胡麻油といえば、胡麻の風味が豊かで、お料理の香り付けに使用するシーンも多い食用油ですが、最近「香らない」胡麻油が話題になっているそう……。「無味無臭」「透明」と、今までの胡麻油と全く逆! 話題の「太白胡麻油」ってどんな油? なんで話題なの? 実際どうなの? 気になるポイントを詳しくご紹介します。

「太白胡麻油」ってなに?

「太白胡麻油(たいはくごまあぶら)」は、ゴマをそのまま絞ったフレッシュなオイルで、色は白ワインのように透き通った無色なのが特長的。ゴマを焙煎せずに搾っているので、香りはありません。香ばしい風味とコクのある味わいを活かした焙煎胡麻油と違い、和洋中、料理のジャンルを問わず何でも使える万能油です。
なぜ今「太白胡麻油」が注目されているのか
昨年から本格的に話題になり、各メディアでも話題になっている「太白胡麻油」ですが、実は以前から販売されています。今話題になっている理由の1つが、オリーブオイルをはじめとする食用油の物価上昇にあります。特にオリーブオイルは3倍近く上昇中! そこで代替品にと「太白胡麻油」を選ぶ人が増えているのです。
「太白胡麻油」の特長

太白胡麻油は、さまざまなお料理に活用できる胡麻油。実は多くの一流の料理人やパティシエたちも愛用しています。
特長その1:使い方を選ばない! 万能オイル
透明で料理の邪魔をする味や香りがない太白胡麻油は和食や中華だけでなく、フレンチ・イタリアン・スイーツでも使用できちゃう! 常温でも固まらずに液体であることや酸化しにくく、乳化性もよくノンコレステロールと幅広いお料理で活躍してくれます。
特長その2:素材の邪魔をせず、持ち味を活かす
例えばオリーブオイルは基本の味が強く、先味・後味の渋みや余韻が強く味に特長がありますが、太白胡麻油は味や香りがないため炒め物・揚げ物で素材の味を邪魔せず、本来の味を引き出すことができます。太白胡麻油は、素材本来のうまみを活かした調理をするのにピッタリ!
特長その3:酸化しにくく、高温加熱に強い
胡麻油は、油脂全体の中でも酸化しにくく、特に高温加熱に強い油。油調理をしても仕上がりが油っぽくなく揚げ物はサクサクに、スイーツは冷めてもふんわりしっとり感が持続します。胡麻油に含まれるビタミンEやセサミールという成分が抗酸化に役立つのですが、太白胡麻油も例外ではありません。
特長その4:現代人の健康にも一役買っている!
胡麻油の主な成分「オレイン酸」は、悪玉コレステロール(LDL)を増やさず善玉コレステロール(HDL)を減らさないという働きがあることがわかっています。
同じく主な成分である「リノール酸」は、体内では作ることができず食品で摂取しなければならない脂肪酸で、近年、オレイン酸と合わせて摂取する事で効果が高まるという見解が有力となっています。
胡麻油はこれらのバランスもよく、さらにサプリメント分野でも注目を浴びている「ゴマリグナン」も含まれている太白胡麻油は健康効果が大変注目されています。
太白胡麻油を使ったおすすめ調理法
一般的な胡麻油とは違う「太白胡麻油」は実際どのような調理に使用するのか、プロの料理人の活用方法を参考におすすめの調理法をご紹介!
天ぷらに使えばカラッと揚がりうまみを引き出す

太白胡麻油で天ぷらを揚げると素材のうまみが引き出せるとプロの料理人も大絶賛! 素材のおいしいところを油の豊かさで包んでくれます。
炒め物にはコクとうまみをプラス

酸化に強い太白胡麻油は、加熱しても嫌な匂いが残らず粘りも出ないため、ピュアな素材の味を引き出すことができます。野菜炒めは強火をキープしたままスピーディーに炒めるのがコツ。
洋菓子やパン作りにもピッタリ!

クッキーやケーキなど、お菓子作りといえばバターを使うのが一般的ですが、代わりに太白胡麻油を使うと、さっぱりクリーミーに素材の味を活かした洋菓子を作ることができます。パン作りに使用すれば、硬いパンは歯切れがよくなり、やわらかいパンはふわふわ・もちもちに仕上がります。
とろみをつけたい料理や調味料にも

油脂のなかでも胡麻油はとくに乳化状態が良好で、料理にとろみをつけたい時や、マヨネーズなどの調味料作りにも適しています。とろみをつけたいときに片栗粉ではなく太白胡麻油を使うのもアリ。
太白胡麻油を使った簡単メニューをご紹介!
普段は他の油を使って調理しているメニューも、太白胡麻油を使うとさらにおいしく作ることができちゃう! 実際に筆者もよく作っている太白胡麻油を使った簡単メニューをご紹介します。
太白胡麻油を使ったカルパッチョ

海藻サラダとお刺身にだし醤油と太白胡麻油をかけただけの簡単カルパッチョ。お刺身がトロッとしてうまみが増します。だし醤油:太白胡麻油=2:1ほどの割合で調合しています。お好みでわさびを少し加えてもおいしいかも!
カリホクポテトフライ

子どものおやつにもピッタリのポテトフライは太白胡麻油を使うことでジャガイモの甘味も堪能できちゃう!
皮付きのままくし切りにしたジャガイモを、水にさらして表面の余分なでんぷんを洗い流したあと、軽く水を切ってから耐熱皿に入れ、ふんわりラップをかけ600Wの電子レンジで5分加熱します(竹串がスッと通るまで)。
片栗粉:小麦粉:水=1:1:1.5をボウルで混ぜ合わせ、ジャガイモをくぐらせて170度に熱した太白胡麻油で揚げ色がつくまで3分程揚げます。揚げたポテトフライにお好みで塩コショウ・ケチャップを付ければ完成!
ヘルシー蒸し鶏

せいろで蒸した鶏むね肉に太白胡麻油を使ったタレをかけた「ヘルシー蒸し鶏」。醤油:太白胡麻油:レモン汁=2:1:1(0.5)の割合で調合したタレを、せいろで蒸した鶏むね肉にかけるだけ。さっぱりとした味わいのメニュー。
鶏モモとキノコの太白焼き

太白胡麻油を乳化させたうまみソースが味の決め手の「鶏モモとキノコの太白焼き」は、お財布に優しいボリュームメニュー。
太白胡麻油大さじ1を入れて中火にかけたフライパンに、余分な脂肪や筋などを取り除き、身側に塩をふった鶏もも肉を皮目から入れ、時々スパチュラで押さえつけながら、皮がパリッとして焼き目がつくまで焼きます。裏返して弱火にし、身側はさっと焼いて、取りだしてやすませ、余熱で中まで火を通します。
フライパンに太白胡麻油大さじ1を足し、お好みのきのこ類を焼いて塩をふり、火をとめて取りだします。フライパンが熱いうちに酒を入れ、フライパンをゆすって油と乳化させ、盛り付けた鶏もも肉ときのこ類にかけ、黒コショウをふって完成! すだちや大根おろしを添えてもおいしいですよ。
まとめ
文/丸山寛子