秋といえば「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」などありますが、「芸術の秋」を楽しむのはいかがでしょう。今回は、100円ショップで手軽に手に入る材料のみを使ってできるアート作品を5選ご紹介します。ひとりの時間に本気で、あるいはお子さんと一緒に楽しく、創作活動をしてみませんか。私は実際に挑戦してみたところ、反省点、改善点だらけとなってしまいました……。その点もぜひ参考にしてみてください。

重曹アート
「テクスチャーアート」とは、絵の具とペーストを混ぜて描く抽象画のことで、立体感や触感、質感まで楽しめるのが魅力です。重曹を使用することで、ザラザラ、ボコボコとした風合いが楽しいテクスチャーアートが、誰でも簡単に作れます♪
重曹アートに必要なもの

- 重曹
- 絵の具or水彩ペイント
- キャンバスなど
- 紙コップ
- 割り箸など
- スプーンなど
割り箸は、重曹と絵の具を混ぜるときに使用します。重曹の量によってペーストの固さが変わるので、それに合わせてハケや筆、ペインティングナイフなどを使うとよいでしょう。今回はスプーンを使用しています。
重曹アートのやり方

1. 重曹と絵の具を混ぜ合わせます。重曹と絵の具は、1対2くらいの割合を目安に。もちろん好みに合わせて重曹の量を調節しても大丈夫です。重曹が多いほど、ボソボソ、ザラザラとした質感になります。

2. 重曹と絵の具を混ぜ合わせたペーストを何色か作ったら、キャンバスの上に乗せていきます。

3. 2で乗せたペーストをスプーンでキャンバスに擦り付けていきます。異なる色同士をどのくらい混ぜ合わせるのかを考えながら伸ばし広げて。

4. 半日〜1日ほどしっかり乾かせば完成!

玄関に飾ってみました。本当は、白をベースに淡い色合いで作りたかったのですが、家にある絵の具を使ったせいで、白色の絵の具が足りませんでした……。重曹を先に紙コップに入れると、絵の具を出しながら「足りない!」となることがあるので、絵の具から先に入れることをおすすめします。
立体的なので光の当たり方で陰影も変化します。白一色で作るのもよさそう!
フルイドアート
フルイドアートとは、絵の具やインクなどの液体(fluid)の流動性を活かして描かれる抽象的なアート作品。偶然に生まれる色彩や模様がフルイドアートの醍醐味であり魅力です。複雑な見た目に反して細かな作業も難しい技術も必要ないため、絵が得意or苦手は関係ありません。
セルとは?

フルイドアートにおいて、絵の具が弾け合ってできたブツブツとした小さな丸い細胞のような形をした模様を「セル」といいます。
セルは、フルイドアート特有の魅惑的な模様ではありますが、このセルを作るためには「シリコンオイル」を数滴材料に加え、さらにバーナーやライターで炙る必要があります。
調べたところ、アロマオイルやヘアオイル、洗剤などで代用し、挑戦している人もいるようですが、1番近そうなものだと、キャンドゥで売られている「エリップス」というヘアオイル(※現在は2個で330円で売られているようです。これは、シリコーンオイルミックスがベースとなっているので、セルを上手く出せるかもしれません! )。
検証したかったのですが、私の住んでいる場所では購入できず……。今回は省略した“お手軽バージョン”です。気になる人はチャレンジしてみて。
フルイドアートに必要なもの

- 洗濯のり
- アクリル絵の具
- キャンバスなど
- 紙コップ
- 割り箸など
実際は、絵の具の粘度を抑え流動性を高める「ポーリングメディウム」というものが使用されますが、これを「洗濯のり」で代用します。
フルイドアートのやり方

1. 洗濯のりとアクリル絵の具を割り箸などでしっかりと混ぜ合わせます。洗濯のりとアクリル絵の具は、1〜2対1ほどの割合です。

2. 別の紙コップに1を順番に流し込んでいきます。この際、かき混ぜずにそのままにしておきましょう。

3. 2にキャンバスの表でフタをしてから逆さまにします。紙コップの中の絵の具が下まですべて落ちたところで、紙カップを持ち上げます。今回は、幼稚園児の息子が挑戦したため、2をそのままキャンバスの上に垂らしました。

4. キャンバスを色々な方向に傾けながら、絵の具を動かしていきます。

絵の具が足りないようであれば、その都度継ぎ足していけば問題ありません。

5. 半日〜1日ほどしっかり乾かせば完成!

リビングの飾り棚の上に設置。セルがなくても、これはこれでよい作品なのではないでしょうか。
当然ですが、絵の具を追加して動かすたびに模様は変わっていくので、「あれ、さっきの方がよかった! 混ざりすぎてる!」といったこともあります。汚れてもよいように下にビニールなどを敷き、最初の段階で多めに流した方が、必要以上に絵の具を動かす必要がなく、綺麗な作品に仕上がるかもしれません。
アルコールインクアート
アルコールインクアートはフルイドアートの一種で、専用の紙にアルコールインクとアルコール液を垂らし、色を合わせたり、にじませたりぼかしたりしながら描いていくものです。幻想的で美しい色合いが特徴で、ナチュラル系のインテリアが好きな人におすすめ。
アルコールインクアートに必要なもの

- イラストマーカー
- アルコール除菌スプレーなど
- ユポ紙、写真紙などの耐水紙
- スポイト
- ドライヤー
アルコールインクはイラストマーカーで代用します。100円ショップではさまざまな色が揃い、2本セットや3本セットで売られているものもあります。
アルコールインクアートには高濃度のアルコール液が推奨されているため「無水エタノール」や「イソプロピルアルコール(IPA)」がよく使われているようです。今回はダイソーの「アルコール除菌スプレー」で代用。こちらはエタノール63v/v%のものです。
アルコールインクアートのやり方

写真紙にイラストマーカーで線などを描き、スポイトを使って消毒液を垂らしていきます。そうすると、じんわりとにじんでいくはずなのですが……。描いた跡は薄くなるものの、紙の方に液が染み込んでいきます。

このような理想のアルコールインクアートとは随分違います。
使用した写真紙の耐水性が低いのか、消毒液のアルコール濃度が低すぎるのか…。そこで、クリアファイルやクッキングシートでも試してみました。ところが、今度は耐水性が高すぎて、色の付いた消毒液が水たまりを作るだけ。アルコール濃度も低いため揮発性が低く、ドライヤーで風をあてても吹き飛んでしまう始末です。
そこで、家にあった表面がツルツルとしたお菓子の空き箱を使ってみたところ、なんとかできました。同じように、表面がツルツルした耐水性の強い紙袋なんかも使えそうです。

1. 空き箱を分解してカットしました。イラストマーカーで色を塗り、スポイトを使って消毒液を数滴落とします。

2. じんわりとにじんできたら、ドライヤーの風をあてて、広げたり、好きな場所に色を動かしていきます。

3. 何色か使ってこの作業を繰り返します。一色ずつでも、一気に色を塗ってもOK。

4. 完成。本物のアルコールインクアートと比べてしまうと、若干失笑もののような気もしますが、これはこれでよしとします!

適当な大きさにカットして写真立ての中に入れ、テレビ台に飾ってみると、何となく様になっているような気が……!
個人的にはアルコールインクアートの雰囲気が好きなので、ぜひ無水エタノールを購入してリベンジしてみたいところです。無水エタノールは、ドラッグストアやホームセンターなどで、100mLサイズのものであれば、1000円前後で購入できます。
ビー玉アート
ビー玉アートは、文字通りビー玉を使ったアート作品。ビー玉に絵の具を付けて、紙の上をコロコロと転がしていくだけ。直線や曲線が交じり合った不思議な模様は、お祭りにあるヨーヨーの柄のようで可愛らしいです。
ビー玉アートに必要なもの

- ビー玉
- 絵の具
- 紙
- 紙コップ
- 割り箸など
- 空き箱など
お菓子などの空き箱に紙を入れてその中でビー玉を転がします。ティッシュの箱もほどよい大きさで使いやすくおすすめ。
色の付いたビー玉は、割り箸を使ってつかむと手を汚さずにすみますよ。
ビー玉アートのやり方

1. 空き箱に紙をセットします。

2. 絵の具に水を混ぜます。薄い色にしたいなら水は多めに、濃い色にしたいなら水は少なめにしましょう。中にビー玉を入れて色を付けます。

3. 2のビー玉を、割り箸を使って紙に乗せ、コロコロと転がしていきます。色が付かなくなったら、ビー玉に絵の具を付けなおして。

4. 絵の具がしっかり乾いたら完成!

別の色でも作ってみました。

ぜひ、いろいろな色の組み合わせで試してみてください。

白い壁にマスキングテープで貼っただけですが、よいアクセントになっています。ビー玉アートは小学生の息子が挑戦しましたが、「もういいんじゃない? 止めて!」と声を掛けてもやめません。そのため、見ての通り線が多めです。好みが分かれるかもしれませんが、ほどほどで止めておいた方が、おしゃれに仕上がりそうです。
クレヨンアート
今回挑戦するクレヨンを使ったアートは、クレヨンをアイロンの熱を利用して溶かしながら紙に色を乗せていくものです。いつものように紙にクレヨンで描いていくのとは違った発色とインパクトが楽しめます。小さくなって使えなくなったクレヨンを使うのも◎。
クレヨンアートに必要なもの

- クレヨン
- 紙
- クッキングシート
- アイロン
- カッターなど
紙の上にクレヨンを小さく削っていきます。私は彫刻刀を使用しています。クレヨンの代わりにクーピーでも同様の作品ができます。クーピーであれば、専用の削り器を使って削りカスを落としていけばよいので、小さな子どもでも安心ですね。
クレヨンアートのやり方

1. クレヨンを紙の上に削り落としていきます。

2. 1で乗せたクレヨンが散らばっていかないように優しくクッキングシートをかぶせます。

3. 上からそっとアイロンを当てます。低温、さらにほんの少しの時間であっという間に溶けていきます。長めにあてると、クレヨンがとろけるように混ざり合って、それもまた綺麗ですが、油染みができてしまいます。

4. 完全に冷めるまで、触らずに置いておきましょう。

すぐにクッキングシートをはがしてしまうと、写真のようにクレヨンがクッキングシートの方にくっ付いてしまいます。この淡く不思議な雰囲気が好みだという人は、こちらでもOK。

5. 熱が冷めたら、クッキングシートをゆっくりとはがして完成!

茎、リボンを描き足してブーケにしてみました。こちらはピアノの上に配置。今回は白の画用紙を使いましたが、黒の画用紙などを使っても、ガラリと印象が変わってかっこよさそうな予感。
まとめ
文/渡邊倫子