「美術館に子どもを連れて行くのは、ちょっとハードルが高い」「現代アートって、なんだか難しそう」そんな方たちにオススメなのが、2025年3月1日に埼玉県飯能市でオープンした「ハイパーミュージアム飯能」。
自然とデジタル、そしてキャラクターアートが融合した、新しい現代美術館です。
普通の美術館とどう違うのか、子連れでも行きやすいのか、現代アートに詳しくなくても楽しめるのか。
館長をつとめる、編集者・アートプロデューサー・大学教授の後藤繫雄さんに話を聞きました。
「美術館に子どもを連れて行くのは、ちょっとハードルが高い」「現代アートって、なんだか難しそう」そんな方たちにオススメなのが、2025年3月1日に埼玉県飯能市でオープンした「ハイパーミュージアム飯能」。
自然とデジタル、そしてキャラクターアートが融合した、新しい現代美術館です。
普通の美術館とどう違うのか、子連れでも行きやすいのか、現代アートに詳しくなくても楽しめるのか。
館長をつとめる、編集者・アートプロデューサー・大学教授の後藤繫雄さんに話を聞きました。
※窓から手を振る後藤繁雄さん
―後藤さんが館長をつとめるようになった経緯を教えてください。
僕はこれまで京都芸術大学などで、アーティストと寄り添って仕事をしてきました。その中で、北欧のライフスタイルを体験できる施設「メッツァヴィレッジ」から、「美術館をプロデュースしてほしい」という依頼を受けたんです。
―なぜ「ミュージアム」ではなく「ハイパーミュージアム」と名づけたのですか?
現代アートは難しいと思われがちです。なので、現代アートの敷居の高さを超越して、今までの美術館を超えることができるような、新しい体験を提供する場所として「ハイパーミュージアム」と名づけました。
メッツァビレッジには、3000平米の豊かな森があります。これはただの森で、テーマパークのようにコンテンツが沢山用意されているわけではありません。しかしだからこそ、自由に遊べます。
現代の子どもは、自然の中で遊ぶ経験があまりない。この森では落とし穴を作ったり、木登りをしたり、石けりをしたり、焚火をしたり。アーティストを通して、何をして遊んでもいいプログラムをつくりたい。アーティストと一緒に子どもが参加できるプログラムを開発します。建物だけてなく森も含めた施設全体が「ミュージアム」です。実は建物の展示スペースは400平米くらいで、そんなに広くないんですよ。
―「建物の中で大人しく、静かに見る」という美術館は、未就学児にとってハードルが高いですよね。
遊びたいと思っている子の方が柔軟性があって、大人になった時に強いんです。面白い子どもがでてきたら、面白い世の中になっていく。本を読んだり受験勉強をしてきた、ハイスペックな人間ばかりじゃ、つまらないでしょう(笑)。
※【オープニング特別企画展】ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」
―なぜヤノベケンジさんの「宇宙猫」をメインキャラクターにしたのですか?
メッツァヴィレッジの横には、ムーミンの物語を主題としたテーマパーク「ムーミンバレーパーク」があります。ムーミンも「宇宙猫」も、キャラクターという意味では同じ。現代アートは難しいと思われがちですが、キャラクターならとっつきやすい。キャラクターを通じて、アートを体験できる入口にしたかったんです。
あとは2025年3月という、オープンの時期もあります。1970年の大阪万博では岡本太郎の「太陽の塔」が話題になりました。ヤノベ君は岡本太郎に関連した「宇宙猫」を、GINZA SIXなどで展示をしてきた実績があります。2025年4月から大阪万博が始まることもあり、彼に声をかけました。彼のような「現実と非現実の間にいるアーティストの作品」は、これからの世の中でも増えていくでしょう。
―子どもは、どんな体験ができるのでしょうか?
遊びながら学べる、体験型プログラムを用意しています。
今の子どもは、ゲームに対するリテラシーが高いですよね。アート人口よりゲーム人口の方が、うんと多い(笑)。ゲームもデジタルの一種なので、お母さんから禁止されている子も多いけど「ダメなもの」でなく、「重要な遊び」として取り入れることにしました。
ヤノベ君のプランは、石板を使ったフロッタージュというアナログ。その一方で児嶋啓多君によるスマホをかざすと漢字が出てくるARというデジタルアートも提供します。その両方を融合させた新しい「知育」を提供しています。
※マップに記載された場所を巡ってQRコードを読み込むと、草、木、虫、魚、花などの文字造形がキャラクター化された「コトダマ」がアニメーションで出現し、好きな背景とともに撮影ができる。
―ASOPPA!の読者にメッセージをお願いします。
ハイパーミュージアムは「建物の中で鑑賞しなさい」という従来のミュージアムとは違う。体を動かして、五感を使って楽しめる、アートを使ったテーマパークです。お母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃんにも「現代アートって、わくわくするものなんだな」と思ってもらえるでしょう。
でも、一番は子どもに来てほしい。子どもが面白いと思った美術館って、絶対に流行るんです。子どもから「あの美術館に行きたい」と言われたら、親は連れていきますよね。
美術館はハードルが高いとか、現代アートは難しいとか、先入観を持たずに、ぜひ体験しに来てください。そして「もう一度行きたい!」とお子様に言われたら、ぜひまたお越しください。展覧会を口実にして(笑)、子どもたちが遊びながら学べる機会を、作っていくつもりです。
・10:00~17:00(入館は16:30まで)
・休館日:無し
・住所:埼玉県飯能市宮沢327-6
・西武池袋線 飯能駅からバスで13分
その他のアクセスについては以下をご覧ください。