乳児突然死症候群(SIDS)とは、赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう病気のこと。
12月以降の冬期に発症しやすい傾向があることから、11月はSIDSの対策強化月間となっています。
この機会に、「赤ちゃんの突然死のリスク」についてより理解を深めましょう。
SIDSの原因や、家庭で気を付けたいポイントをご紹介します。
参考:赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
乳児突然死症候群(SIDS)とは、赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう病気のこと。
12月以降の冬期に発症しやすい傾向があることから、11月はSIDSの対策強化月間となっています。
この機会に、「赤ちゃんの突然死のリスク」についてより理解を深めましょう。
SIDSの原因や、家庭で気を付けたいポイントをご紹介します。
参考:赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、元気に育っていた赤ちゃんが突然息をしなくなってしまう病気です。
SIDSの特徴は、何の前触れや気配も感じられないこと。
赤ちゃんに苦しそうな様子などは見られず、家族が気付かないうちに亡くなってしまうケースがほとんどです。
SIDSにより亡くなった乳幼児の数は
・2019年(令和元年):78人
・2020年(令和2年):95人
・2021年(令和3年):81人
というデータが出ています。
日本では、SIDSが乳児期の死因の第3位となっており、無視できる数字ではありません。(2021年時点)
※0~1歳児死因1位:先天奇形等、2位:呼吸障害等
SIDSを発症しやすいのは、生後6カ月までの赤ちゃんです。
最も多いのは生後3カ月前後ですが、ごくまれに1歳以上で発症するケースもあります。
また『平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」総括研究報告』によると、SIDSで亡くなった赤ちゃんには以下のような傾向があることが分かりました。
男の子
双子や三つ子
出生体重2,500g未満
妊娠期間36週未満
ママの年齢が25歳未満
第3子以降
うつ伏せ寝
SIDSの原因は、はっきりとは分からないのが現状です。
遺伝や障害などとは関係ないとされ、厚生労働省ではSIDSについて以下のように定義しています。
“それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群”
引用:厚生労働省:乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について
すなわち、どう調べても原因が分からない……という病気がSIDSなのです。
「原因が分からない」といわれるSIDSですが、発症リスクを低くすることができると言われている対応方法がいくつかあります。
赤ちゃんを突然死のリスクから遠ざけるため、厚生労働省からも提唱されている家庭で取り組みたいポイントをご紹介していきます。
※SIDSの予防方法が確立されているわけではありません。
SIDSは、うつ伏せ寝によって発症するリスクが高まることが分かっています。
赤ちゃんが1歳になるまでは、仰向けで寝かせるようにしましょう。
京都大学大学院医学研究科は、うつ伏せ寝によって亡くなりやすいのは、「脳幹部に何らかの異常のある赤ちゃん」としています。
赤ちゃんは通常、うつ伏せ寝にしても苦しくなれば自ら頭を動かします。
しかし脳幹部に異常のある赤ちゃんは、息苦しさに気付けません。
そのまま眠り続けてしまい、眠ったまま亡くなってしまいます。
SIDSは、母乳で育てられている赤ちゃんの方が発症率は低い傾向にあるようです。
やむを得ないケースもあるため一概には言えませんが、「SIDSの発症を抑える」という観点でみると、母乳育児が望ましいと考えられているそうです。
SIDSを発症しやすいといわれる生後3カ月頃は、ママの胎内で受け取った抗体を使い果たしてしまう時期です。
そのため、赤ちゃんの体の働きが不安定になりやすく、ちょっとした刺激が大きなダメージとなることもあります。
母乳には「感染症の発症や重症化を抑制する可能性あり」「赤ちゃんの体に最適な成分である」など、メリットがたくさんあると言われています。
母乳を与えることで、赤ちゃんの免疫力・防御力がアップすると考えられているのです。
両親が喫煙者の場合、SIDSの発症率が4.67倍高まるという調査結果が出ています。
月齢の低い赤ちゃんがいる家庭は、タバコを控えることが望ましいでしょう。
ママが喫煙者の場合、タバコに含まれるニコチンは胎盤にまで達します。
未熟児・早産の可能性が増加し、SIDSのリスクが高まるのです。
またママが吸収したニコチンが、赤ちゃんの脳にダメージを与える可能性も否定できません。
脳は体のあらゆる機能を調整しますから、脳へのダメージが呼吸系の器官に悪影響を及ぼすリスクがあります。
ママやパパが喫煙者の場合は、妊娠が発覚した時点で禁煙するのが理想的です。
厚生労働省のWEBサイトでは見つけることができませんでしたが、米国小児学会をはじめ、近年では、赤ちゃんの体の温めすぎもSIDSの発症リスクを高めるという仮説が浮上しています。
“死亡した赤ちゃんをよく調べると、死亡後時間が経過しているにもかかわらず、高体温の児が多く、発汗が認められる”
赤ちゃんは睡眠時などに体温が下がると、体温を上げるために泣きます。
しかし、暑い時には眠ったままの状態です。
冬は室温を上げ、厚着をさせてしまいがちですが、赤ちゃんは体温調節機能が未発達。
周囲の大人が常に様子を注視し、暑がっていないかどうか確認しましょう。
また屋内で帽子をかぶらせることも、好ましくないとされています。
参考:How to Keep Your Sleeping Baby Safe: AAP Policy Explained – HealthyChildren.org(米国小児学会)
SIDSを発症しなくても、赤ちゃんが睡眠中に窒息で亡くなってしまうことがあります。
令和2年の調査によると、窒息で亡くなった4歳以下の子どもは93名。
そのうちの9割が1歳未満の赤ちゃんだったそうです。
不幸な事故を起こさないよう、家庭で注意したいポイントを紹介します。
窒息事故を防ぐためには、できるだけ赤ちゃんをベビーベッドに寝かせるのが好ましいとされています。
ただしベビーベッドの品質によっては、赤ちゃんを寝かせるのが危険なケースもあります。
ベビーベッドを選ぶときは、国の安全基準を満たした証である「PSCマーク」が付いているかどうかを1つの評価ポイントとして参考にすると良いかもしれません。
ベビーベッド使用時の注意点は、赤ちゃんの落下や挟まれ事故です。
常に柵を設置した状態で赤ちゃんを寝かせるとともに、小まめに様子をチェックしてください。
マットレスや敷き布団が柔らかいと、万が一うつ伏せになったときに顔が埋まってしまいます。
体が埋まってしまうと、赤ちゃんでは体勢を立て直せません。
窒息のリスクが高まり、大変危険です。
さらに柔らかすぎるマットレスや敷き布団だと、赤ちゃんの体が沈みすぎてしまいます。
筋肉や骨の成長に悪影響を及ぼす可能性もあることから、柔らかい寝具は避けるべきとされているのです。
赤ちゃんにいわゆる「掛布団」は不要です。
万が一布団が顔にかかると、窒息してしまうかもしれません。
赤ちゃんでも払いのけられるくらいの薄い毛布やタオルケットを使用しましょう。
気温が低いときは部屋そのものを適温に温めたり、衣類で調節したりするのがおすすめです。
赤ちゃんの周囲には、窒息のリスクがありそうな物を置かないようにしましょう。
例えばスタイやタオル、衣類、ぬいぐるみなどは、赤ちゃんの顔にかかると大変危険です。
赤ちゃんが手足をばたばたさせるとき、何かをつかんでしまうことがあります。
タイミングが悪く何かが顔を覆ってしまうと、そのまま窒息してしまうかもしれません。
「そんなことあり得ないだろう」という油断が、不幸な事故につながることもあるものです。大切な赤ちゃんを守れるよう、小さなリスクもつぶしておくと安心です。
ここまでSIDSについて、ご家庭での対応をご紹介してきました。
しかし、SIDSは保育園等に預けている最中に発症する可能性もあります。
最近では保育園等でも午睡(お昼寝)中の園児を見守るシステム等を導入している施設が増えてきています。
とはいえ、普段からの先生と保護者の情報共有はとても重要です。
双方においてちょっとしたことでも、情報を共有し合いリスクを軽減できるようにすることが望ましいと考えられます。
※園児を見守る午睡チェックシステムについて保育施設様からのお問い合わせは以下にお願いします。
【株式会社フレーベル館 ICT企画チーム】
TEL:03-5395-6611
SIDSは本当に突然やってきます。
SIDSでお子さんが亡くなった方のお話をブログなどで拝見していると、
「聞いたことはあったけど、うちの子は平気と他人事だった」
「5分前まで何もなかった」
「いつもより泣いて起きることが多かった」
など誰しもが陥ってしまうような状況下で発生しているようです。
その際、「あの時、ああしていれば良かった」「どうして気付いてあげられなかったのだろう」「心臓マッサージの方法やAEDなどをちゃんと勉強しておけば良かった」など罪悪感と後悔に苛まれている方が多く見受けられます。
SIDSだけではありませんが、今回の記事でご紹介した予防のポイントも参考にしていただき、発症のリスクを少しでも減らすことができればと思います。
今回ご紹介した内容は、あくまで参考とし、必要に応じて医師や保健所等にご相談ください。