冬は空気が乾燥していて、火事が増える傾向にあります。
「うちはきちんと火の用心している」というご家庭も、今一度我が家の火災対策を見直してみてはいかがでしょうか?
冬の乾燥による火事の現状や火事が起こりやすいケース、火事が起こったときにすべきことをご紹介します。
冬は空気が乾燥していて、火事が増える傾向にあります。
「うちはきちんと火の用心している」というご家庭も、今一度我が家の火災対策を見直してみてはいかがでしょうか?
冬の乾燥による火事の現状や火事が起こりやすいケース、火事が起こったときにすべきことをご紹介します。
皮膚の水分が奪われて、カサカサになりやすいのが冬。
乾燥しているのは肌で実感できますが、火事が増えるというのは本当なのでしょうか?
消防庁が発表した、令和3年の火災状況を基にご紹介します。
出典:令和3年(1~12 月)における火災の状況(確定値)について|消防庁防災情報室
令和3年の出火件数を見ると、12~4月に火事が多いことが分かります。
注目したいのは、3月に減って4月に再び増えていること。
これは、4月になると林野火災が増加するためです。
3月の林野火災が157件だったのに対し、4月は271件と大幅に増えています。
4月に林野火災が多くなるのは、空気の乾燥に加えて雨が少ないことや、強風が吹くことなどが関係しているのだそうです。
いったん林野に火が発生すると、強風にあおられて炎の範囲が広がります。
空気が乾燥していて強風が吹けば、小さな火でもあっという間に深刻な火事となってしまうのです。
火事の主な原因は、「その他」「不明・調査中」を除くと、多い方から「タバコ」「たき火」「コンロ」などです。
また冬は、どうしても暖房器具を使う機会が増えますよね。
暖房器具の消し忘れや故障などが、火事につながるケースも多々あります。
ストーブによる火災も毎年1,000件を超え、冬場の火災件数の増加の一因となっています。
ちなみに、こたつによる火災も50件近くあり、注意が必要です。
東京消防庁の発表によると、東京消防庁管内では、平成29年から令和3年までに子ども(12歳以下)の火遊びを原因とする火事が104件も発生しているそうです。
火災発生場所はさまざまで、公園や自宅などのケースがあります。
現代の子どもは火に触れる機会が少なく、火の恐ろしさをあまり知りません。
自宅からライターやマッチを持ち出して、軽い気持ちで遊んでいたことが火事につながっています。
子どもはちょっとした遊び気分でも、火事になれば人の命に関わることがありますよね。
ライターやマッチの管理を徹底するとともに、子どもと一緒に火の恐ろしさ・火事による被害の大きさなどを話し合ってみてはいかがでしょうか。
実は火災原因の多くの占めるのが「放火および放火の疑い」です。
非常に許せないことですが、実際に毎年3,000件以上発生しています。
いくら家の中の対策をしていても放火されたらたまりません。
そこで、少しでも放火を防ぐために以下のことにも注意してみましょう。
家のまわりはいつも整理整頓し、段ボールなどの燃えやすいものは置かないようにしましょう。また、共同住宅の廊下、階段などの共用部分には物を置かないようにしましょう。
物置や車庫などは、外部から簡単に進入できないように、必ずカギをかけておきましょう。
消火器、三角消火バケツや住宅用火災警報器などを備えましょう。
車やオートバイのボディカバーは防炎製品を使いましょう。
ごみは、決められた日の朝に出しましょう。
家のまわりは、外灯などをつけ、明るくしましょう。
外出するときは、隣人に一声かけていきましょう。
地域ぐるみ、まちぐるみで放火防止に取り組みましょう。
「うちは火の扱いに気を付けているから」というご家庭も、火事が起きないとは言い切れません。
空気が乾燥している季節は、火事のリスクが非常に高くなっています。
思わぬところから、火事が発生する可能性があるんですよ。
乾燥する冬こそ気を付けたい、自然発火のケースをご紹介します。
電気の供給元となるコンセントは、発火しやすいスポットの1つです。
東京消防庁の発表によると令和3年ではコンセントや差し込みプラグによる発火は168件にも上ります。
発火の可能性を引き起こすこととして注意したいのは、以下のケース。
(湿気の多い場所で)ホコリまみれのコンセントを使っている
たこ足配線で使っている
破損したケーブルを使っている
湿気の多い場所でホコリまみれのコンセントを使うと、「トラッキング現象」を引き起こす恐れがあります。
トラッキング現象とは、コンセントにたまったホコリが空気中の湿気を吸い取って漏電し、発火する現象です。
冷蔵庫やテレビ、温水洗浄便座などコンセントにプラグを挿しっぱなしにしがちなところは自然発火のリスクが高まっています。
思い当たる節のある方は、軽くお掃除してみてくださいね。
一方たこ足配線は、コンセントのオーバーヒートを招きます。
電源タップの上限ワット数を超えないよう、プラグは分散させましょう。
また破損したケーブルを使うと、損傷部分が熱くなり発火することがあります。
感電のリスクも高いので、すぐに新しいケーブルに変えてくださいね。
アロマオイルが染みついた布や衣類などを乾燥機付き洗濯機に放置すると、自然発火することがあるため要注意。
アロマオイルに含まれている「不飽和脂肪酸」は、水に溶けません。
洗濯しても残ってしまい、乾燥機で熱を加えると酸化します。酸化したオイルが酸化熱を発し、自然発火して火事となってしまうのです。
乾燥機の熱で自然発火のリスクがあるのは、不飽和脂肪酸を含むもの全てです。
アロマオイルだけではなく、サラダ油やオリーブオイル・亜麻仁油などが染みこんだ布・衣類を洗濯・乾燥するときも、十分に注意しましょう。
100度以上の天かすをまとめて置くと、酸化反応が促進されます。
酸化熱が発生し、燃え出してしまうことがあります。
天かすの自然発火で恐ろしいのは、すぐには発火しないことです。
油が酸化して発火レベルにいくまでには、2時間以上掛かります。
調理から10時間後に燃え出すケースもあり、油断はできません。
天ぷらを揚げた後天かすが出たら、熱がこもりにくい容器に入れましょう。
処理するときは、きちんと冷えているかどうかチェックをすることも大切です。
気を付けていても、思わぬところから火災が発生することがあります。
身近なところから火が出たら、何をすればよいのでしょうか?
火災が発生したときに取るべき行動をご紹介します。
まずは周囲に火事が起こったことを知らせてください。
小さな火事でも、油断は厳禁です。速やかに119番に通報しましょう。
また大きな声を出せない場合は、やかんや鍋を叩いて知らせます。
隣近所・周囲の人に、「危険が迫っている」と知らせることが大切です。
火事による被害は、初期消火の迅速さにかかっています。
消火器はもちろん、濡らした座布団で叩く、濡らした布団やタオルをかぶせるなども有効です。
火事が広がらないよう、最善を尽くしましょう。
揚げ物をしている際の発火でやってはいけないのは、水をかけることです。
水が一気に水蒸気化し、高温の油をまき散らしてしまいます。
ひどいときには火柱がたつことも。
意外かもしれませんが、覚えておきましょう。
消化活動を続けるか・逃げるかのポイントは、火事の広がり方です。
火事が横に広がっているうちは、鎮火できる可能性があります。
消火できる限界は、出火から3分までといわれています。
3分が経過したり炎が天井に届くほどになったりしたら、速やかに避難しましょう。
延焼を抑えるため、逃げるときは部屋のドアを閉め空気の流入を防いでください。
火事が発生したら、素早い行動を取ることが被害の拡大を防ぎます。
もしものときにすぐに対処できるよう、普段から心掛けたいポイントをご紹介します。
119番通報では、必要な情報を不足なく伝えることが大切です。
電話がつながったら、以下の内容を落ち着いて話しましょう。
火事が発生したこと
発生現場の住所
燃えている物
けが人や救助が必要な人がいるかどうか
自分の電話番号
自分の名前
特に重要なのは、発生現場の住所です。
スマホにGPSがあれば特定は容易ですが、建物の中では精度が落ちることがあります。
消防車がどこを目指せばよいか、ゆっくりと落ち着いて伝えてくださいね。
ご家庭に消火器を置いていても、一度も使ったことがない方も多いのではないでしょうか?
消火器の使い方を知っておけば、自宅での火事はもちろん、ご近所やその他の場所で火事があったときも応援に回れます。
消火器の基本的な使い方や構え方を理解しておきましょう。
安全ピンに指を掛け、上に引き抜く
ホースを外し、火元に向ける
レバーを強く握って消炎剤を噴射する
イメージしにくい方は、↓の動画をご覧ください。
消火器を火に向けるときは、以下のポイントを守りましょう。
腰を落として低く構える
火の風上に回って噴射する
熱や煙と正面から向き合わない
炎の根元を狙う
ホースは掃くように左右に振る