私も娘も目がいいからか、街中や公園の植え込みなどでネズミを見かけることがよくあります。ゾッとしますがなんだか気になる……と調べてみたら、実はその存在にはスピリチュアル的な意味があるらしく、ネズミを神様の遣いとして祀っている神社もあるとか。風水でも縁起が良く、ネズミを主人公にした絵本もたくさんありますよね。そこで今回は、実は昔から日本の文化に根付いているネズミについて、考察してみたいと思います。
日本にいるネズミ
ネズミは、哺乳類のうち齧歯(げっし)目に属する動物の総称で、一生伸び続ける上下一対の門歯(前歯)が特徴です。齧歯目は繁殖力が強く個体数も多いため、哺乳類中最大のグループとして地球上のほぼ全てに分布しています。
日本では20種類ほどのネズミが生息するとみられ、ほとんどは野外に生息し「野ネズミ」と呼ばれる種になります。それに対して「クマネズミ」「ドブネズミ」「ハツカネズミ」は、人間の生活する家や建物またはその周辺に生息しており、「家ネズミ」と呼ばれています。
「野ネズミ」は自然観察の愛好者からも人気が高い一方で、「家ネズミ」は病原体を媒介するなど人間に直接・間接の害を与える衛生害獣であり、駆除の対象となっています。
「家ネズミ」の特徴・生態
家屋内やその周辺で見かけ、人間の生活に害を及ぼすとされる「家ねずみ」は次の3種類です。
ビルの地下街などに潜む【ドブネズミ】
特徴・生態
他のネズミと比較して大きく、平均体重は300グラム、体長は18〜23センチ。見た目は丸い鼻と太い胴体、小さい耳が特徴的。しっぽは体長より短く、毛は全体的に赤褐色から灰褐色を帯びています。性格はどう猛。寒さに強く、泳ぎが得意。
生息場所
下水周辺・床下・庭など。巣は地中に穴を掘って作ることがほとんどで、屋内であれば雑居ビルの下層階や地下室など地面に近い場所に生息していることが多い。また、ジメジメとした水場を好むため、台所や厨房といった水回りや床下、下水道にも生息します。
食性
雑食で、とくに肉や魚が好物。基本的に人間が食べられるものは何でも口に入れます。
俊敏で綱渡りもできる【クマネズミ】
特徴・生態
とがった鼻、大きな目と耳、細い胴体が特徴。体長は17〜21センチ程度、体重は200グラム程度とドブネズミより軽め。しっぽは体長よりも長く、ムチのようにしなやかに動きます。毛色は暗い青みを帯びた灰色。性格は臆病で警戒心が強い。寒さに弱く、泳ぎは苦手な反面、壁面を垂直に上がったり綱渡りをしたりするのは得意。また、高く跳躍することもできる。
生息場所
屋内・天井裏・ビル内。柔らかい壁であれば鋭い歯で穴をあけて、簡単に屋内に侵入する。そのため、巣は建物の内部に作られることがほとんど。また、電線などの細い足場を渡ったり垂直の壁やパイプを登ったり、跳躍力もあるため、天井裏や屋根裏に住み着くことも。
食性
米や雑穀などを好みます。
小柄で好奇心旺盛な【ハツカネズミ】
特徴・生態
体重は約30グラムと軽く、体長も6~9センチとかなり小さめ。毛色はつやがあり、体色は個体差がある。頭と胴体が小さく、しっぽは体長とほぼ同じ長さで、耳は丸く大きい。小柄なため、身のこなしは俊敏。細い場所を綱渡りのように移動することができる。泳ぎは苦手で寒さに弱い一方で、乾燥には強い。好奇心旺盛で警戒心はあまり強くない。
生息場所
人家・農耕地・農村。野外でも草原、河原、畑などあらゆる場所に生息している。また、港湾周辺の倉庫や農家の倉庫など、自然環境に隣接する建物に生息していることも多い。
食性
米や雑穀を好むほか、小さな昆虫なども捕食。
日本人は知らない!? ラットとマウスの違い
日本では野ネズミも、家ネズミも、干支のネズミやペットのネズミも、全てをひっくるめて「ネズミ」と呼びます。英語では「ネズミ」という総称はありません。英訳する時は「マウス」か「ラット」のどちらかになります。「マウス」はハツカネズミのような小型のネズミを指し、「ラット」はクマネズミやドブネズミのような大きいネズミを指します。アメリカなど英語圏の人にとってマウスは可愛らしい動物であり、ラットは汚い動物とはっきり分かれています。英語のマウスは臆病者やシャイな人、ラットは裏切り者や卑怯者という意味もあります。
ミッキーマウスしかり、『トムとジェリー』や『レミーのおいしいレストラン』など、ネズミのキャラクターと言えば、マウスなんですね!
ネズミのなかま
世界には約2000~3000種のネズミ目の動物がいると言われています。哺乳類は4300~4600種ほどと考えられているので、約半数がネズミの仲間なのです。ペットとしておなじみの動物から、どうみてもネズミには見えない大型種までご紹介。
ペットで人気のネズミ
ハムスター
今となっては犬や猫に次ぐ人気のペットだけど、本来は野生のネズミ。ハムスターは【キヌゲネズミ亜科】というカテゴリーに分類される動物で、生息地では農作物を食いあらす害獣とされることもある。
モルモット
ペットで有名なモルモットは【テンジクネズミ属】の一種。ネズミの中でも特に温厚な性格で飼育しやすい。
大型のネズミ
カピパラ
【ネズミ目テンジクネズミ科】の一種で、世界最大のネズミの仲間。体長は1メートル超え、体重は最大60キロを超える。ぬぼーっとした愛嬌のある顔立ちで動物園などでも人気。野生のカピバラは、暖かい南米のアマゾン川流域の川や湖の近くに住んでいるため温かいお湯が大好きで、日本のいくつかの動物園では露天風呂に入る姿が見られる。
マーラ
【テンジクネズミ科】の動物で、カピバラに次ぐ世界最大級のネズミ。カピバラ以上にネズミ感は薄れていて、脚の長いウサギのような見た目。一夫一妻制で一度カップルになると一生添い遂げ、子育ても夫婦で行うと言われている。
ビーバー
ダムを作ることで有名なビーバーは、【ネズミ目ビーバー科】。ビロードのような毛皮は水をはじき、しっぽはオールのような形をしていて、後ろ足には水かきがある。直径15センチ程度の木であれば10分ほどで倒すことができる最強の木こり。普段は家族で生活をしていて、夫婦と子どもでコミュニティを形成。
ヌートリア
【ネズミ目ヌートリア科】の動物で、南アメリカが原産。しっぽを除く体長は40〜60センチ、体重は5〜9キロほどの太ったカワウソとビーバーを足したような見た目。繁殖力が高く、日本では戦時中に毛皮採取のために連れてこられたヌートリアが野生化してしまい、生態系を破壊する侵略的外来種として問題視されている。
実はネズミはスピリチュアルな存在!?
干支のトップバッターはネズミだったり、大黒様の遣いとしても知られ、実は縁起が良いとされる動物。風水でも金運アップのネズミの置物は定番だそう。
金運アップ・商売繁盛
「寝ず身=寝ずに働く」という意味があり、財を生み出す象徴
子孫繁栄
繁殖能力が高いため子宝に繋がるといわれています
再生
人間が破棄したものを「再生」するため、見た目で物事を判断することなく、エネルギーを読み取る力があるとされている。そのほか、予知能力やよく仕える奉公人の意味もあり
ネズミを神様の使いとして祀っている神社
京都市左京区の大豊神社
京都の哲学の道にある、狛犬ならぬ狛ネズミを祀っている神社。その境内末社には、学問を象徴する巻物を持った狛ネズミと、万物の源である水玉を抱えたネズミが鎮座している。これはお祭りされている大国主命(大黒天)の絶体絶命のピンチを、突然1匹のネズミが現れ、逃げ道を教えてくれ助けたという『古事記』の神話がその起源になっている。御神徳としては治病健康、福徳長寿、学業成就、縁結び、子授け安産がある。
公式ホームページ:https://ootoyojinja.jp
名古屋市北区の山田天満宮
名古屋三大天神の一つで、その境内にある金神社(こがねじんじゃ)は宝くじファンに金運祈願で人気の神社。金明神を信仰する人々が持っている財宝を金明神の御神水にて洗い清めると福徳福銭のご利益を授かると言われている。境内には小槌を担いだ金ねずみの像がある。また、東海地方では数少ない銭洗い(黄金洗い)も。御神徳としては、福徳円満、商売繁盛、金運招福がある。
公式ホームページ:http://tenman.jp/kogane/
まとめ
ちなみに我が家のお気に入り絵本『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』も、ネズミたちがアイディアと工夫いっぱいに素敵な家を作るお話で、とてもおもしろいのでおすすめです。
文/Ai Kano