夜空を彩る美しい花火は、夏の夜のイベントとして定番ですよね。その起源は古く、様々な歴史や文化として発展してきました。
ここでは花火の知られざる歴史や文化についてご紹介します。
夜空を彩る美しい花火は、夏の夜のイベントとして定番ですよね。その起源は古く、様々な歴史や文化として発展してきました。
ここでは花火の知られざる歴史や文化についてご紹介します。
美しい花火は、昔は観賞用ではなかったそう。はじまりはどのようなものだったのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
花火の始まりは、秦(しん・現在の中国)の始皇帝の時代に使われた「のろし」だといわれているそうです。※諸説あり
のろしは遠くにいる味方に情報や合図を送る方法であり、現在のように見て楽しむというような観賞用ではありませんでした。
現在のような鑑賞用の花火は、14世紀ごろにイタリアで始まったといわれています。しかけ花火のような火花や音を出すもので、キリスト教のお祭りに使われたそうです。
ここから全世界に花火が広まり、今日までにたくさんの色や形のものが作られてきました。
日本では、1733年に隅田川で行われた「水神祭」というお祭りで花火が打ち上げられたのが始まりといわれています。当時は慰霊と厄除けを祈願するために打ち上げられました。
これが後に「隅田川花火大会」となり、現在まで続いています。
その後も花火は鎮魂のために打ち上げられるようになり、現在でもお盆の時期に花火が多いのはそのためだといわれています。
日本で初めて花火を見た人は徳川家康といわれています。※諸説あり
徳川家康は江戸幕府を開いたことで有名ですね。
この時見たのはイギリス国王から贈られた花火で、今のように空に打ち上がる花火ではなく「手筒花火」という筒の中に詰めた火薬が火柱のように上がるタイプのものだったといわれています。
参考
何気なく楽しんでいる花火。
「たまや~」という掛け声はどうして始まったのでしょうか? また、花火の色はなぜあんなに美しいのでしょう。詳しく説明します。
花火が上がったときの掛け声「たまや~」「かぎや~」というのを聞いたことがありますか?
この掛け声は江戸時代に始まったものだといわれています。
江戸時代に花火を製造していた「玉屋」「鍵屋」という花火師の屋号から来ているもので、花火大会で両方の花火が上がった時に美しいと思った方の屋号を掛け声として言っていたそうです。面白い風習ですね。
花火の色は、高校で習う金属が燃える時に決まった色の光を放つ「炎色反応」を利用したものです。
例えば、ストロンチウムなら紅・ナトリウムなら黄色・銅なら青緑……というように、金属の種類によって色が異なります。
打ち上げ花火の花火玉には、花火の輪になる「星」と、花火玉を割って星を飛ばすための「割薬(わりやく)」と呼ばれる2種類の火薬が入っています。
「星」には金属が含まれており、その金属の種類によって赤や緑などのカラフルな花火を楽しむことができるのです。
途中で色が変化する花火の「星」は、中心部にある芯に向かって違う色の火薬をまぶしていく方法で作られています。空中で「星」は外側から燃えていくので、次々と色が変わる花火になるのです。
職人さんの技術はすごいですね。
参考
・知っているかな?「花火のまめ知識」|教えて!かんでん|関西電力
外国から花火が伝わったということですが、日本の花火とどのような違いがあるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
日本の花火はどこから見てもまんまるな形に見えますね。
しかし、外国の花火は平面的に見えるそう。その違いは、花火の構造にあります。
日本の花火は球形の花火玉を打ち上げるため、まんまるく大きく広がります。対して外国の花火玉は円筒形のため、星が一定方向に飛ぶので平面的な柳のような形になるのだそう。
さらに、外国の円筒形の花火玉は容積が大きく中に入れる星を多くできるため、花火の燃焼時間も日本に比べて長めなのだそう。
もともと日本では、庶民の文化として広がっていったこともあり、多くの人がさまざまな方向から眺めて楽しめるようにする必要がありました。そのため、高く打ち上げてどこからでも美しく見える球状になりました。
一方ヨーロッパでは、主に貴族がお祝いごとなどのイベント時にお城で楽しむものだったため、高度も低く平面的だったようです。
また、日本の花火は色の変化が美しいのが特徴ですが、外国の花火は明るい色が多いのが特徴で、火薬を一種類しか使わないため色の変化がないそうです。
国際連盟に加入している193カ国のうち、なんと花火の文化があるのは約30の国だけだそう!
もともと花火が文化として存在しない国の方が圧倒的に多いのです。
参考
中国は火薬を発明した国でもあります。観賞用の花火が作られるよりももっと前から魔除けとして爆竹が使われてきましたが、近年ではお祝いとしても使われているそう。
日本の花火の製造技術を取り入れた打ち上げ花火の製造が増えており、中国は世界最大の花火生産国となっています。
また、日本の花火大会でも7割ほどが中国製の花火といわれているそうです。
アメリカでは新年や独立記念日のほか、イベントやショーなどの演出として花火が使用されています。
日本の花火大会のようなものではなく、ほかのイベントを盛り上げるために打ち上げられるのが一般的なのだそう。海外の花火の「明るく燃焼時間が長い」という特徴は、これらの演出にぴったりですね!
普段花火の使用や販売を禁じられている州でも、新年や独立記念日は解禁されるようです。
ニュージーランドでは、家畜である牛や羊のストレスになったり火事の原因になったりするという理由から、花火の販売は年に一度の数日間だけなのだそう。
11月5日の「ガイ・フォークスデー」という祝日前後で花火が許可されています。普段は禁止されているということもあり、この期間はいろんな場所で花火を打ち上げる様子が見られるそうですよ。
ヨーロッパでは、お祭りや記念日に花火が打ち上げられることが多いそう。
先述したように、日本の球形とは異なる円筒形の花火を打ち上げるため、平面的な柳のような形になります。
花火の音を楽しむスペインやイタリアのほか、なんとギリシャではお祭りの中で花火を飛ばしあうそう!
国それぞれで花火の用途が違っていておもしろいですね。
参考