一度は味わいたい強烈な熱気祭り|日本の秋は「けんか祭り」が最高潮! その魅力に迫る

公開日:2025/09/08

一度は味わいたい強烈な熱気祭り|日本の秋は「けんか祭り」が最高潮! その魅力に迫る

秋は、春から大切に育ててきた稲が実り、収穫を迎える季節です。農耕を生活の基盤としてきた日本では、秋に豊作を祝うお祭りを行い、神様に感謝と祈りを捧げる習わしがあります。秋に開催される地域色豊かなお祭りは、日本古来の文化に触れる絶好のチャンスです。

 

この記事では、さまざまある日本の秋祭りの中でも、特に強い熱気を放つ「けんか祭り」をピックアップしました。

けんか祭りの概要や魅力、さらには熱気溢れる「日本三大けんか祭り」について、詳しく見ていきましょう。

 

※「日本三大けんか祭り」の解釈はさまざまありますが、この記事では岸和田だんじり祭(大阪府)、灘のけんか祭り(兵庫県)、新居浜太鼓祭り(愛媛県)をご紹介します。

「けんか祭り」とは?

写真提供:フォトバンクきしわだ|岸和田市

 

「けんか」と聞くと争いごとのようなイメージがありますが、けんか祭りでは実際にけんかをするわけではありません。

 

けんか祭りとは、どのようなものなのでしょうか?

神輿や山車のぶつかり合いがあるお祭り

けんか祭りとは、激しいぶつけ合いや押し合いがあったり、争いの雰囲気が強かったりするお祭りの総称です。

 

多くのお祭りでは、神様を迎えたり、町の繁栄や安全を祈願したりするための神輿や山車、太鼓台といった曳き物が登場します。

こうした曳き物は静かに町内を練り歩くのが一般的ですが、けんか祭りでは激しい衝突が起こることもしばしばです。

 

祭りの中に「競争」があり、地域間の意地・誇りのぶつかり合いが大きな熱気を生み出します。

地域の団結や豊作などの意味がある

けんか祭りは、ただ荒々しいだけの祭りではありません。

神輿や山車をぶつけ合う激しい儀式を通じて、人々は神様に豊作(五穀豊穣)や豊漁を祈ります。

 

また地域同士で争うけんか祭りは、地区の人々の絆を深め、団結力を高める絶好のチャンスとされてきました。

 

各地域の担ぎ手や曳き手は一致団結して祭りに参加し、山車や神輿を動かしながらチームワークや結束を強めていきます。

けんか祭りの魅力

けんか祭りの魅力は、他のお祭りにはない圧倒的な迫力と、祭り全体を包み込む熱気です。

けんか祭りの魅力について、詳しく見ていきましょう。

圧倒的な迫力

けんか祭りに登場する神輿や山車、太鼓台などの多くは、高さ数m・重さ数トンにものぼる巨大なものです。

衝突による衝撃は非常に大きく、静かなお祭りにはない圧倒的な迫力があります。

 

また「勝負」の側面が強いけんか祭りでは、曳き手の気合いと熱気もひとしおです。

地域の人々が同じ服装で一致団結する姿は力強い気迫があり、祭りの緊張感を高めています。

観客の熱気や一体感

けんか祭りならではの迫力や熱気に触れることで、見ている観客にも独特の高揚感が生まれます。

 

曳き手の動きや声に合わせて観客が声を上げたり、声援を送ったりするのはけんか祭りならでは。

祭りの会場では太鼓や笛の音も響き渡り、日常ではなかなか感じることのできない熱狂的な雰囲気でいっぱいになります。

日本三大けんか祭りをチェック!

日本のお祭りには荒々しいものがさまざまありますが、中でも特に注目されるのが「岸和田だんじり祭り(大阪府・岸和田市)」「灘のけんか祭り(兵庫県・姫路市)」「新居浜太鼓祭り(愛媛県・新居浜市)」です。

 

ここからは、それぞれのお祭りの概要や魅力を詳しくご紹介します。

岸和田だんじり祭(大阪府)

写真提供:フォトバンクきしわだ|岸和田市

 

岸和田だんじり祭りは、大阪府岸和田市のお祭りです。

毎年9月と10月に行われ、2025年は9月7日(日)~14日(日)、10月5日(日)と11日(土)、12日(日)に開催される予定となっています。

 

荒々しさと勇壮さに定評のある、岸和田だんじり祭をご紹介します。

▼岸和田だんじり祭の概要

写真提供:フォトバンクきしわだ|岸和田市

 

岸和田だんじり祭は、江戸時代中期の岸和田藩主が五穀豊穣を祈願して行った稲荷祭が起源だといわれています。

お祭りは徐々に地域の人々に浸透し、だんじり(車輪のついた山車)を曳く現在の形へと発展しました。

 

岸和田だんじり祭は年に2回開催されますが、それぞれ中心となる地区が異なります。

 

  • 9月:主に岸和田城下町を含む「浜手」が中心
  • 10月:「山手」の地区が中心

 

祭りの本番の数日前には「試験曳き」も行われ、本番さながらの迫力を体験できます。

▼岸和田だんじり祭の見どころ

写真提供:フォトバンクきしわだ|岸和田市

 

岸和田だんじり祭の最大の魅力は、「やりまわし」と呼ばれる素早い方向転換です。

 

通常のお祭りでは、山車が角を曲がるときは、慎重に・ゆっくりと方向を転換します。

しかし岸和田だんじり祭では、スピードを保ったまま勢いよく方向を変えるのが習わしです。

 

やりまわしには常に転倒や衝突のリスクがあり、見ている観客もハラハラドキドキが止まりません。

狭い街角を大きなだんじりが高速で方向転換するたびに、歓声と拍手が上がります。

 

まただんじりそのものに施された細やかな「彫り物」も、岸和田だんじり祭の見どころの1つです。

だんじりには歴史上の人物や神話の場面、霊獣などが彫刻されており、「動く芸術品」とも呼ばれるほど精緻に仕上げられています。

彫刻は町によって異なるので、ぜひ見比べて楽しみましょう。

▼現在では厳格なルールあり

写真提供:フォトバンクきしわだ|岸和田市

 

岸和田だんじり祭りが「けんか祭り」といわれるのは、かつてだんじり同士がすれ違う際に、激しい口論や衝突が起こることがあったためです。

特に祭りのメインともいえる「やりまわし」では、各町のだんじりがぶつかり合うことも少なくありませんでした。

激しいやり取りは、けんかをしているように見えることが多かったそうです。

 

現在はルールや安全対策が整えられ、危険な衝突が起きないように運営されています。

とはいえ、岸和田だんじり祭ならではの荒々しさがなくなったわけではありません。

今もお祭りでは、だんじりの勇壮さ・曳き手たちの大きな掛け声が、多くの人を魅了しています。

 

参考:岸和田だんじり祭 – 岸和田市公式ウェブサイト

灘のけんか祭り(兵庫県)

写真提供:灘のけんか祭り | フォトライブラリー | 【公式】兵庫県観光サイト HYOGO!ナビ 

 

灘のけんか祭りとは、兵庫県姫路市の松原八幡神社で行われる秋季例大祭の通称です。

2025年は10月14日(宵宮)と10月15日(本宮)に開催される予定となっています。

 

灘のけんか祭りについて詳しくご紹介します。

▼灘のけんか祭りの概要

灘のけんか祭りは、五穀豊穣と大漁を神に感謝し、来年の豊作を祈願する神事です。

起源については諸説ありますが、現在の祭りの形式は、江戸時代に確立したと考えられています。

 

灘のけんか祭りは、1日目が「宵宮」、2日目が「本宮」です。

 

宵宮では早朝から各地区の神輿が町内を練り歩き、地域の鎮守社を参拝します。

その後神輿は松原八幡神社に宮入りし、楼門前で競演する決まりです。

華やかな屋台が並ぶ様子は圧巻で、1日目の見どころとなっています。

 

2日目は、祭りのハイライトともいえる「神輿合わせ」が行われる日です。

本殿前の広場には3基の神輿が登場し、激しいぶつかり合いを繰り広げます。

▼灘のけんか祭りの見どころ

写真提供:姫路フォトバンク|姫路市

 

灘のけんか祭りの見どころは、何といっても3基の神輿を激しくぶつけ合う「神輿合わせ」でしょう。

 

3基の神輿には神様が宿っていると考えられており、激しくぶつかるほど神様が喜ぶのだとか。

担ぎ手たちは掛け声とともに激しく神輿をぶつけ合うため、その衝撃は観客席まで響き渡ります。

 

激しい競り合いはけんか祭りの名にふさわしく、圧巻の一言。

迫力満点のぶつかり合いを見ようと、全国から数十万もの人が訪れます。

 

参考:姫路・灘のけんか祭り「宵宮」 | 口コミ | 【公式】兵庫県観光サイト HYOGO!ナビ 

新居浜太鼓祭り(愛媛県)

新居浜太鼓祭りは、愛媛県新居浜市で開催される伝統的な秋祭りです。

2025年は、10月16日(木)~10月18日(土)に開催される予定となっています。

日本三大けんか祭りの1つに数えられる、新居浜太鼓祭りについて見ていきましょう。

 

※大生院地区のみ10月15日(水)~10月17日(金)

▼新居浜太鼓祭りの概要

新居浜太鼓祭りは、四国三大祭りの1つにも数えられる歴史ある伝統行事です。

祭りの起源は鎌倉時代あるいは平安時代にまで遡るといわれており、300年以上の歴史があります。

 

新居浜太鼓祭りは、秋の豊作を感謝して氏神に奉納する「太鼓台」が登場するのが特長です。

太鼓台とは、高さ5m以上・重さ3トン以上もある豪華絢爛な山車の一種のこと。

もともとは子ども神輿程度の小さなサイズでしたが、地域経済が発展した明治中期以降にどんどん大きく・豪華になっていったそうです。

 

太鼓台は新居浜市内に54台あり、各地区が所有する習わしとなっています。

▼新居浜太鼓祭りの見どころ

新居浜太鼓祭りの見どころは、各地域の太鼓台同士で競い合う「かきくらべ」と呼ばれる神事です。

かきくらべでは、かき夫(太鼓台の担ぎ手)たちが巨大な太鼓台を担ぎ上げ、その力強さや美しさを競い合います。

 

評価のポイントは、両手を伸ばして太鼓台を高く掲げる「差し上げ」という動作の美しさ、飾りの「房」(房飾り)の揺れ具合、太鼓台が担がれている時間の長さなどです。

かきくらべでは太鼓と笛の音、かき夫たちの掛け声が響き渡り、お祭りを大いに盛り上げます。

「けんか」は封印されている

新居浜太鼓祭りがけんか祭りといわれたのは、「鉢合わせ(はちあわせ)」と呼ばれる太鼓台のぶつけ合いが行われていためです。

「より盛大にぶつかり合うことで、神が喜ぶ」などの言い伝えもあり、かき夫たちは激しく太鼓台を衝突させる慣例がありました。

 

しかし近年のお祭りで激しい鉢合わせによる事故が多発し、2025年時点では鉢合わせは禁止となっています。

 

参考:新居浜太鼓祭り – 愛媛県新居浜市ホームページ|四国屈指の臨海工業都市

まとめ

「けんか祭り」と聞くと荒々しいイメージがありますが、近年は厳しいルールが策定されていることが多く、観覧者や曳き手等の安全に配慮しながら行われています。
秋祭りのシーズンには、けんか祭りならではの熱気と迫力を体感しに足を運んでみてください。

ただし楽しく安全にお祭りを楽しむためには、観覧者がマナーを守ることも大切です。
決められた場所で観覧する・時間を守るなどを徹底しましょう。

各お祭りの詳細については、お出かけ前に公式サイトで情報を確認してくださいね。


文/カワサキカオリ

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