しっとりモチモチで、触れると少しひやっとするような気持ちのいい子どものほっぺた。でも冬のこの時期はカサついて、ときには粉を吹いた状態のようになることもあるのでは? 冬は空気の乾燥により肌の水分が奪われてうるおい不足に陥り、外的刺激から守る肌のバリア機能も低下しがち。とくに子どもの皮膚は大人よりも薄く、皮脂の分泌も少ないので、どうしても“乾燥肌”になりやすいのです。ちょっとした刺激にも敏感に反応し、炎症や痒みといった肌トラブルにつながることも。親がしっかりと保湿ケアや、こまめな水分補給などしてあげることが大切です。
子どもは大人よりも乾燥肌になりやすい!?
子どもは大人に比べて皮膚が薄く皮脂腺も未熟なため、肌のうるおいを保つ皮脂の分泌が少ない状態です。また大人よりも角質が薄く、肌のバリア機能が上手く働きません。肌のバリア機能が低下することにより、肌内部の水分が保ちにくくなることから、乾燥しやすい肌環境にあるのです。とくに生後3か月頃から小学校低学年頃までは乾燥しやすく、肌の環境が整いにくいといわれています。
子どもの乾燥肌は炎症や、アトピーにつながる可能性がある!?
肌が乾燥するとかゆみが生じるケースがあります。乾燥により肌のバリア機能が低下することで、肌の表面が無防備な状態になり、ハウスダストやダニ、花粉などの外的刺激を感じやすくなります。その刺激がかゆみの症状として出てしまうのです。
また、バリア機能が働いていないと“かゆみを感じる神経”が表皮に伸びていき、余計に刺激を感じやすくなります。子どもはかゆみを我慢することが難しく、無意識に肌を引っ掻いて傷をつくってしまい、肌が炎症を起こしてしまうケースも珍しくありません。肌が炎症をおこすとさらにかゆみが強くなるという悪循環にはまることも。
遺伝的な要因にもよりますが、肌のバリア機能が低下することにより、発疹、強いかゆみを繰り返す“アトピー性皮膚炎”の発症につながる可能性もあります。
徹底したい! 冬の乾燥から子どもの肌を守る3つの基本
肌トラブルをおこさせないためには、日頃から肌を乾燥させないようにすることが重要です。ただ保湿剤をたっぷり塗ればいいというわけではありません。① やさしく洗って清潔に ② しっかり保湿ケア ③ 乾燥をまねく要因を減らす、この3つの基本を徹底することが重要です。筆者も子どもの頃からアトピー性皮膚炎があり肌ケアには苦労しましたが、自分も我が子もスキンケア&予防を徹底しているおかげで、親子ともに冬でも肌の状態はとてもいいです。この章では、それぞれの基本を詳しく解説します。
① やさしく洗って清潔に
まずは肌を洗って清潔に保つことが大前提。子どもは汗腺の密度が高く、汗をたくさんかくので、石けんなどの洗浄料(肌に刺激を与える可能性のある防腐剤や鉱物油などが少ないものを見定めて)を使って洗いましょう。泡立てネットなどでよ〜く泡立てた、たっぷりの泡で(ここ重要! 泡で出るボディーソープを使っても◎)、タオルや垢すりなどは使わずに必ず手で洗います。首まわり、わきの下、太ももの付け根、ひじの内側、ひざの裏は、汗や皮脂がたまりやすいので、とくにしっかりと指の腹で洗い、十分に流します。
顔も食べ物などで汚れているので、忘れずに泡をつけて洗い流してあげましょう。顔は嫌がる子もいるかと思いますが、一瞬ですし、すぐにタオルでふいてあげれば大丈夫。子どもも慣れます! お風呂から上がったらタオルで体を包み込み、やさしくおさえるようにふきましょう。
また、肌が荒れている場合も、躊躇せず洗浄料を使ってさっと洗うべき。「お湯で軽く流すだけでも不要な汚れは落とせる、石けんで洗うと必要な皮脂が奪われる」などの説もありますが、お湯だけで汚れや菌、アレルゲンは落とせません。皮膚を清潔に保つことで、新たな発疹やとびひの発症などを防ぐことにつながります。なお、炎症がおきてしまった場合は必ず皮膚科を受診して、適切なぬり薬などを処方してもらってください。
寒いからといってお風呂の温度を高めに設定するのはNG。熱いお湯に長時間浸かると皮膚の保湿成分(セラミド)が流出し、乾燥しやすくなってしまいます。大人の皮膚の表皮は0.02ミリですが、子どもはその半分以下の薄さです。大人と同じ温度での入浴は、乾燥肌を悪化させる場合があります。設定温度39度~40度とややぬるめのお湯に、5~10分程度入浴することを目安にしてください。
② しっかり保湿ケア
お風呂あがりに何もしない状態でいると、すぐに皮膚が乾燥してしまいます。入浴後、5分以内を目安にすかさず保湿ケアを。基本的には冬はクリーム、春夏秋はローションタイプの保湿剤を使うのがおすすめです。たっぷりの量を手のひらに広げて、やさしく塗り広げましょう。関節やシワがある部分は、皮膚をのばしてしっかりと塗り込んで。塗りすぎたと思ったらティッシュで軽く抑えます。ローションを塗った上からクリームを重ねるとさらにしっかりと保湿ができるので、肌のコンディションに合わせて塗り分けるとさらによいでしょう。保湿剤もしゃばしゃばっとした化粧水のようなテクスチャーのもの、乳液状のもの、こってりとしたクリームタイプなどいろいろあるので、皮膚科で相談してみてください。我が家の保湿のタイミングはお風呂上がりの夜のみですが、皮膚科の先生いわく、朝の着替えの際にも保湿ケアをするのがベストとのことです。
また、外側からのスキンケアだけでなく、こまめな水分補給で内側から保湿ケアすることも大切。冬は飲み物を口にする機会が減ってしまう場合があるので、意識して水分を摂るようにしましょう。
③ 乾燥をまねく要因を減らす
冬はエアコンなどで空気の乾燥が加速しがち。加湿器を使ったり、洗濯物を室内に干したりして、乾燥対策を心がけましょう。湿度50〜60%を目安に調整すれば、肌の水分の蒸散が防げてよい状態をキープできます。湿度が40%を切ると目や肌、のどに乾燥を感じるようになり、気道粘膜の防御機能が低下して、風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染しやすくなります。冬は病気の予防対策としても、加湿を心がけたいですね。
衣類の素材選びも間違えると乾燥肌の原因に。前でも挙げた通り、子どもは汗腺の密度が高く、汗をたくさんかきます。裏毛の素材やウールなどの厚手の服を着させるよりも、綿などのやわらかい天然素材を重ねて、空気の層をつくることで防寒しましょう。“肌着+ロンT or裏毛でないスエット”を基本に、それでも寒い場合はベストを重ねて。ベストは袖まわりがもたつかずに脱ぎ着しやすく、なによりオシャレでおすすめです。
また、洗濯洗剤の肌への影響を気にされる方も多いかと思います。「合成洗剤よりも肌への刺激が少ない石けん洗剤がおすすめ」などとよく聞きますが、石けんはお湯で洗わないと石けんカスになってしまい、汚れを落としきれなかったり、洗濯槽のカビの原因になることがあります。それが原因で雑菌が繁殖してしまったら、かえって肌への悪影響になりかねません。なので、我が家はあえて洗浄力のある一般的な中性洗剤を使っています。ちなみに今使っているのはアタックZEROですが、すすぎ二回でとくに問題ありません。乳児はベビー用の洗剤を選んだほうがいいと思いますが、幼児であれば、肌への刺激と洗浄力とのバランスで選ぶのが良いと思います。
まとめ
保湿剤は市販のものもいろいろありますが、まずは皮膚科を受診して処方してもらうことをおすすめします。たとえかゆみや炎症がなくても、ホームケアについてなど相談してみてください。
文/Ai Kano