“実りの秋”は、旬を迎える果物が豊富♪ 美味しく秋の恵みを堪能したいところですが、せっかくゲットしたのに、食べてみると「なんだかイマイチだった……」と残念な経験をしたことはありませんか? そんなことにならないように、秋を代表する身近な果物9種をピックして、お店で選ぶ際のポイントをまとめました。知っておけば、果物狩りにも役に立ちますよ。

柿

夏にはハウス栽培のもの、そして年明けには冷蔵されたものも出回りますが、柿の旬の時期は主に9~11月頃。
柿は果物の中でも特に栄養価が高いスーパーフルーツ! 「ビタミンC」をはじめ、「カロテン」、「カリウム」、「タンニン」などを多く含み、生活習慣病の予防や二日酔いの防止、免疫力向上や美肌にも効果があるといわれています。
美味しい柿の見分け方
大きさは中玉のものがおすすめ。濃いオレンジ色で、果皮にツヤとハリがあり、ずっしりと重みのあるものを選びましょう。
ヘタは形が美しく、鮮やかな緑色をして乾燥していないものがよく、果実にぴったりと張り付いているものが◎。さらに、ヘタの部分の果皮に亀裂が入っていないものが理想的です。
果皮の表面に“ブルーム”と呼ばれる果粉が付いているかどうかもチェックしてみて。ぶどうやりんごにも見られるブルームは、表面に薄く付いている白い粉で、果物自身が作り出しているもの。これがあると新鮮な証拠で、もちろん食べても害はありません。
ちなみに、甘柿の中で、種が多くできると果肉が黒くなって渋みが抜けるものを「不完全甘柿」といいます。例えば「西村早生」や「禅寺丸」など。「完全甘柿」は収穫時に渋みが抜けていることが多いですが、不完全甘柿の場合は、まれに渋みが残ったものがあります。
甘い不完全甘柿を見極めるには、表面に黒い線ができているかをチェック。さらに、左右対象で変形していないものは、種が全体に入っている証で渋みがないということです。
柿の豆知識
柿は加熱しても美味しく食べられることを知っていますか? JA全農が提案するおすすめのデザートレシピをご紹介します。柿のヘタの部分を切り落とし、ケーキをカットするように6等分に切り込みを入れます。それをトースターに入れて10分ほど焼くだけ。食感はトロッと変化し、甘さも際立ちスイーツのような味わいに♪ 濃厚なバニラアイスを添えても美味しそう!
梨

「幸水」、「豊水」など時期によって出回る品種が異なりますが、8〜11月頃に出荷最盛期を迎えます。シャリシャリとみずみずしい食感が梨最大の特徴ですが、この独特な食感は、“石細胞”という細胞が作り出しているのだそう。これは、腸のぜん動運動を促し、便通をよくする効果が期待できるもの。梨はカロリーも低いので、女性には特に嬉しい果物ですね。
美味しい梨の見分け方
はじめに、梨には全体的に果皮が赤みがかった「赤梨」と、黄緑色の「青梨」があります。どちらも果皮にハリがあり、ずっしりと重くかたいもの、大きさは中玉のものを選ぶとよいでしょう。
これに加えて、赤梨は、おしりの部分まで褐色に色づいているもの、そして青梨は、黄色地にほんのりと緑色が残っているものが美味しいとされています。さらに、赤梨は表面がざらざらしている方が新鮮です。
形は、左右対象で変形してないものの方が、部位による味のバラつきがありません。また、やや横長のものの方が糖度が高いといわれています。
軸は、シワがなく、弾力があってしっかりしたものがおすすめ。
梨は、追熟しない果物なので、買ったあとは早めに食べた方が美味しく食べられます。また、果皮に近い部分ほど甘く果芯部の方が少し酸味があるため、少々贅沢ですが、種の部分をやや大きめに切り除くとさらに甘く、美味しく感じられます。
梨の豆知識
梨は、冷やすと甘みが増す「果糖」を多く含む果物なので、冷蔵庫で冷やして食べるほうが美味しいです。ただし、冷やしすぎると甘みを感じにくくなってしまうので、食べる1時間ほど前に冷蔵庫に入れましょう。また、冷蔵庫ではなく野菜室で保存したり、新聞紙に包むなどして、冷やしすぎない対策を取るのもおすすめです。
ぶどう

「巨峰」、「ピオーネ」、「シャインマスカット」、「デラウェア」など、美味しい品種が豊富に揃うぶどう。ハウス栽培のものが春にも出回りますが、出荷最盛期は7〜10月頃です。ぶどうは上の方が甘みが強いので、食べるときはおしりの方から食べ進めていくと最後まで美味しく食べられます。
美味しいぶどうの見分け方
黒系や赤系の品種では皮の色が濃いもの、黄緑系の品種ではやや黄色いものがおいしいぶどうです。
房の形は綺麗に整っているものが◎。粒の大きさはなるべく均一に揃い、ピンとハリがあるものがおすすめです。脱粒しているものが多かったり、潰れている、割れがあるといったものは避けましょう。また、新鮮さを表すブルームが付いているかどうかも着目ポイント!
軸は、太くしっかりしていて、シワがないものを選ぶのが正解です。
ちなみに、ブルームは、果実のみずみずしさを保つ働きもあるので、購入後は洗わずにすぐに冷蔵庫へ入れましょう。洗う際は、特に種なしの品種の場合は粒が離れやすいため、ボウルなどに水をはり、軽くゆすって汚れを落とせばOK。当然、ブルームは農薬なのではないので、丁寧に洗い流す必要はありません。
ぶどうの豆知識
「巨峰」や「ピオーネ」など、皮を食べないぶどうも多くありますが、子どもに「むいて!」とせがまれることはありませんか? むいてあげるものの、汁が滴り落ちてもったいないと感じることも多いはず。そんなときは、一度冷凍するのがおすすめ。食べる際は、水に少しだけ浸すと、皮と実の間に隙間ができてするんとむけます。冷凍したぶどうに限らず、ぶどうの皮は軸に付いている方ではなく、おしりの方からむくと綺麗にむけます。
栗

栗の旬は、9〜11月頃。料理にしてもスイーツにしても美味しく食べられる万能食材で、秋の味覚といえば栗! と考える人も多いのではないでしょうか。栗は種子なので、ナッツの一種です。しかしながら、そのほかのナッツ類に比べると脂質が少なくでんぷんが多いため、比較的ヘルシーなのが嬉しい特徴。
美味しい栗の見分け方
栗は、古くなってくると水分が減るため、乾燥でツヤやハリがなくなり、外側のかたい“鬼皮”も凹んできます。そのため、鬼皮にツヤツヤとした光沢とハリがあり、綺麗な茶褐色のものを選ぶようにしましょう。
形はコロンとした丸みがあって、1粒が大きいものがおすすめ。持ってみて、ずっしりと重みがあるかどうかも確認してみて。指で押すとペコペコするものは避けたいところです。
底の白い部分は、大きく、黒っぽい箇所がないものの方が美味しいといわれています。
また、白いブツブツが付いていたり、傷や黒変、カビ、虫に食べられた穴などがないかどうかもしっかりとチェックしましょう。
栗は、収穫から数日経つと乾燥によって縮み、徐々に品質や味が落ちていきます。購入後はなるべく早めに食べるようにしましょう。保存したい場合は、乾燥から守るために新聞紙に包んで冷蔵庫に入れておけばOK。とはいえ、生ものなのでなるべく1週間以内には食べた方がベターです。
栗の豆知識
栗は、チクチクととがった“イガ”に覆われています。実はこのイガは、ほかの果物でいう皮の部分にあたり、鬼皮と呼ばれるかたい皮が果肉(実)、そして私たちが食べている渋皮&その中身が種にあたるのだといいます。「知らなかった!」という人は、ぜひ周りの人に雑学を披露してみて。
りんご

八百屋さんやスーパーに行くといつでも見られるイメージの強いりんごですが、旬の時期は9〜12月頃。欧米では「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」といわれているほど、栄養価が高く、美容にも健康にもよい果物です。「ジョナゴールド」や「ふじ」をはじめ、多種多様な品種が揃い、それぞれにまったく違った味わいを持ちます。
美味しいりんごの見分け方
全体が色づき、おしりの部分に緑色が残っていない、ハリとツヤがあるものを選びましょう。ただし、“無袋”または“サン”の表示があるものは、色が鮮明でなくても味は優れているものが多いとされています。これらは、袋を掛けずに栽培されたりんごを指していて、太陽の光を多く浴び、甘みが増しているのです。また、「つがる」などの早生種は、全体的に色づいていなくても、緑色が抜けていれば完熟しているサイン。
実際に持ってみるのもおすすめです。見かけよりも重く感じ、指で軽く叩いてみると澄んだ音がするものが理想。さらに、品種特有のさわやかな香りを放っていることも美味しいりんごである証です。
形は、左右対称で変形していないものが、部位による味のバラつきが少ないとされています。
軸は、シワがなく弾力があるものを選びましょう。
りんごの豆知識
まれに表面がベタベタとしているものがあります。りんごは、成熟が進むと果皮で「リノール酸」や「オレイン酸」が増えます。果皮の表面に付くブルームはロウ性の物質なので、これらの酸によって溶かされるとベタベタするのです。ワックスが塗られていると勘違いする人がいますが、果物自身が作り出すものなので体に害はなく、むしろ完熟の証といえます。
キウイフルーツ

国内産のキウイフルーツは、10〜11月頃に収穫されます。ところが、ほとんどのものがそのままでは食べられないため、冷蔵庫などで貯蔵され、だいたい12月頃から市場に出回るようになります。購入したときにまだかたくても、常温で保存して追熟を促せば食べ頃になるので、未熟のものを選んでも問題はありません。
美味しいキウイフルーツの見分け方
まんべんなく茶色で、果皮に褐色のうぶ毛がびっしりと均等に生えているものを選びましょう。ただし、「ゴールデンキウイ」にはうぶ毛はありません。
形は、丸みのある綺麗な俵型で、変形していないものの方が美味しいといわれています。表面にはシワがない方が好ましいです。
キズや腐敗がないかどうかもチェックしましょう。
また、軽く押してみて、かたすぎるものは未熟です。やや柔らかく、弾力があるものがおすすめ。とはいえ、強く押しすぎると傷んでしまうので、お店のものを扱うときは要注意です! キウイフルーツ独特の甘い香りが漂うのも成熟しているサイン。
ちなみに、キウイフルーツは下から熟していくため、頭の方よりおしりの方が甘みが強いです。そのため、カットして食べる際は、輪切りにするよりもくし形切りにした方が甘さが均等になり、どこを食べても美味しく感じられます。
キウイフルーツの豆知識
未熟なキウイフルーツを買ったときは、冷蔵庫に入れると追熟が止まってしまうのでNG。未熟なキウイフルーツをどうしても早く食べたいという場合は、袋の中にりんごやバナナと一緒に入れて保存すると早く熟します。これは、りんごやバナナが、果実を成熟させる働きのある「エチレン」というホルモンの一種を出すためです。
みかん(温州みかん)

みかんといえば、一般的に皮が柔らかくむきやすい「温州みかん」を指します。“こたつにみかん”のイメージから、冬の風物詩のイメージが強いですが、みかんの出荷最盛期は10月から翌年1月頃。袋や袋に付いている白い筋には、「ポリフェノール」や「食物繊維」が豊富! 白い筋は取りきらずにそのまま食べてしまいましょう。
美味しいみかん(温州みかん)の見分け方
オレンジ色が鮮やかで、ハリとツヤがしっかりとあるものが美味しいみかんです。皮は薄い方がよいとされています。ブカブカと皮が果実から浮いていないものを選びましょう。皮の薄いor厚いは、見た目だけでは分かりづらいかもしれませんが、皮が薄いものだと袋の形が浮き出ているものもあります。また、皮が薄いものは、触ったときに果肉の感触が伝わりますが、厚いものはかたいです。その点にも注意してみて。
軸は細く、ヘタは小さめで橙黄色のものの方が美味しいといわれています。
形は、腰高で丸いものは糖度が低い傾向があるので、平べったいものがベター。また、極端な大玉は、甘みも酸味も弱い、いわゆる味の薄いみかんである場合が多いようです。欲張らず中玉を選ぶとよいでしょう。
また、みかんの表面には「油胞」という濃いオレンジ色のプツプツとした細胞があります。この油胞がきめ細かく、多く入っているものほど美味しいとされています。
みかん(温州みかん)の豆知識
みかんは、皮をむかなくても、中の袋の数を知ることができます。ヘタを取って裏返してみると、小さなくぼみに線のようなものがたくさんあります。これは実に栄養や水分を運んでいた「維管束」の断面。線ひとつが袋ひとつに繋がっているので、この線の数が中の袋の数というわけです。
イチジク

イチジクの旬の時期は1年に2回あり、5月頃から夏にかけて出回る「夏果」と、夏から11月頃に出回る「秋果」があります。プチプチとした食感と上品な甘さが特徴で、特に女性からの人気が高い果物です。実際に、女性ホルモンに近い働きをする「植物性エストロゲン」という栄養素を多く含むので、女性特有の体の不調に悩む人や美肌効果を期待する人にもおすすめ。
美味しいイチジクの見分け方
ふっくらとしていて形がよく、果皮にハリと弾力があるものを選びましょう。全体が赤褐色になっていて、おしりの部分まで色づいているものが食べ頃です。
おしりの部分が割れていることも完熟している印。ただし、割れすぎているものは避けましょう。過熟で、傷みはじめている可能性が高いからです。
ヘタの切り口に白い液が付いているものがありますが、これはタンパク質を分解する酵素「フィシン」を含んだ分泌液。これが切り口に付いているものは新鮮な証拠ともいわれていますが、皮膚に付くと痒みが出たり、かぶれたりする人もいます。
また、イチジクは、デリケートで傷みやすい果物なので、扱いには十分注意しましょう。キズが付くと、そこから傷んでいってしまいます。常温保存も厳禁。購入後はすぐに冷蔵庫に入れて、なるべく早めに食べるようにしましょう。
イチジクの豆知識
イチジクは漢字で“無花果”と書きますが、花は咲かずに実を付けるのでしょうか。果物や野菜は、花が咲いてから実を付けますが、イチジクには成長の過程で花が見られません。しかしながら実際は、私たちが食べているつぶつぶの部分が花なのだそう。ないどころか、食べていたのだから驚きですね……。
レモン

国産のレモンが出回る旬の時期は、10月から翌年3月頃にかけてです。レモンは「ビタミンC」の含有量が柑橘系の中ではトップクラス、さらに「クエン酸」の含有量は、果物の中でもトップクラスです。クエン酸は、体内の抗酸化作用を高める働きがあるので、アンチエイジング効果も期待できます。
美味しいレモンの見分け方
果皮はなめらかでハリとツヤがあり、全体的に色ムラがなく鮮やかな黄色をしたものがよいレモンです。
手に取ってみて、見かけよりもずっしりと重みがあるものを選びましょう。中の果汁をたっぷりと含んでいる証拠です。
また、温州みかんと同じように、果肉がたっぷり詰まっている証になるので、果皮は薄い方が好ましいです。触ってみて、やや柔らかく感じられるのは、皮が薄いということ。ゴワゴワとかたく分厚いものは避けた方が無難です。ちなみに、「リモノイド」と呼ばれる苦味成分は、果皮や白い部分、種に多く含まれるので、例えばはちみつレモンなどの料理に皮の厚いレモンを使用した場合、「苦い」と感じることがあります。
鼻を近づけてみて、レモン特有の爽やかな香りがするものは、中も成熟しています。
ヘタは、収穫から時間が経つほど茶色く変化していくので、緑色をしている方が新鮮だといえます。
レモンの豆知識
レモンが、10円玉をピカピカにすることはよく知られていますが、同じくレモンの酸を利用したおもしろい実験があります。まず、赤シソや紫キャベツなどにお湯を足して色を出した水を作ります。そこにレモンを絞ると色が次第に変化! これは「アントシアニン」と呼ばれる紫色の色素がレモンの酸と反応するため。ぜひ色々な野菜や果物で実験してみて。
まとめ
文/渡邊倫子