暑い日も続き、お弁当が傷んでしまうのではないかと心配になりますよね。夏場のお弁当作りには細心の注意が必要です。
そこで今回は、お弁当が傷まないための工夫を、3つのポイントに分けて詳しくご紹介します。
暑い日も続き、お弁当が傷んでしまうのではないかと心配になりますよね。夏場のお弁当作りには細心の注意が必要です。
そこで今回は、お弁当が傷まないための工夫を、3つのポイントに分けて詳しくご紹介します。
そもそもどうしてお弁当が傷むのでしょうか。その原因と対策を探っていきましょう。
お弁当が傷むのは、主に密閉されたお弁当箱の中で食中毒菌が増えてしまうことが原因です。
夏は特に、35℃~40℃で最も増殖が活発になる「細菌による食中毒」が増加します。代表的な食中毒菌を見ていきましょう。
サルモネラ菌は牛・豚・鶏などの腸内にいる細菌で、生の肉や卵、さらには下水などにも分布しています。
発症は食後6時間~48時間。症状としては、嘔吐や腹痛、下痢、発熱などがあります。
牛・豚・鶏などの腸内に分布しており、生の鶏肉や鶏レバーなどが主な原因食品となります。
発症すると食後1日~7日で腹痛や嘔吐、下痢などを起こし、下痢には血が混じることもあります。
筆者もカンピロバクターの食中毒にかかったことがありますが、壮絶な体験でした。
カンピロバクターの怖いところは、この菌に感染した数週間後、まれに「ギランバレー症候群を引き起こすことがある」ということです。発症すると、筋力低下・手足のまひや顔面神経のまひ・呼吸困難などの症状が出ますが、早期に治療を受けることで回復も早まります。
刺身や寿司などの生魚が原因になることが多い細菌です。
食後4~96時間で、激しい下痢や腹痛などを起こし、下痢に血が混じることがあります。
この菌は人の皮膚や傷口、髪の毛などに分布しているため、調理中のスマートフォンの使用や髪の毛を触るしぐさにも注意が必要です。
食後1~6時間で、吐き気、嘔吐、腹痛などを起こします。
菌自体は熱に弱いものの、付着した食品の中で菌が増殖するときに出す毒素は熱に強いため、一度毒素ができてしまうと加熱しても食中毒を防ぐことのできない厄介な菌です。
牛や豚などの家畜の腸内に分布しており、付着した肉を生で食べたり加熱が不十分な状態で食べたりすることで発症します。
生肉に触れた包丁やまな板を使いまわすことでも感染してしまうため、調理の現場では必ずといっていいほど生肉用の器具と生食用の器具は分けられています。
食後3~8日で発症し、激しい腹痛や下痢、下血などを起こし、重症になると死亡することもあるとても恐ろしい菌です。非常に感染力が強く、僅かな菌で感染してしまいます。
目には見えない食中毒菌。
お弁当が傷まないようにするためには、食中毒菌を【つけない】【増やさない】【やっつける】ことが必要です。この3つの原則が、食中毒菌を防ぐためにとても大切なポイントなのです。
こちらについては、次の章で詳しく解説していきます。
参考
食中毒予防の3原則として、まず菌を【つけない】ことが大前提となります。
ここではお弁当を作るときに菌をつけない工夫を紹介します。
人の皮膚や鼻腔にいる細菌として「黄色ブドウ球菌」があげられます。
先述したように、この菌が出す毒素は熱に強く、加熱しても食中毒を防ぐことができません。爪の間や親指の付け根、手首まで石鹸でよく洗い、菌を洗い流すことが大切です。
また、傷口にはさらに多くの菌がいるため、手に怪我をしている場合は必要に応じてビニール手袋をするのもおすすめです。
包丁やまな板などの器具は、熱湯や食品用アルコールなどで消毒しておくと安心です。
お弁当箱はパッキンやフタの溝など細かいところまで洗いましょう。また、食中毒菌は湿気を好むため十分に乾かしてから使うことが大切です。
洗った直後に使う必要がある場合は、清潔な布巾または使い捨てのペーパーなどでしっかりと水気を拭き取りましょう。こちらも食品に使える食品用アルコールを使うと効果的です。
最近では洗って繰り返し使えるシリコンカップもありますが、じめじめとした梅雨や気温が上がる夏場は使い捨てのカップの方が衛生的でおすすめです。
お弁当に使う野菜や果物は、流水で菌を洗い流しましょう。特に生野菜を入れる場合はしっかりと洗い、よく水気を切って拭き取ります。
肉にはサルモネラやカンピロバクターなどの食中毒菌が多くついていることがあるため、洗うとそれらの菌が飛び散り、かえって食中毒のリスクが高まります。洗うのは野菜や果物だけにしましょう。
おにぎりはラップで握る、詰めるときは清潔なお箸を使う、怪我をしているときはビニール手袋をはめるなど、食品に直接手を触れないことで菌がつくのを防げます。
キャラクターのお弁当やデコレーションされたお弁当は、作成時間や食品に触れる時間が長いため、夏場は避けた方が良さそうです。
3つの原則、2つ目は【増やさない】。ここでは菌を増やさないための工夫を紹介します。
食中毒菌は、水分のあるじめっとしたところが大好きなため、揚げたり焼いたりして食材の水分を飛ばすことが効果的です。
また、おかずの味を濃いめにして塩分や糖分を多くすると、食中毒菌が使える水が減るので菌が増殖しづらくなります。そのあとしっかりとキッチンペーパーで汁気を切ることで、よりお弁当が傷むのを防ぐことができますよ。
おかずが冷める前に詰めると、蒸気がこもってお弁当箱に水滴がつき、菌が増えやすい環境を作ってしまいます。
冷ます時間を考慮してお弁当を作り始めましょう。
調理してからしばらく時間が経ったおかずは菌が増えている可能があるため、できるだけ避けましょう。
とはいえ、お弁当を毎朝作るのは本当に大変。
前日の夕食の残りやお弁当用に自炊して冷凍したおかずを使うときは、中までしっかりと加熱すると安心です。加熱後はよく冷ましてから詰めましょう。
食中毒菌は10℃〜65℃で増えやすいため、保冷剤を保冷バッグに入れて10℃以下で保存すると非常に効果的です。保冷剤はお弁当箱の上に乗せると冷気が行き渡るのでおすすめです。
保温性の高いお弁当箱を使うときは、なるべく熱々のうちに詰めて65度以上を保つようにすると、菌の増殖を防ぐことができますよ。
食中毒菌は時間と共に増えていきます。また、お弁当は栄養・水分があり、温度も菌が好む環境が整っているため、なるべく早く食べるのが得策です。
万が一変なニオイや違和感があったら、食べずに破棄するようにしましょう。
最近では、お弁当箱に取り付けられるマジックテープ付きの保冷剤や、防腐効果のあるワサビの成分アリルイソチオシアネートが配合されたフィルムなどの便利なグッズが売られています。
市販の自然解凍OKの冷凍食品を使えば、保冷剤代わりにもなりますよ。
保冷剤はマジックテープで留めるだけ、フィルムはご飯やおかずの上にポンと乗せるだけ、冷凍食品は入れるだけなのでとても簡単ですね。
参考
3つの原則、最後は【やっつける】ことです。
中途半端に加熱すると、かえって菌の増殖を促してしまいます。菌をやっつけるためには、どれくらい加熱したらよいのでしょうか。
食材を調理するときは、中心までしっかりと加熱することが食中毒菌を【やっつける】ポイントです。
食材の中心温度が75℃で1分間以上加熱する、というのが目安になります。(ノロウイルスを防ぐためには85℃以上で90秒以上加熱が目安です)
加熱が十分でない食材や生ものは菌が増えやすいため、たまご料理は半熟を避けて固ゆで卵や中まで火を通した卵焼きにしましょう。
火を通さずに食べられるハムやちくわ・かまぼこなどの加工品も、茹でたり焼いたりして加熱する方が安心です。
参考