子どもと学ぶ経済学。今のうちから身につけるメリット、生活の中での伝え方、親子で学べる本など by KIDSNA STYLE

公開日:2024/08/22

子どもと学ぶ経済学。今のうちから身につけるメリット、生活の中での伝え方、親子で学べる本など by KIDSNA STYLE

子どもに経済学を身につけてほしいと考える保護者の方が増えているようです。今回は、まずは大人も経済学の基礎をおさらいしながら、子どもが経済学を学ぶメリット、経済教育の現状、教え方のポイント、楽しみながら経済学を学べる児童書や絵本などを紹介します。

 

※記事転載元:KIDSNA STYLE(株式会社ネクストビート)

まずは大人が知ろう。「経済学」とは

経済学とは、社会の中で資源がどのように配分され、経済活動がどのように行われるかを研究する学問です。

 

具体的には、消費、投資、生産、分配、貿易など、私たちの日常生活に密接に関連するテーマを扱います。経済学を学ぶことで、社会の仕組みやお金の流れを理解でき、将来的に正しい金銭感覚や意思決定能力を養うことができます。

 

経済学は二つの主な分野に分かれます。一つは「ミクロ経済学」で、これは個人や企業がどのように意思決定を行い、資源を配分するかを分析します。

 

もう一つは「マクロ経済学」で、国全体の経済成長、失業、インフレーションなどの大きな経済問題を扱います。これらの知識は、日常生活だけでなく、社会全体の動きを理解するためにも役立ちます。

 

また、近年の経済学のトレンドとして、気候変動や貧困問題など、社会的課題を解決するための「持続可能な経済学」や「行動経済学」に注目が集まっているようです。

 

これらは従来の経済理論に加えて、人々の行動や社会の変化を考慮したアプローチを取り入れています。これにより、より現実的で実用的な経済政策やビジネス戦略が提案されるようになっています。

 

経済学は難しそうに思えるかもしれませんが、基本的な考え方を理解することで、日常の生活や仕事に役立つ知識を得ることができます。

 

保護者が経済学の基礎を理解しておくことで、子どもにも自然と経済の重要性を教え、将来に役立つ視点を提供することができるでしょう。

子どもが経済学を学ぶメリット

「まだ早いのでは?」「お金の話は話しにくい……」など、子どもが早いうちから経済学に触れることに抵抗がある保護者の方はいるかもしれません。

 

ここでは子どもが経済学を学ぶことで得られるメリットについて考えます。

正しい金銭感覚や教養が身につく

子どものうちから経済学を学び、経済の基本を理解することで、正しい金銭感覚や幅広い教養が自然と身につくことにもつながります。

 

低年齢のうちは、どのようにおこづかいを使うべきか、どのように貯金をするべきかといった、日常生活で必要な知識を得るだけでも十分でしょう。年齢とともに経済学の学びをより深めることで、社会の動きや経済政策についても理解が深まり、将来にわたって健全な金銭感覚を持つ大人に成長することが期待できます。

 

成長していくにしたがって、SNSや知人を通じて闇バイトやマルチ商法などにアクセスするリスクもあるなか、正しい経済や金融の知識は子どもを守る強固な盾になるかもしれません。

問題解決能力が高まる

子どものうちから経済の基本原則を知ることで、世の中の動きや政策の影響を理解する力が身につき、生活や仕事での判断力を向上させることができます。

 

子どもは経済学に触れながら実社会での問題解決能力を高めることで、ビジネスや生活など将来に幅広く役立つ知識とスキルを身につけることができるでしょう。

 

また、経済の重要性を理解することで適切な判断材料が増え、長期的な目標を持ってライフプランを構築することにもつながるでしょう。これにより、安心して暮らせる未来を築くための基礎が培われます。

世の中の仕組みを知り社会性が身につく

経済学を学ぶことで、子どもは世の中の仕組みや社会の動きを理解する力を養います。

 

経済活動を通じて、供給と需要、価格の決定、国際貿易などの基本的な原理を学ぶことができ、これらの知識が社会性を育むことにもつながります。

 

ニュースで報じられる経済問題や政策の影響を理解し、自分の生活や社会全体にどのような影響があるかを考える力が身につきます。

 

経済学を学ぶことで、子どもはより広い視野で世界を見ることができ、社会に貢献できる人材への第一歩を踏み出すことにつながるかもしれません。

日本と海外の経済学教育

日本では、小学生や中学生が経済やお金について学ぶ機会は限られています。学校教育では経済に関する授業が少なく、家庭でも十分な教育が行われていないことが多いようです。

 

先進国の中では、アメリカを筆頭に欧州やアジア各国でも教育カリキュラムに経済学が組み込まれている国や、学校教育のなかで子どものうちから経済の基本を身につける機会が設けられている国も増えているようです。

 

日本でも、2022年4月から成年年齢が引き下げられたことにより、18歳からクレジットカードの作成など金融に関する契約が行えるようになったことを受けて、高校学習指導要領改訂で金融経済教育の内容が拡充されました。

 

主な内容としては「生活における経済の計画」「消費行動と意思決定」として、以下のような教育目的が掲げられています。

 

【生活における経済の計画】 ・家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること。 ・生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること。

出典: 【家庭編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 /文部科学省

 

【消費行動と意思決定】 ・消費者の権利と責任を自覚して行動できるよう消費生活の現状と課題、消費行動における意思決定や契約の重要性、消費者保護の仕組みについて理解するとともに、生活情報を適切に収集・整理できること。 ・自立した消費者として、生活情報を活用し、適切な意思決定に基づいて行動することや責任ある消費について考察し、工夫すること。

出典: 【家庭編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 /文部科学省

 

具体的には、家計管理、ライフプラン、資産形成、借金などの仕組みを身につけることが求められているようです。

 

学校教育だけでなく、子どもが自主的に学んだり家庭で学ぶ機会の創出として、金融庁が子ども向けに金融教育コンテンツを提供しています。小学生向け、中高生向けがあり、子どもが楽しく学べる資料やゲームが用意されています。

 

 

出典:小学生のみなさんへ/金融庁
 
出典:中学生・高校生のみなさんへ/金融庁

子どもに経済を教えるポイント

家庭のなかで子どもが経済学について学ぶには、きっかけづくりやコミュニケーションなど保護者のサポートが必要です。まずは子どもが経済学に触れるために、保護者が押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

 

ツールを活用して興味を持たせる

子どもに経済を教える際、まずは興味を引き出すことが重要です。経済の基本を楽しく学べるように、マンガやゲームなど子どもになじみやすいツールを活用するのがよいでしょう。

 

次章で紹介する「マンガでわかる! 10歳からの『経済』のしくみ」などの児童書や絵本は、イラストや図解、まんがなどが盛り込まれて子どもにわかりやすい内容になっています。

 

このような本をいっしょに読んで日常生活や会話のなかで活かすことで、子どもも興味を持ちやすく、楽しく学べるでしょう。

子どもが好きな商品の会社を例にする

子どもが普段からなじみのあるお菓子やおもちゃ、アニメやゲームなどの製作会社を例に出して、経済の仕組みを説明することも効果的です。

 

たとえば、子どもが好きなお菓子がどのように作られ、どのように販売されているかを説明することで、製造業や流通業の基本を理解しやすくなります。

 

子どもがよく知っている具体例を使うことで、経済の仕組みを身近に感じられるかもしれません。

子どもがはじめて経済学に触れる本

子どもに経済学を伝えるのに最適な児童書や絵本を紹介します。

マンガでわかる! 10歳からの「経済」のしくみ

子どもが楽しみながら経済の基本を学べる入門書です。マンガ形式で解説し、図式なども多いため、10歳以上の子であれば難しい経済の概念も分かりやすく理解できそうです。

 

銀行の働きや税金の使われ方、株や投資についてなど、実生活で役立つ知識が盛り込まれており、親子で一緒に学べる一冊です。

イラスト学問図鑑 こども経済学

子どもが経済の仕組みを視覚的に学べるイラスト図鑑です。ユーモラスなイラストが豊富に使われた子どもにも分かりやすい解説で、経済学の基本ともいえる経済思想から現代のグローバル経済、近年注目されている行動経済学まで幅広くカバーしています。

 

子どもが興味を持って楽しく学べる内容で、はじめて経済に触れる一冊として最適です。

こども行動経済学 なぜ行動経済学が必要なのかがわかる本

マーケティングにも通じる行動経済学の基本を、子ども向けに分かりやすく解説した書籍です。買い物や親子関係、バイアスとは?など、子どもが日常生活で直面する状況を例に、行動経済学の理論を具体的に理解できるようになっています。

 

行動経済学を通じて人間の心理や行動を観察することで、どのように消費者の意思決定が行われ、経済活動に影響を与えるかを考え、学ぶことができます。

すてきな相棒! おかね入門

おかねの知識やマナーから、経済のしくみを知りながら、将来の自分を思い描くヒントを得ることができる、ワーク形式で読み進められる一冊です。お金や経済について楽しくポジティブに学ぶことができます。

 

かわいいキャラクターとともに、子どもが日常生活で使える実用的な知識を身につけられる内容となっています。

レモンをお金にかえる法

レモネードスタンドを舞台に、子どもがビジネスの基本を学ぶ物語です。レモネードの販売を通じて、起業やビジネスの仕組み、収支のバランスや決算について、商品の価値などについて理解を深めることができます。

 

かわいいイラストの絵本で子どもが主人公のストーリーなので、飽きずに楽しく読み進めながら経済の基本を学ぶことができます。

もりにいちばができる

森に開かれた市場で、動物たちが商品を売買するストーリーが展開する絵本です。「とりかえっこ」からはじまる市場での取引を通じて、子どもが自然に経済の基本を理解できる内容となっています。

 

人気絵本作家、五味太郎さんのカラフルなイラストとわかりやすいストーリーで、子どもが経済に親しみを持つきっかけ作りになるでしょう。

子どもと保護者も生活のなかで経済学を学ぼう

子どもが経済学を学ぶことで、正しい金銭感覚や世の中の仕組みを理解し、将来に役立つ知識とスキルを身につけることができます。

 

家庭での工夫やWebコンテンツ、児童書や絵本などを活用することで、効果的な学習が可能です。興味を引き出す方法や、具体的な本を活用して、楽しく経済学を学べる環境を整えましょう。

 

子どもたちがよりよい未来を築くための基盤と未来の社会構築に向けて、親子で楽しく学びながら心と生活の豊かさをサポートしていけるとよいでしょう。

 

記事転載元:KIDSNA STYLE(株式会社ネクストビート)

 

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