毎年必ずといってよいほど発生するのが、お餅による窒息事故。
被害者の多くは高齢者ですが、子どもが犠牲になることも多々あります。
1月はお餅を食べる機会が増えますから、特に注意が必要ですね。
この記事では、お餅による窒息のリスクや、子どもの窒息事故について詳しくご紹介。
もしものときの対処法や窒息を避けるための注意点もお伝えするので、ぜひチェックしてみてくださいね。
毎年必ずといってよいほど発生するのが、お餅による窒息事故。
被害者の多くは高齢者ですが、子どもが犠牲になることも多々あります。
1月はお餅を食べる機会が増えますから、特に注意が必要ですね。
この記事では、お餅による窒息のリスクや、子どもの窒息事故について詳しくご紹介。
もしものときの対処法や窒息を避けるための注意点もお伝えするので、ぜひチェックしてみてくださいね。
新しい年の始まりである1月は、お餅を煮たり焼いたりして食す機会が増えます。
そのため窒息事故のリスクも、1月が極端に高いのだそう。
まずは、お餅による窒息事故について詳しく見ていきましょう。
消費者庁が平成30年から令和元年までの2年間を分析したところ、お餅による窒息死亡事故の43%が1月に発生していたことが分かりました。
日本人がお正月にお餅を食べるのは、平安時代に行われていた「歯固めの儀式」に由来するといわれます。
これは、新年のはじめに固いものを食べる儀式。
歯を強くすることで、人々は健康長寿を祈願していました。
おめでたいときにお餅を食すのは、日本古来の伝統です。
「お正月だけはお餅を食べる」という人もおり、お正月にお餅を食べる人の数は急増しました。
お餅を食べる人の分母が増えるのですから、事故発生件数も当然ながら増えてしまうというわけです。
参考:年末年始、餅による窒息事故に御注意ください! -加齢に伴い、噛む力や飲み込む力が衰えてきます。小さく切って、少量ずつ食べましょう- | 消費者庁
お餅による窒息事故の大半は、65歳以上の高齢者です。
とはいえ、小さい子どもによる事故もゼロではありません。
東京消防庁が発表した資料を見ると、気を付けたいのは5歳以下の幼児。
6~12歳の子どもと比較すると、お餅の窒息事故による救急搬送件数が多めです。
お餅による窒息事故は、救急搬送された時点で重篤(生命の危険が切迫しているもの)な状態となっていることが少なくありません。
お餅による被害のリスクは非常に大きく、注意が必要です。
日本でお餅による窒息事故が多いことは、たびたび海外でも報じられています。
例えばイギリスのBBCでは、お餅を「Delicious but deadly mochi(おいしいけれど命の危険があるモチ)」と紹介しました。
またアメリカの「ウォールストリートジャーナル」は、「Mochi: New Year’s Silent Killer(新年の静かなる殺人者:前触れも無く死に至らしめるもの)」などと紹介。
お正月にお餅の窒息事故によって亡くなる人が多いことは、海外でも話題になっているんですね。
そもそも窒息とは、空気を取り込む気道が何らかの原因によって塞がれてしまうことをいいます。
空気と食べ物は同じところを通りますから、「何かを食べる=常に窒息の危険がある」というわけです。
しかし大人と比較すると、子どもの方が窒息リスクは大きくなります。
特に5歳以下の子どもは、より注意深く見守る必要があるでしょう。
大人と比較して、子どもの窒息事故が発生しやすい理由をご紹介します。
小さな子どもは、歯が生え揃っていません。
乳歯が生え揃う3歳ごろまでは、歯ぐきで噛める程度の固さのものでないと上手に食べられないでしょう。
噛み切りにくいお餅は、小さな子どもに適した食材とはいえないのです。
また3歳をすぎて乳歯が生え揃っても、まだ噛む力が十分とはいえません。
固いもの・大きいものを食べるのが苦手な子どもは多く、丸飲みしてしまう傾向があります。
特に注意したいのが、小さな子どもは咳をする力も弱いということ。
大人なら気管に食べ物が入ると、咳き込んで吐き出そうとしますよね(咳反射)。
しかし小さな子どもは、この咳反射がうまく機能しません。
気管に入るものを押し返しにくく、大人よりも窒息リスクが高いのです。
食事中に走り回ったりお話したりと、食事に集中できない子どももいます。
このタイプの子どもは、口の中のものに意識が向きません。
食べ物を丸飲みしやすく、窒息リスクが上がってしまいます。
また好きな食べ物を思いっきり頬張ってしまう子どもも要注意。
口の中にたくさんものを入れると、飲み込む動作が間に合いません。
次々と押し込まれる食べ物が喉に詰まって、窒息事故につながってしまいます。
子どもの窒息については、お餅以外にも注意したいものがたくさんあります。
丸いもの・つるつるしているもの:ブドウ、こんにゃく、アメ、白玉団子など
もちもちして唾液が奪われるもの:カステラ、パン類など
固くて噛みきるのが難しいもの:肉類、リンゴ、イカなど
口内に貼り付くもの:のり、ゆで卵など
大人には何ともない食べ物も、小さな子どもにとっては食べにくかったりするもの。
5歳以下の子どもに上記の食べ物をあげるときは、小さく切ったりあげるのを控えたりなど、対策が必要です。
万が一子どもがお餅を喉に詰まらせた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
いざというときすぐ動けるよう、対処法を確認しておきましょう。
子どもに「チョークサイン」という異変が見られたら、すぐに救急車を呼んでください。
具体的には、「チョークサイン」に加えて以下のような様子が窒息時には見られます。
喉を押さえたり掴んだりする(チョークサイン)
口に指を入れる
声が出ない
よだれを垂らし、呼吸が苦しそう
顔色が青っぽくなる
食べ物が気道を塞いでしまうと、短時間で命にかかわる重篤な状態になります。
3~4分後:顔が青紫になる
5~6分後:呼吸が止まる
15分後:脳死状態となる
子どもの窒息は、一刻を争います。
おかしいと思った時点で、すばやく行動しましょう。
どのような行動をすれば良いのかはこれからご紹介します。
救急車が到着するまでは、応急処置を行ってください。
何を置いても、子どもの喉に詰まったものを吐き出させることが大切です。
背部叩打法(はいぶこうだほう)とは名前の通り、背中を叩くことで異物を吐き出させる方法です。
子どもが1歳未満の場合は、以下の手順で行います。
子どもの体を下向きに抱く
あごをしっかり支える
手のひらのつけ根で子どもの背中を強くたたく
5~6回を1セットとし、繰り返し行いましょう。
また1歳以上の子どもは、「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」が有効です。
子どもを背後から抱っこする
片方の手を握りこぶしにし、子どものみぞおちに当てる
もう片方の手をその上に置き、両手で子どもの腹部を締め上げる
詰まったものがうまく出てこないときは、上記2つの方法を繰り返し行ってください。
政府のインターネットテレビでは、窒息の対処法について動画で紹介しています。
文章だけでは分からないと思いますので、ぜひこちら↓をチェックしてみてくださいね。
せっかくのお正月、子どもと一緒に不安なくお餅をいただきたいですよね。お餅による窒息事故を避けるために、気を付けたいポイントをご紹介します。
お餅が大きすぎると、子どもはうまく飲み込めません。
小さく切って食べやすくしてあげましょう。
また窒息を防ぐためには、口の中をいっぱいにしないことも大切です。
お餅を食べるときは、「小さなブロックを一つずつ」が正解。
ガツガツ口に頬張ってしまう子どもには注意を促し、頬張りすぎを防いでくださいね。
食べながら遊んだりテレビを見たりしていると、噛むのがおろそかになってしまうもの。
お餅を丸飲みしやすく、窒息のリスクが大幅にアップして危険です。
お餅を食べるときは、他のことに意識を向けさせないようにしましょう。
またお餅を食べると、口内の唾液が失われやすくなります。
お餅には必ず飲み物を添え、タイミングを見ながら「お茶を飲んで」などと促すことが大切です。