きたらどうなるの? 避難するときは、いつ、何をもって、どこへ逃げればいいの? といった内容を、親子で一緒に学んだり、考えたりする機会に活用できます。
防災(ぼうさい)について学ぼう!考えよう!/防災情報のページ – 内閣府
とくに、内閣府防災「震度6強体験シミュレーション」は、震度6強の地震に対して「どんな予防対策を取らなくてはいけないか?」「どんな避難行動をとるべきか?」 疑似体験するロールプレイングゲームで、子どもにもわかりやすく伝わるのでおすすめです。
まとめ
子どもと一緒に“防災グッズの非常食を食べてみる”、“避難ルートを実際に歩いてみる”など、生活に災害への備えを取り入れることは、いざ地震が起きたときに、慌てずに適切な行動ができることにつながるはず。普段から防災を意識して、親子で備えておきたいですね。
文/Ai Kano