りんごだけじゃない! 意外と知られていない青森の郷土料理5選をご紹介

公開日:2025/09/25

りんごだけじゃない! 意外と知られていない青森の郷土料理5選をご紹介

「青森県」と聞いて、何を思い浮かべますか?
真っ赤なりんご、迫力満点のねぶた祭、美しい奥入瀬渓流……。

たくさんの魅力にあふれる青森県ですが、実はまだまだ知られていない、奥深い魅力があるんです。

 

それは、その土地ならではの「郷土料理」。

「茶碗蒸しに栗!?」「お寿司がピンク色?」
思わずそんな声が出てしまうような、ユニークな料理が青森にはたくさんあります。

今回は、生まれも育ちも青森県の筆者が、知られざる青森の郷土料理の魅力をお届けします。

青森の数ある郷土料理の中から、驚きと美味しさにあふれた5品を厳選してご紹介します。
材料や作り方も紹介するので、ぜひご家庭で作ってみてください。

1. 刻んだ野菜たちのハーモニー 「けの汁」

まずご紹介するのは、津軽地方に伝わる「けの汁」。

 

大根、人参、ごぼうなどの根菜類や、ワラビやフキなどの山菜、油揚げ、高野豆腐などを、さいの目状に細かく刻んで煮込んだ、具だくさんの汁物です。

 

その昔、お正月に忙しいお母さんたちが、少しでも楽ができるようにと作られたのが始まりだとか。

野菜を細かく刻むのは手間がかかりますが、一度にたくさん作っておけば温めるだけですぐに食べられます。

 

野菜がたくさん入っているので栄養も満点!野菜嫌いのお子さんでも、細かく刻んであるので食べやすいかもしれません。

味噌で優しく味付けされた「けの汁」は、冷えた体を芯から温めてくれます。

材料(5人分)

  • 大根:1本
  • 人参:2本(中サイズ)
  • ごぼう:約1本
  • ワラビ:約1〜2束
  • フキ:約3〜5本(太さによる)
  • 油揚げ:75g
  • 高野豆腐:400g
  • 大豆(水煮または蒸し):300g
  • 昆布(だし用):1本
  • 赤味噌:200g

作り方

  1. 鍋にだし用の昆布と水を入れ、一晩おいてだしをとります。 水の量は、すべての材料がひたひたに隠れるくらいが目安。
  2. わらびは水から煮てそのまま冷まし、フキは水にさらして塩抜きしておきます。
  3. 大豆をすり鉢で細かくすりつぶします。
  4. ごぼうはささがき、ワラビは2cm程度の長さに切ります。大根、人参、高野豆腐、フキはさいの目に、油揚げは細かく切ります。
  5. だし昆布を取り出した鍋に、大根、人参、ごぼうを入れて火にかけ、じっくりと煮ます。火が通ったら、フキと高野豆腐を加えて混ぜます。
  6. 煮立ったら、3の大豆を入れて混ぜ、さらに煮込みます。
  7. 味噌を溶き入れ、ワラビ、油揚げを加えて煮込んだら完成。

2. 甘い新体験! 「栗の甘露煮入り茶碗蒸し」

「茶碗蒸しに、甘い栗?」と聞くと、驚く方も多いのではないでしょうか。

しかしこれが、青森のスタンダードなんです。

 

青森県の茶碗蒸しには、鶏肉やかまぼこといった定番の具材と一緒に、「栗の甘露煮」が入っているのが特徴。

プリンのように滑らかな卵液の中から、ほんのり甘い栗が出てくる……。

この甘〜い味わいが、一度食べるとクセになる美味しさです。

 

お祝い事や人が集まる特別な日に食べられることが多く、青森県民にとっては「ごちそう」のイメージです。

材料(5人分)

【卵液】

  • 卵:5個
  • だし汁:750cc
  • 醤油:小さじ2と1/2
  • 塩:小さじ1/2
  • 酒:小さじ2と1/2

【具材】

  • 鶏もも肉:100g
  • 栗の甘露煮:5個
  • しいたけ:2〜3枚
  • かまぼこ:5切れ
  • みつば:少々

作り方

  1. 鶏もも肉は一口大に切り、醤油と酒(それぞれ小さじ1)で下味をつけます。
  2. しいたけは石づきを取り、薄切りにします。
  3. かまぼこも薄切りにし、みつばは2cmほどの長さに切っておきます。
  4. ボウルに卵を割り入れ、よく溶きほぐします。冷ましておいただし汁と、醤油、塩、酒を加えて混ぜ合わせ、ざるなどで一度こします。
  5. 茶碗蒸しの器に、鶏もも肉、しいたけ、かまぼこ、栗の甘露煮を均等に入れます。
  6. 上から卵液を静かに注ぎ入れます。
  7. 蒸気の上がった蒸し器に器を並べ入れます。最初は強火で1分ほど蒸し、その後弱火にして10〜15分蒸します。竹串を刺してみて、透明な汁が出れば蒸しあがり。
  8. みつばを飾って完成です。

3. 食卓が華やぐピンク色! 「紅しょうがのいなり寿司」

いなり寿司といえば、甘辛く煮たお揚げにご飯を詰めた、茶色い見た目を想像しますよね。

しかし、青森県の津軽地方で作られるいなり寿司は、鮮やかなピンク色なんです!

 

ピンク色の正体は、刻んだ「紅しょうが」。

酢飯にたっぷりの紅しょうがを混ぜ込むことで、全体が美しい桜色に染まります。

 

紅しょうがの爽やかな香りとピリッとした辛味が、お揚げの甘さと絶妙にマッチ。

さっぱりとしているので、いくらでも食べられてしまいます。

見た目も華やかなので、お祝いの席にもぴったりです。

材料(5人分・10個分)

  • もち米:2合
  • 油揚げ:5枚
  • 紅しょうが:60g
  • 白ごま:大さじ1

【油揚げの煮汁】

  • だし汁:400ml
  • 砂糖:大さじ6
  • しょうゆ:大さじ4
  • みりん:大さじ1

【すし酢】

  • 酢:90ml
  • 砂糖:60g
  • 塩:15g

作り方

  1. もち米は研いで水に一晩浸けたものを、炊飯器で少しやわらかめに炊きます。
  2. すし酢の材料をすべて混ぜ合わせます。
  3. 紅しょうがをみじん切りにします。
  4. 油揚げはまな板の上で菜箸などを転がして開きやすくし、半分に切って袋状にします。湯を沸かした鍋に油揚げを入れて2〜3分油抜きしたあと、ザルにあげて水気を切ります。鍋に油揚げの煮汁の材料と油揚げを入れ、中火にかけます。煮立ったら弱火にし、煮汁が少なくなるまで15〜20分ほど煮詰めます。火を止めてそのまま冷まし、味を染み込ませます。
  5. 炊きあがったもち米をボウルに移し、熱いうちにすし酢を回しかけます。しゃもじで切るように混ぜ、うちわなどであおいで冷ましながらツヤを出します。
  6. すし飯(酢飯)が人肌に冷めたら、刻んだ紅しょうが、白ごまを加えてさっくりと混ぜ合わせます。
  7. 油揚げの煮汁を軽く絞り、すし飯を詰めたら完成。

4. イカの旨味がじゅわ〜! 「イガメンチ」

「イガメンチ」は、津軽地方の家庭料理として親しまれている、イカのゲソ(イカの足)を使ったメンチカツのこと。

 

諸説ありますが、終戦直後の食糧難の時代に、イカを残さず食べれるよう、また野菜くずも美味しく食べれるようにとお母さんたちの知恵から生まれたとのこと。

 

細かく叩いたイカのゲソと、玉ねぎなどの野菜を混ぜて、衣をつけて揚げるだけ。

プリプリ、コリコリとしたイカの食感が楽しく、噛むほどに旨味が口いっぱいに広がります。

おかずとして食卓に並べたり、おやつとして楽しんだり、アツアツを頬張りたい一品です。

材料(5人分)

  • イカ(ゲソ): 250g
  • 玉ねぎ: 100g(中1/2個)
  • 人参: 40g
  • しょうが: 少々
  • 卵: 1個
  • 小麦粉: 大さじ2と1/2
  • 味噌: 小さじ1
  • 砂糖: 小さじ1/2
  • サラダ油: 適量

作り方

  1. イカのゲソは、食感が残るように粗く包丁でたたきます。
  2. 玉ねぎ、人参、しょうがは、すべてみじん切りにします。
  3. ボウルにイカゲソとみじん切りにした野菜、卵、小麦粉、味噌、砂糖を入れ、粘り気が出るまでよく混ぜ合わせます。
  4. 生地をスプーンですくい、食べやすい大きさにまとめます。
  5. 170℃に熱した油に生地をそっと入れ、きつね色になるまで揚げます。中まで火が通ったら、油を切って完成。
  6. お好みでソースや醤油をつけて食べてください。

5. お鍋の主役は“おせんべい”!? 「せんべい汁」

最後にご紹介するのは、八戸市周辺の南部地方を代表する郷土料理「せんべい汁」。

 

鶏肉やきのこ、野菜などが入った醤油ベースのお汁の中に、「南部せんべい」を割り入れて煮込む鍋料理です。

 

「おせんべいをお鍋に?」とびっくりするかもしれませんが、使うのは「かやき」と呼ばれる鍋専用のせんべい。

煮込んでも溶けにくく、モチモチ食感が楽しめます。

 

お肉や野菜の旨味をたっぷり吸ったおせんべいは、すいとんのような味わい。

家族みんなでひとつの鍋を囲んで、おせんべいを割り入れたり、煮え具合を確かめたりしながら食べる時間は、最高のコミュニケーションの時間になります。

材料(5人分)

    • 南部せんべい(かやきせんべい):5枚
    • 鶏もも肉:250g
    • ごぼう:約3/5本
    • 人参:約1/2本
    • 長ねぎ:1本
    • きのこ(しめじ、舞茸など):1パック
    • 糸こんにゃく:1/2袋
    • 焼き豆腐:1/3丁
    • せり:適量

作り方

  1. 鶏もも肉は、一口大に切ります。
  2. ごぼうはささがきにして水にさらし、アクを抜きます。
  3. 人参はいちょう切り、長ねぎは斜め切りにします。
  4. きのこは石づきを取って、小房に分けます。
  5. 糸こんにゃくは食べやすい長さに切って、下茹でします。
  6. 焼き豆腐は一口大に、せりは3〜4cmの長さに切ります。
  7. 鍋にだし汁を入れて火にかけ、鶏肉、ごぼう、人参を入れて煮立てます。煮立ったらアクを丁寧に取り除きます。
  8. きのこ、糸こんにゃく、焼き豆腐、長ねぎを加え、しょうゆ、みりん、酒、塩で味を調えます。
  9. せんべいを手で4等分に割りながら鍋に入れ、蓋をして2〜3分煮込みます。せんべいの芯が少し残るくらいが食べごろです。
  10. 最後にせりを加えて、火を止めたら完成。

まとめ

青森県の郷土料理はいかがでしたか?
「食べてみたい!」と思った料理があれば、青森県民としてとても嬉しいです。

次の休日は、家族みんなで青森の郷土料理作りに挑戦してみるのも楽しいかもしれません。
もちろん実際に青森を訪れて、本場の味を堪能するのも素晴らしい体験です。
旅の計画を立てながら、家族で「どれを食べてみたい?」と話し合うのも、また楽しい時間ですよね。

食は文化を知り、人を知り、家族の絆を深めてくれます。ぜひ、青森のおいしい郷土料理を家庭の食卓でも楽しんでみてくださいね。


文/なついろ

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