いちごの美味しい季節ですね! 毎日のデザートにはもちろん、この時期はいちご狩りやいちごフェアなども各地で大盛況。いちごは世界中で食べられていますが、生食での消費量は日本が世界一だとか。世界のいちごの品種については詳しい統計資料がありませんが、一説には半分以上の種類を日本のいちごが占めるといわれています。子どもから大人まで幅広い世代に大人気、そんな魅力的ないちごの世界を深掘りしてご紹介します。
いちごの歴史
いちごの歴史は長く、古くから世界中で自生していました。日本でも、なんと石器時代には野生のいちごが食べられていたそう。ただし、当時の野生のいちごは甘みが少なくかなり小粒でした。
今のような甘くて柔らかないちごは、18世紀頃にオランダで、北米産のバージニア種とチリ産のチリ種の交配によって作られた“オランダイチゴ”という品種です。それまでの野生のいちごと比べて大きさは10倍にもなり、味もとてもよくなり、世界中に広まっていきました。日本にも江戸時代末期にオランダ船で長崎へと持ちこまれましたが、いちごの色が血を連想させるとして食用としてはあまり普及せず、おもにに観賞用とされていたそうです。
その後、明治5年にフランスから栽培用のいちごの品種が伝わり、本格的にいちごの栽培が始まります。このいちごは当時、皇室献上用とされ市場には出回りませんでしたが、昭和30年代にビニール栽培が確立して飛躍的に生産量が増え、価格も下がってきて、庶民の口にも入るようになりました。
そして近代になると日本の風土に合わせて、さまざまな品種が栽培されるようになりました。その後の品種改良のもと、今の”あまおう”や”とちおとめ”が生まれ、現在も次々と新しい品種が登場しています。
参考
国産いちご第1号は新宿生まれ新宿育ち!?
日本産のいちごは、その甘さとみずみずしさにおいて世界一と評価されています。そんな、日本のいちごの生みの親と呼ばれるのが福羽逸人(ふくばはやと)農学博士。フランスから取り寄せた“ゼネラルシャンジー”という種を、新宿御苑内に自ら設計したガラスの温室で育て、品種改良を経て、1粒70gの大きな実のなるいちご栽培に成功。明治35年に国産いちごの第一号である“フクバイチゴ”をリリースします。このいちごは、「御苑いちご」や「御料いちご」と呼ばれ、皇室に献上されました。
これが現在流通している“とちおとめ”や“あまおう”、“とよのか”など、多くの品種のルーツとなっています。本格的ないちご栽培が、まさかの新宿から始まったなんて、イメージのギャップが面白いですね。新宿御苑の温室では、今も“ふくばいちご”が栽培されているので、興味のある人はぜひ調べて行って見てください。
参考
いちごの栄養成分と効能
いちごは美味しくて手軽に栄養を摂取できていいことづくし。ここでは、どんな栄養素が含まれているのか、100gあたりのいちごの成分をチェック。気になるカロリーや糖質も、ほかの果物やスイーツなどと比較してみましょう。
ビタミンCの宝庫!
いちごは果物類のなかでもトップクラスのビタミンC含有量を誇ります。 温州みかんよりもその割合は多く、標準的な中粒サイズのいちごなら、5〜6粒食べれば、1日分のビタミンC摂取推奨量100mgをまかなうことができるんです。
ビタミンCには、抗酸化作用があるため、血管や臓器の老化を防ぎ、美容などアンチエイジングにも効果的。体内で作りだすことができないビタミンでも、いちごなら手軽に摂取できますね。
食物繊維が多く、お通じに◎
いちごの食物繊維は100g中1.4gもあります。意外なことにその割合はバナナよりも多く、腸内環境を整える効果が期待できます。ヨーグルトなどと混ぜ合わせることで、善玉菌のエサとなり、さらに効率的に腸内環境を整えてくれます。
妊娠・授乳中に必須の葉酸も豊富!
ビタミンB群である葉酸も豊富に含まれています。レバーやうなぎに多い葉酸ですが、とくに女性に必要な栄養素と言われています。含有量は100g中に90mcg。成人で1日に必要といわれる240mcgからみるとやや少ないですが、手軽に食べられるいちごは、妊娠・授乳中の女性にとくにオススメです。
そのほかの栄養素
虫歯予防につながる栄養素であるキシリトールが含まれており、虫歯の原因菌の増殖を抑えてくれる効果が期待できます。砂糖と同等の甘さがあるにも関わらず、虫歯の原因となる酸をつくらないため、子どものおやつに安心。
また、いちごの赤い色素成分であるアントシアニンはポリフェノールの一種で、活性酸素を減らし、眼精疲労を予防したりする効果も期待できます。体内の余分な塩分を排除するカリウムも含まれていて、身体のむくみ解消にもおすすめです。
いちごのカロリーと糖質は意外と少ない? 1日何粒まで食べていい?
いちご 100g(約7個)あたり…31kcal、糖質6.1g
りんご 100g(約2/5個)あたり…53kcal、糖質12.4g
バナナ 100g(約1本)あたり…93kcal、糖質19.4g
温州みかん 100g(約1個)あたり…49kcal、9.2g
100g当たりで見た場合、いちごのカロリーと糖質は、よく食べるほかの果物よりも少ないことが分かります。
いちご1粒(約15g)…約5kcal、約0.9g
いちご1パック(約250g)…約78kcal、約15.3g
ご飯(茶碗1膳:150g)…約236kcal、約57.2g
いちごショートケーキ(1個:120g)…約377kcal、約53.2g
どら焼き(つぶあん入り1個:70g)…約204kcal、約45.0g
もちろん1パックのグラム数は商品によって異なりますが、250g程度入ったものであれば全部食べても80kcalほど。ご飯やケーキと比べるとかなりローカロリーと言えますね。
ちなみに1日何粒が適量かについては、農林水産省から出されている「食事バランスガイド」を参考にすると、1粒15gのいちごであれば15粒ほど。この量はいちご1パック程度に相当します。1日1パックって、かなり満足できる量ですよね! いちごは90%が水分で構成されているため低カロリーなのですが、食べすぎるとお腹が緩くなることもあるので、その点は注意してくださいね。
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いちごって実は野菜!?
これはよくクイズなどで出題されるため、知っている人も多いかもしれませんね。果物の代表ともいえる存在のいちごですが、園芸学の定義では“木の実は果物(果樹)、草の実は野菜”と分類されるため、いちごは農林水産省の作物の統計調査でも野菜に含まれています。ただし、実際は果物と同じように食べられていることから「果実的野菜」とも呼ばれています。……ちょっとややこしいですが、スイカやメロンも同様です。
いちご表面のツブツブはタネじゃない?
こちらもいちごトリビア。いちごの表面にあるツブツブは実は種ではなく、そのひとつひとつが果実なんです。一粒のいちごは、200〜300個の果実が集まった“集合果”。果実だと思って食べている甘い部分は、実際は茎の先端の花床(かしょう)がふくらんだ“偽果(ぎか)”というものなんです。
もちろんツブツブのなかには本物の種が入っています。ツブツブだけをピンセットでつまみ取り、濡らしたキッチンペーパーなどに1粒ずつのせて、乾燥させないようにすると発芽するとか。発芽したら植え替えなどを行い、日当たりの良い場所に置いて、ふた葉から本葉が出て株になるまで世話をしていくと、うまくいけば種まきから1年ほどで収穫することもできる、な〜んて話もあります。これは一度子どもと一緒に挑戦してみたいです!
ちなみに、いちごが完熟すると一部の種類を除いてツブツブも赤くなります。スーパーの店頭でいちごを選ぶときやいちご狩りなどに出かけた際には、つぶつぶの赤みが濃いものを選ぶと、より甘いいちごが食べられるはず。
参考
子どもと一緒に作ってみよう!“いちごの簡単スイーツ”
そのまま食べるのも美味しいいちごですが、少しだけ手を加えた手作りスイーツはいかが? 作る工程も楽しいので、ぜひ親子で作ってみてください。
パンにはさむだけ!いちごのサンドイッチ
簡単過ぎてレシピというほどでもないのですが、スーパーで売っているホイップクリームを使用することで、忙しい朝でもさっと作れておすすめなのがこちら。我が家の場合はグズりがちな月曜の朝食によく出します。手を汚さずに食べることができる点もGOOD! 子どもと一緒に作ることもあります。
(材料)
- いちご
- ロールパン
- ホイップクリーム
(作り方)
- ロールパンに切り込みを入れて、薄くバターをぬる
- ホイップクリームを絞る
- ヘタをとり、縦8等分に切ったいちごをはさむ
原宿の味!? 簡単パリパリいちご飴
屋台で売っているようなパリパリないちご飴を作ってみましょう。ちなみに「原宿で食べたいちご飴が忘れられない」という娘も大満足の仕上がりでした!
(材料)
- いちご
- 砂糖…100g
- 水…25ml
(作り方)
1.いちごを洗い、キッチンペーパーなどでよく水気をふき取る
2.ヘタを取り、竹串に刺す
3.鍋に水を入れて砂糖を加えて火にかける
4.中火で4分ほど加熱する。加熱中はかき混ぜない
5.沸騰して泡が大きくなり、薄い茶色に色づいたら火を止める
6.おたまなどでいちごに絡める
7.クッキングシートにのせて冷ます
POINT
- コーティングがしづらくなるため、いちごの水気をしっかりふき取る
- 黄金比は“砂糖:水=4:1
- かき混ぜてしまうと結晶化して、ざらざらした食感になってしまうため、鍋を火にかけたら絶対に混ぜない。ゆっくり傾けるのはOK
- 飴を煮詰める温度は150度〜160度がベスト。コンロに揚げもの用の温度キープ機能があれば活用してみて
ちなみにいちごのヘタは、ヘタと実の間に横からフォークを差し込み、フォークが動かないようにしっかり持っていちごをねじるとキレイに取れます。飴は高温になるので、やけどに注意しながら作ってみてくださいね。
参考:
まとめ
ともあれ、年々品種のバラエティーが豊かになり春の楽しみが倍増! 断然“とちおとめ”からの“とちあいか”推しですが、“天使のいちご”などの白いちごにもテンションがあがります。今は「全国いちご選手権」で二連覇している“あまりん”が超絶気になっています。
文/Ai Kano