実は子どもの脱水症状は、夏だけでなく冬にも多いってご存じでしたか?
「何か体調がおかしいな」と感じた時にそれはもしかしたら「かくれ脱水」のサインかもしれません。
「冬は汗をかかないし、大丈夫!」などと考えずに、脱水症状への正しい対処法を理解しておきましょう。
この記事では、冬に子どもの脱水症状が起こりやすい理由や、脱水のサインと対処法、さらには脱水症状を防ぐ上で気を付けたいポイントをご紹介します。
実は子どもの脱水症状は、夏だけでなく冬にも多いってご存じでしたか?
「何か体調がおかしいな」と感じた時にそれはもしかしたら「かくれ脱水」のサインかもしれません。
「冬は汗をかかないし、大丈夫!」などと考えずに、脱水症状への正しい対処法を理解しておきましょう。
この記事では、冬に子どもの脱水症状が起こりやすい理由や、脱水のサインと対処法、さらには脱水症状を防ぐ上で気を付けたいポイントをご紹介します。
「冬に脱水症状になりやすい」と言われるものの、そもそも脱水症状についてよく分からない方もいるのではないでしょうか?
まずは脱水症状について、基本的なところをおさらいしましょう。
脱水症状とは、体内の水分量が約5%失われた状態です。
発症すると、意識がもうろうとしたり微熱を発したりするなどの症状が出ます。
そもそも人間の体は、成人で約60%、赤ちゃんだと70%以上が水分でできているのだそう。
何らかの原因で水分量が低下すると、簡単に脱水症状になってしまいます。
脱水が進むと、症状はより深刻に。10%が失われると筋肉のけいれんなどが起こり、20%が失われると生命機能を維持できず、死に至ります。
子どもは、大人よりも水分が占める割合が多めです。
脱水症状になりやすい傾向があり、大人以上に注意しなければなりません。
子どもが必要とする1日の水分量の目安は、以下を参考にしてください。
新生児:400~500ml(125-150ml/kg)
3カ月児:750~850ml(140-160ml/kg)
6カ月児:950~1100ml(130-155ml/kg)
1歳児:1150~1300ml(120-135ml/kg)
2歳児:1350~1500ml(115-125ml/kg)
4歳児:1600~1800ml(100-110ml/kg)
6歳児:1800~2000ml(90-100ml/kg)
冬に子どもの脱水症状が起こりやすいのは、風邪や空気の乾燥、さらには子どもの体の機能が未発達であることなどが原因です。
冬の子どもの脱水症状について詳しく見ていきましょう。
冬は感染症が流行しやすいシーズンです。
子どもは大人ほど免疫力が高くなく、病原菌への抵抗力が低めです。
そのため胃腸風邪を引きやすく、下痢・嘔吐を繰り返す子どももたくさんいます。
感染症にかかったとき発熱や下痢・嘔吐の症状が出るのは、体内に入ってきたウイルスを外に追い出すためです。
体が防御態勢に入っている証拠ですが、長く続くのは好ましくありません。
大人は常に子どもの様子を見守り、適切に水分を補給してあげる必要があります。
冬は「冷たい物を飲むと体を冷やす」などと考えがち。
大人自身も喉が渇かないので、夏ほど子どもの水分摂取に気を遣わない方も多いのではないでしょうか。
しかし冬でも子どもには、積極的な水分補給が必要!
子どもは「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」によって、大人よりも多くの水分が失われているためです。
不感蒸泄とは、皮ふの表面などから気付かないうちに水分が失われていくことをいいます。
新陳代謝が活発な子どもは、不感蒸泄によって失われる水分量が大人の約2.5倍もあるそうです。
ただでさえ不感蒸泄によって水分が失われることに加え、特に空気が乾燥している冬は、失われる水分量が増える傾向にあります。
子どもは自分で水分が失われていることを認識できないため、大人が注意する必要があるのです。
そもそも子どもは、体温調節機能が未発達です。
外気温の影響を受けやすく、温度が高めの室内にいるだけで体温が上昇します。
体に熱がこもれば熱を下げようと汗がたくさん出て、あっという間に水分が失われてしまうでしょう。
また子どもは、体が小さいながらも大人と同じ数の汗腺を持ちます。
冬でもすぐに汗をかき、少し動いただけで肌がベタベタになることも珍しくありません。
冬でも暖かい室内にいるときなどは、子どもが汗をかいていないかを小まめにチェックするのがおすすめですよ。
子どもは自分で体の状態を上手に伝えられません。
周囲の大人が気を付けて、脱水症状のサインを見逃さないことが大切です。
「こんな症状があったら要注意!」の脱水サインと対処法をご紹介します。
子どもに以下のような様子が見られたら、初期の脱水症状を疑ってください。
トイレの回数が少ない
尿の量が少ない
肌や口・脇などが乾燥している
体重が4~5%減少している
上記のような症状があれば、すぐに経口補水液を与えましょう。
経口補水液とは、「飲む点滴」とも呼ばれる、脱水症状の改善に最適な飲み物です。
電解質・糖質・水分のバランスがよく、普通の水よりも吸収性に優れています。
経口補水液は、子どもの体重1kgにつき、1日あたり30~50mlを飲ませてください。
一度にたくさんあげるのではなく、少しずつ小まめに飲ませてあげることが大切です。
経口補水液がない場合は、食塩と砂糖で作れます。
以下の配合で、全てを混ぜ合わせてください。
・水1リットル:食塩3g:砂糖20~40g
飲みにくい場合は、レモン果汁を加えるとスッキリした味わいに。
子どもでも飲みやすくなるでしょう。
なおここまで読んで、「普通の水やスポーツドリンクではダメなの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
もちろん普通の水でもよいのですが、普通の水には体の機能調節に必要不可欠となるミネラルが含まれていません。
水だけで脱水症状を改善するのは難しく、多量の水が必要となってしまいます。
またスポーツドリンクは水分、ミネラル、糖分、電解質を配合した飲み物ですが、「塩分が含まれていない」「糖分が多い」という特徴があります。
水代わりに飲み続けると虫歯の恐れがある上、脱水症状の改善という点では経口補水液に軍配が上がります。
風邪が流行る冬場は、家庭に経口補水液を常備しておくのがおすすめですよ。
子どもに以下の症状が現われていたら、中~重度の脱水症状が疑われます。
すぐに医療機関を受診しましょう。
ぐったりしている
目がくぼんでいる
ぼんやりして反応がにぶい
汗や涙が出ない
顔色が蒼白または浅黒くなっている
けいれんが見られる
39℃以上の熱がある
手足が冷たい
意識障害やけいれんが起こっているときは、脱水がかなり進んでいます。
非常に危険な状態にありますので、すぐに救急車を呼んでください。
冬の子どもの脱水症状を防ぐには、大人の体感を基準にしないことが大切です。
子どもの様子を注視し、小まめな水分補給を心掛けましょう。
冬の子どもの脱水症状を防ぐ上で、気を付けたいポイントをご紹介します。
外遊びをするときなどは、薄手のシャツを重ね着して体温調節を行いましょう。
セーター×厚手のアウターだと、暑いと感じても脱げません。
汗だくのまま遊べば、すぐに脱水状態になってしまいます。
おすすめは、薄手のシャツ2枚×アウターです。
暑くなったときは1枚脱ぐだけで体温調節できますよ。
なお肌に当たるシャツは、綿などの天然素材を選びましょう。
いわゆる機能性肌着は汗冷えを起こしやすく、汗っかきの子どもにはあまり向きません。
子どもの手が届く範囲に、水筒やコップを置いておきましょう。
前述のとおり、子どもは新陳代謝が活発で、不感蒸泄で失われる水分量が多めです。
ただ遊んでいるだけでも水分が失われていくため、小まめに「お茶を飲もうね」「お水を飲んでね」と声をかけてあげてください。
特に意識して水分を補給したいのが、以下のタイミングです。
起床時
午前・午後のおやつの時間
入浴前後
就寝前
「寝る前に水分を摂ると、トイレが心配…」というパパやママもいるかもしれませんね。
しかし就寝中も、体内からはたくさんの水分が失われています。
脱水症状を防ぐなら、少しでも水分を補給しておくのがおすすめですよ。
水分をたくさん含んでいるのは、パンよりもご飯です。
脱水が気になる冬は、ご飯メインの食事がおすすめです。
お味噌汁を付ければ塩分補給もでき、必要な水分をきちんと補給しやすくなります。
一方「朝はパンしか食べない」というご家庭は、スープや果物・乳製品などをプラスして水分を摂りやすくしてくださいね。
水分補給におすすめの果物や野菜は、イチゴ・桃・トマト・レタスなど。
積極的に食卓に取り入れてみてください!
※記事の内容はあくまで参考です。必要に応じて医療機関に行ってください。また、子どもに合わせた体調管理を心がけてください。