一度確認してみて! 自分が食べているお雑煮はどの地域のもの?|地域ごとのお雑煮のレシピもご紹介

公開日:2024/12/27

一度確認してみて! 自分が食べているお雑煮はどの地域のもの?|地域ごとのお雑煮のレシピもご紹介

お正月といえばお雑煮ですね。子どもの頃から毎年お正月にみんな揃ってお雑煮を食べてきた筆者にとっては、新年を迎えたわくわくと同時に、とても安心する不思議な味でもあります。

きっとみなさんもそうなのではないでしょうか。

 

そんな味がいろいろな地域にあると思うと楽しいですね。今回は地域によって違うお雑煮レシピを見てみましょう。

また、なぜお雑煮が生まれたのか、お雑煮の歴史について紐解いてみると、お雑煮は昔の人の願いやありがたいパワーが込められた食べ物だと分かりました。思わず「へえ〜」と感心してしまうような豆知識も一緒にご紹介します。

お雑煮の歴史

そもそもお正月とは?

正という字は、「年の初め、年を改める」といった意味があります。

 

お正月とは、年神様(としがみさま)を自宅にお迎えして、おもてなしやお祝いをする日本古来の伝統行事のことです。

年神様は各家庭に降臨し、五穀豊穣や家内安全をもたらしてくださると考えられていました。

 

年末の大掃除や、しめ縄を飾ることも年神様をお迎えするための準備だそうですよ。

いつからお雑煮が食べられているの?

お雑煮の起源は平安時代にさかのぼります。農耕民族である日本人にとって、餅はもともとお祝い事や特別な日に食べるものでした。

確かにひしもちや桜餅、柏餅など、お祝いごとには餅が欠かせませんね。

 

お雑煮は大晦日から年神様に供えていた餅や里芋、にんじんなどの具材を一緒に煮たものです。

その年の最初に川や井戸から汲んだ若水と、新年最初の火で煮込み、元旦に食べたのが始まりとされています。

 

お雑煮の語源は「雑煮ぜ(にまぜ)」で、いろいろな具材を煮合わせたことに由来しています。

お餅と野菜が入ることで「名(菜)を持ち(餅)上げる」とされ、縁起のいい食べ物として大切にされてきました。

なぜお正月にお雑煮を食べるの?

神様にお供えしたものを一緒に食べること(神人共食)で神様から力を授かり、元気が出るとされていました。

また、昨年の収穫や無事に感謝し、新年の豊作や家内の安全を祈っていたそうです。

 

お祝い事のお箸は両端が細くなっていますね。これは一方を人が使い、もう片方は神様が使うことをあらわしているそうですよ。

 

このようにしてお雑煮は正月に欠かせない料理となり、日本人の文化に深く根付いていったのですね。

 

参考:お雑煮の由来と意味|Oisixおせち2025

 

日本各地の雑煮

お雑煮は地域によって味や具材が異なることが知られていますね。それは各地で特産品が違うため、神様へのお供え物もさまざまだったからのようです。

 

郷土色豊かなお雑煮を紹介します。

角餅と丸餅とあんこ入り餅

お雑煮に入れるお餅の形の違いの境界線は、岐阜県の関ヶ原あたりです。関ヶ原より東は角餅、西は丸餅が一般的だそうです。

ただし、境界線上の5県(岐阜県、石川県、福井県、三重県、和歌山県)では、両方とも使われているところもあるのだとか。

また例外として、北前船が運んできた京都文化の影響が強い山形県庄内地方と、つきたての餅を年間60日以上食べる習慣がある岩手県一関市は、丸餅が主流だそうです。

 

特徴的なのが、香川県のあん餅雑煮。あんこ入りの丸餅を白味噌ベースの汁でいただきます。

当時貴重だった砂糖を、年に一度の特別な料理としてお正月の雑煮に取り入れたことが始まりだそうですよ。

 

もともと日本では昔から丸餅が主流だったそうですが、江戸時代に入ると平たく伸ばした餅を切り分ける方法が編み出され、これが角餅になりました。

角餅は運搬に便利なため、江戸から徐々に広まったとされています。

すまし汁と白味噌

スープも各地によって違いがあります。主なお雑煮の出汁をご紹介します。

 

  • 北海道……主に鶏ガラベースで、砂糖入りの甘めの味付けです。
  • 東北……煮干し出汁ベースが多く、いくらをのせることも。岩手の宮古地域では餅を雑煮から取り出してくるみだれにつけて食べることもあるそうです。
  • 関東……かつおと昆布の出し汁がベースとなります。関東風雑煮とも呼ばれています。筆者の家の味はまさにこちらです。
  • 関西……かつおと昆布だしを使った白味噌仕立ての味がベースとなることが多いです。
  • 九州(福岡)……あご(とびうお)出汁にブリや雑煮用に使われる青菜などを入れるそう。

 

参考:全国のいろいろな雑煮|農林水産省

お雑煮レシピ

よく知られているだけでもなんと100以上もの種類があるとされているお雑煮。

細かな作り方の違いにまで注目するともっと種類は増えて、集落の数だけ種類があるとされているのだとか。

 

今回は筆者の親戚である料理研究家から聞いた関東風と関西風のお雑煮レシピと、博多雑煮の一般的なレシピをご紹介します。

正解はないので、各家庭で好みに合わせてアレンジしてくださいね。

関東風お雑煮

※画像はイメージです

材料(2人分)

合わせ出汁……400ml

角餅……2個

にんじん…50g

大根…50g

小松菜……1株

鶏もも肉……1/4枚

しいたけ……2枚

かまぼこ……2切れ

塩……小さじ1/2

醤油……小さじ1〜2

みつば……4本

作り方

  1. 大根とにんじんは3mm幅のいちょう切りにします。しいたけは2mm幅の薄切りにします。鶏もも肉は一口大の半分の大きさほどに切ります。
  2. 小松菜は別の鍋で30秒〜60秒ほど塩茹で(分量外)したら、水にさらして絞り4cmほどに切ります。みつばも3〜4cmに切ります。
  3. 鍋に出し汁に塩と醤油を入れて中火にかけ、にんじん、大根、鶏もも肉、しいたけを煮ます。煮ながら丁寧にアクを取ります。
  4. 餅はトースターでやわらかく、焼き目がつくまで4〜5分ほど焼きます。
  5. お椀に3を入れ、餅をのせてみつばとかまぼこ、小松菜をのせたら完成です。

関西風お雑煮

※画像はイメージです

材料(2人分)

合わせ出汁……400ml

丸餅……2個

里芋……2個

大根……50g

にんじん……50g

白味噌……60g

花かつお……少々

作り方

  1. 里芋は面取りしながら亀甲型に切り、塩もみしてぬめりをとります。にんじんと大根は5mm幅に切り、里芋も含めてそれぞれしっかりと下茹でします。
    丸餅は熱湯で柔らかくなるまで弱火で茹でておきます。
  2. 合わせ出汁を中火で沸騰寸前まであたためて火を弱めたら白味噌を加えます。
  3. お椀に丸餅を入れて里芋、大根、にんじんを盛り付け、2をゆっくりと注ぎます。花かつおをのせたら完成です。

博多雑煮

※画像はイメージです

材料(2人分)

あご出汁……300ml

干し椎茸のもどし汁50ml

ぶり……2切

丸餅……2個

にんじん……50g

かつお菜……1束

干し椎茸……2枚

かまぼこ……2枚

里芋……1個

うすくち醤油……大さじ1

塩……ひとつまみ

みりん……大さじ1/2

作り方

  1. 干し椎茸はさっと洗って汚れを落とし、小さめの器に入れかぶるくらいの水を入れて戻します。戻し汁は取っておきます。
  2. ぶりに塩(分量外)をしっかりと振って5〜10分ほど置き、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。熱湯でさっと茹でて冷水にとり、再度水気を拭き取ります。画像のように、炙っても美味しそうですね。
  3. にんじんは3mmほどの薄切りにして梅型でくり抜きます。鍋でにんじんが柔らかくなるまで茹でたら取り出し、次に熱湯に塩ひとつまみ(分量外)を入れてかつお菜を30〜60秒ほど茹でて、冷水にとり4cmほどに切ります。餅も熱湯で柔らかくなるまで弱火で茹でます。
  4. 別の鍋に、皮を剥いて一口大に切った里芋を水から茹でます。中火で茹で、煮立ったら5分ほど茹でて柔らかくなったら取り出します。
  5. あご出汁の入った鍋に干し椎茸の戻し汁と干し椎茸、うすくち醤油、塩、みりん、ぶりを入れて5分ほど煮ます。にんじんとかつお菜、里芋、かまぼこ、餅を加えて溶けない程度に再度温めます。
  6. お椀にぶり、餅、にんじん、干し椎茸、里芋、かつお菜を盛り付けて出汁を注いだら完成です。

まとめ

・お正月とは、年神様(としがみさま)を自宅にお迎えしておもてなしやお祝いをする日本古来の伝統行事
・お雑煮の起源は平安時代
・お雑煮は大晦日から年神様に供えていた餅や里芋、にんじんなどの具材を一緒に煮たもの
・神様にお供えしたものを一緒に食べること(神人共食)で神様から力を授かり、元気が出るとされていた
・地域によって角餅、丸餅、あんこ餅などを使用する
・地域によって醤油や白味噌など味付けが異なる


お雑煮の歴史や背景、その土地土地での違いなど、とても面白かったですね。
関西風の白味噌仕立てのお雑煮や、ブリの入ったあご出汁のお雑煮もとても美味しそうでした。

筆者は今回お雑煮について調べたことにより、祖母や母をはじめ、昔の人から紡がれてきた日本の文化を大切にしていきたいと、一層強く感じました。
今年のお正月はいつもより背筋を伸ばして迎えられそうです。

まずは母にお雑煮の作り方を教えてもらい、子どもに伝えていく第一歩にしたいと思います。
みなさま、お雑煮から神様のパワーをお裾分けしてもらい、素敵なお正月をお過ごしください!


文/hal

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