みなさんは食事の時間はどう過ごされていますか?家族揃ってだったり、子どもだけ先に食べさせたりなどご家庭により様々だと思います。また、子どもが小さいほど、食材や量に気を遣いますし、離乳食なども手がかかりますよね。
そんな子どもとの食事の時間について、他の人は楽しめているのかどうか、楽しむためにどのような工夫をしているのかを聞いてみました。
約7割のご家庭では楽しめている
アンケートで子どもとの食事を楽しめているかいないかを聞いてみたところ下のグラフでお分かりになるように、およそ7割のご家庭では「楽しめている」「比較的楽しめている」という結果となりました。
その反面およそ3割のご家庭では「あまり楽しめていない」「楽しめていない」という回答が返ってきました。
どのような点で楽しめているのかいないのかをいくつかピックアップしてみます。
楽しめている
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美味しそうに食べてくれる
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笑顔で食べてくれる
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会話をしながら楽しく食べている
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家族揃って食べる
比較的楽しめている
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美味しそうに食べてくれるが、嫌いなものだと拒否される
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良く食べてくれるが、食べムラがある
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食事中の会話は楽しいが、行儀が悪いことが多い
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食べ散らかしは困るけど、食べている姿が可愛い
あまり楽しめていない
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食事に集中してくれない
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立ち歩いてしまう
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時間がなく、会話があまりできない
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頑張って作ったのに、拒否されてしまう
楽しめていない
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食事に集中してくれない(食べてくれない)
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話ばかりで食事が進まない
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食べ物をぐちゃぐちゃにする(食べ物とジュースを混ぜるなど)
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お箸やフォークなどをちゃんと使えずイライラしてしまう
楽しめているという方は子どもが「美味しく笑顔で食べてくれる」ということでの回答が多く見受けられました。
一方、楽しめないという方は「食べることへの集中ができない」ということで悩まれている様子が伺えました。
では、みなさんが楽しい食事となるように行っていることは何なのかを見ていきたいと思います。
食事を楽しくするための工夫
少しでも子どもが楽しく食事してくれるために何をしているのか聞いたところ、実は楽しめている・楽しめていないでの差はほとんどなく、みなさん同じような工夫をしていました。
心当たりのある工夫もあるかと思いますので、一部をご紹介したいと思います。
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キャラクターの食器や食べ物を活用する
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食べ物が色とりどり&可愛くなるようにする
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家族みんなで食べる
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テレビや動画は消す
アンケートの回答からは、みなさんの様々な試行錯誤が伺えました。
また、テレビや動画を消すという方が多く見受けられましたが、逆に「テレビを見ながらそれに関する楽しい会話をする」や「うろうろし始めたら、テレビをつけて座らせる」などの方法も出ていました。
ちなみに、面白いなと思った方法としては、
・食べる音を聞かせてもらい、シャキシャキなどの音が聞こえたら「うわ、すごくいっぱい聞こえてるよ、もっと聞かせて」と楽しませる
・親が野菜などになりきり、「食べないで~」「かんじゃだめだよ、かんじゃだめだよ」などを言い、子どもが食べたら「あ~食べないでって言ったのに~」などを言うと喜んで食べる
など、子どもの気持ちをうまく掴んで、楽しく食べられるようにしているものもありました。
食事を楽しめている人で多かった意見
全体的に同じような工夫をしている様子が分かりましたが、特に「楽しめている」と回答された方の中で多かった工夫をご紹介します。
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急がせず、子どものペースに親が合わせる
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散らかしても叱らず、事前に片づけたり、拭いたりしやすいように準備する
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お手伝いや買い物で野菜を選ばせる、野菜を一緒に育てる
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無理強いせず食べきれる量にする
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ワンプレートを用意し、量を盛り過ぎない
もちろん、ご家庭により事情は様々ですので、工夫の中の1つとして捉えていただければと思います。また、先述した通り、楽しめていても楽しめていなくても同じような工夫はしていますし、子どもも一人一人違いますので、これは未だ試していないというものがあれば、チャレンジしてみてください。
正しい食事の食べさせ方や楽しむ方法(Q&A)
これまで、食事を楽しむための様々な工夫をご紹介してきましたが、「楽しめない」と回答された方の多くが、子どもが遊びだしたり、マナーが気になったりしてイライラしてしまうということを理由に挙げていました。
そこで、今回は、食育などに詳しい鈴木真由美先生に食事中のマナーや不安について、聞いてみました。
Q1 腹八分ぐらいになると食べずに遊びだしてしまいます。どうしたら良い?
A1 食べることに集中できる環境を作りましょう
まずは、食卓の周りの環境を整えましょう。
食事の時、周りにおもちゃなど遊び道具が目に入ってしまうと、どうしても食べることより遊びの方が気になってしまいます。
食事の前に遊び道具を片づける習慣をつけ、食べることに集中できる環境を作ってください。
幼児の時期は、集中して食べることができる時間は20~30分間。大人と同じような時間で食べ続けることはできません。その時間を集中して食べるようにさせてください。
子どもは日によって体調が変わりやすく、子どもがお腹いっぱいでも親から見たら腹八分に思えることがあります。
「まだ食べられるのに」と思っても、気持ちを切り替えて、お子さんに食事を終わりにしてもよいかを確認し、「もう食べない」という返事だったら食事を下げて下さい。
直ぐにおやつを食べたいと言われても与えないで、「おやつの時間まで待とうね」と話し、食事時間と空腹のバランスをとるようにして下さい。
Q2 明らかに量が少なくても、食べないときは無理に食べさせなくて良い?
A2 1日又は1週間単位で食事の量を考えるようにしましょう
お子さんによって、沢山食べる子と少量しか食べることができない子と成長は様々です。
一度に食べる量が少ない場合は、おやつの時におにぎりや芋などを出して食事の回数を増やし、1日又は1週間単位で食事の量を考えるようにしましょう。
無理に「食べなさい」と怒ってしまうと、お子さんは食べることが苦痛になり嫌いになってしまいます。
他に、1回の与える食事量を少なめにして、全部食べることができたら褒めてください。
お子さんは全部食べることができたという達成感と自信をもつようになり、少しずつ食べる量が増えるかもしれません。
食べない理由に、食べ物が固い、大きいなどの「食べにくい」という理由で食べないという場合があります。今までより小さく切ったり柔らかくしたりするなど、お子さんの噛む力を確かめながら作ってみてください。
また、空腹でないと沢山食べることはできません。
なるべく外で体を動かしお腹を空かせてから食べると、食欲が増し、丈夫な体をつくることができます。
Q3 行儀(マナー)の悪さは何歳ごろから注意すべき?
A3 少なくとも3歳までは食事は楽しい時間と思えるようにしましょう
子どもが一人で食べるようになると、マナーを教えなくてはと思うかもしれませんが、3歳頃まではマナーよりも、食事の時間は家族との楽しい時間と思えるようにしてください。
マナーを注意する年齢は、できる内容により違います。
まずは、「いただきます」「ごちそうさま」ときちんと言えることが大事です。作ってくれた人への感謝の気持ちを教え、食事の始めと終わりに言えるようにしてください。これは言葉を話せない年齢でも、食事の度に家族みんなで行えば身に付くマナーです。
話しながら食べてしまう場合は、「してはいけない」と叱るだけではなく、話しながら食べるとどのようになってしまうかを、実際に真似して見せてあげて、お子さんがわかりやすい言葉で説明をしてください。
子どもは直ぐに全部のマナーを身に付けることはできません。ひとつできたら「上手にできたね」と褒めてあげながら、お子さんが出来るようになるのを見守ってください。
Q4 手づかみは何歳ごろまでOK?
A4 個人差があるので焦らなくて大丈夫です
離乳食が終わる1歳半頃からスプーンを使い始めてもいいのですが、初めは手づかみとスプーンの両方を使って食べる状態になります。
手づかみは、食べ物を手で触り硬さや匂いなどその食べ物は何なのかを感じながら、自分で食べたい意欲をもつ大事な発達過程のひとつですので、無理にやめさせるのではなく、手づかみをしながら少しずつスプーンに移行していくとよいです。
スプーンは、興味があるようでしたら時期を待たずに持たせてあげてください。
子どもはスプーンを握ったり落としたりしながらスプーンの持ち方を学んでいきます。
お子さんによって、手づかみが終わる時期、スプーンを使えるようになる時期は個人差があります。いつかは手づかみの時期は終わります。うちの子はまだスプーンを使えないと悩まないでください。
手づかみで食べている様子を写真に撮ったりビデオで録画したりするなどをして、大切な思い出を沢山作ってください。お子さんが大きくなられた時の貴重な宝物になります。
Q5 嫌いなものを食べさせる時にイライラしてしまうけど、栄養バランスのため無理やり食べさせるべき?
A5 無理強いはせず、様々な工夫を行ってみましょう
好き嫌いがでるのは、自我が発達し、自己主張が出てきたという成長のひとつでもあります。
無理に「食べなさい」と言うと、お子さんは苦手な食べ物をもっと嫌いになってしまい、食事の時間も嫌になってしまう可能性があります。
嫌いなものを食べるようにするためには、お子さんの好きな味付けにしたり、小さく切ってご飯やスープなどに混ぜたりして調理方法を工夫してみてください。
お子さんには食べる前に嫌いなものが入っていることを言うより、食べた後に「実は入っていたのよ」と言う方が効果的です。
他に、お子さんと一緒に料理をするのもお薦めです。食材を見て、触り、調理した時の音や匂いを嗅ぐことにより、食べてみたいという興味が湧いてきます。
そして一番大事なことは、お父さんお母さんが美味しいと言って笑顔で食べている様子をお子さんに見せることです。
お子さんがその表情を見て、「食べてみようかな」と思うきっかけになります。まずは一口食べられるようになることを目指し、長い目で見守ってあげてください。
監修者プロフィール
鈴木真由美
山形県出身。調理師免許・フードコーディネーター免許取得後、
料理アシスタントや児童館などで子どもとのコミュニケーションを学ぶ。
1998年から子どもや親子を対象にした料理教室「チャイルドクッキング」をスタートする。
他に、食育の講演や執筆など、子どもや親子が楽しく作れる料理を提案している。
まとめ
食事だけに関わらず、子育てにおいては、これが絶対に正しいというものはありません。
各ご家庭や子どもの環境・状況等に応じて楽しめる工夫が必要なのですね。
忙しさや、ご自身の状況などによってはイライラしてしまうこともあるかもしれません。親も人ですから仕方がないと思います。
ですので、食事を楽しめる環境づくりはしてあげつつ、その子の個性に合わせて、無理せず笑顔で楽しい食事にしましょう。
子どもが成長したときにきっと「昔はあんなだったのに(笑)」と良い思い出になるでしょう。
どうしても不安になった時は周囲の方や自治体などに相談をし、1人で悩まないようにしてください。
皆さんの食事と子育てが笑顔であふれるものになりますように。。。
監修/鈴木真由美
文/ASOPPA!事務局