【神戸】だれもが音を楽しめる!“共遊楽器”とは??①
音を感じられるのは耳だけではない!?

公開日:2021/01/26

【神戸】だれもが音を楽しめる!“共遊楽器”とは??①
音を感じられるのは耳だけではない!?

ASOPPA!調査隊、今回は神戸にて神戸芸術工科大学の金箱淳一先生にお話を伺いました!
今回みなさんにお伝えするのは、金箱先生が研究している “共遊楽器(きょうゆうがっき)” についてです。

 

音楽の敷居を下げ、誰もが一緒に楽しめる楽器。
そんな “音” を “楽しむ” ための音楽を、さらに魅力的に感じることができる
興味深い研究について、全3回にわたってお届けしていきます♪♪

 

第1回目は、『共遊楽器とは??』です!
共遊楽器とは何か、どのようにして生まれたのか…
音楽を、楽器を、今まで以上に魅力的に感じられること間違いなしの内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください☆

 

※メイン画像提供:金箱淳一

こちらが今回お話を伺った金箱淳一先生です!

いわゆる “大学の先生” と言われて想像する感じとは異なる、個性的な髪型には驚かされました(笑)

 しかしながら、むしろ気さくなお人柄で、興味深く熱いお話をたくさん聞かせてくれました。

 

※新型コロナウィルス感染予防のため、マスクを着用したままお話を伺っています。

 

研究室のなかには、何やら不思議なものがたくさん…

これらは金箱先生が作った共遊楽器や、研究で使われているものなのですが

まずは、先生がされている研究や共遊楽器を作ったきっかけについて教えていただきました。

共遊楽器ってなぁに??

共遊楽器という言葉を、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
この言葉は、金箱先生が作った造語です。

 

おもちゃ会社にいた頃に出会った “共遊玩具” からヒントを得て
障がいのある人もない人も一緒に遊べる楽器= “共に遊べる楽器” として、耳以外でも音を感じることができる様々な楽器を研究・創造し始めたそうです。

そもそも音楽とは…

音楽という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

みなさんそれぞれ、様々な音楽が浮かんだかと思いますが、ほとんどの方が “耳で聞く音楽” を思い浮かべたかと思います。

 

では、耳が聞こえない方はどのようにすれば音楽に触れることができるのでしょうか。

 

音を楽しむと書いて音楽。

つまり、音を耳で聞くだけが音楽ではなく、どのような人でも一緒に音や意味を感じて楽しむことができるのが音楽であり

そのために生まれたのが “共遊楽器” なのです!

研究のきっかけとは??

では改めて、金箱先生が研究を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

①共遊玩具との出会い

おもちゃ会社にいた頃、とある仕事でおもちゃをたくさん調べる機会があったそうです。

そのような調査をしていくなかで、ある方と出会ったとのこと。

詳しく聞いてみるとその方は、「機能を工夫することで、目や耳の不自由な子が一緒に遊べる環境づくり・一緒に遊ぶための道具」としておもちゃを捉え、開発されている方で、そこに金箱先生はビビっと感じるものがあったそうです。

②玩具福祉学会との出会い

今はなくなってしまったそうですが、玩具そのものをコミュニケーションツールとして捉え直して、障がいがある方々とわかり合えるような道具として捉えてみようというアプローチをしている学会との出会いもきっかけとなっているとのことでした。

⇒このふたつとの出会いが主なきっかけとなり、 ”共遊楽器” が生まれました。

金箱先生の研究をいくつかご紹介!

“楽器をまとう” プロジェクト【Wearing the Instrument】

こちらは、 “楽器をまとう” というプロジェクト名通り、身にまとって演奏する楽器です。

ボディパーカッションのようにセンサー部分をタッチして演奏する楽器と、ジャバラの開き具合で音色や音量を変えるアコーディオン型の楽器があり

この2種類の楽器、計4着をダンサーさんに渡して振付(演奏)をしてもらうというものです。

 

裏コンセプトは “楽器と人間との距離を限りなく0にする” ということ!

 

楽器はそもそも硬いものが多いうえに、持ち運ばなくてはいけない。
もし楽器を極限まで柔らかくして身に着けらることができたら…
そうすることで、日常の生活の中に楽器を取り入れることができ、それによって楽器そのものをより身近にしていこうというプロジェクトだそうです。

 

楽器を洋服として身に着けることができるなんて、不思議ですよね!

何度も触って音を出してみたくなります♫

シーンによって音色を変えられるようになっているということで、様々な音を楽しむことができる楽器です。

 

※画像提供:金箱淳一

子どものためのリハビリを応援するプロジェクト【デジリハ】

こちらもなかなか聞きなれない言葉ですね。

これは、金箱先生が開発のディレクターとして関わっているプロジェクトで
デジリハ=Digital Interactive Rehabilitation System のことです!

 

デジリハの仕組みは、各センサーが連携することによって体の動きにあわせたインタラクション(相互作用)が起こるというもので
夢中で遊んでいるうちにリハビリテーションに繋がるようにと作られています。

 

このプロジェクトのポイントは、なんといっても実際に子どもたちと一緒に開発をしている ということだと思います!

完成するまでのプロセスも非常に重視している というように
障がいのある子とない子の接点の形成、というのを大切にしているそうです。

 

まるで友達にプレゼントを作ってあげるように…
子どもから好きなものをヒアリングして、その仕様をシステムのなかに反映して作り上げます。

 

もちろん、障がいのない子も運動プログラムとして使うことができるので

子どもたちの生活のなかにも役立てられそうですね!

 

⇒デジリハについて、詳しくはこちら

音鈴

研究室の窓際に、キラキラとした短冊のようなものが吊るしてありました。

実はこれも楽器だと聞き驚きました!

私たちが見せていただいたものはまだお披露目前ということで、残念ながら今回みなさんにお見せすることはできないのですが

代わりに提供いただいたこちらの写真をお見せします☆

こちらは音鈴という楽器で、息を吹きかけて揺れると音が鳴る仕組みになっています。

研究室にあったものは、これを展示用にリメイクして作られていて

揺れるときれいな音とともに、キラキラと光や色まで楽しめるものでした!

お披露目が楽しみですね♫

 

※画像提供:金箱淳一

光る石(the blink stone)

中に太陽電池とバッテリーが入っていて、衝撃に反応して光る仕組みになっています。

 

ひとつでももちろん光りますが、たくさん敷き詰めた上を歩くと…
振動が伝わっていき、近くの石も光ってとてもきれいです☆

 

この光る石を使ったワークショップでは、夜に海岸で石けりをしたそうです。
遠くまで蹴る・的の中央に当てるという2種目で争う、その名も キック・ザ・ストーン・カップ!
とても楽しそうですよね♫

 

ほかにもアイデア次第でいろいろな楽しみ方ができそうですね!

 

※画像提供:金箱淳一

共遊楽器の目指すところ・あるべき姿とは…

楽器は敷居が高い!と感じる人も多くいますが、それは楽器特有の性質なのかもしれません。
例えば、街中に置かれているストリートピアノ。興味はあっても、なかなか触れないという人も多いですよね。

 

金箱先生曰く、楽器の敷居を下げること。
かしこまったものではなく、日常の中に存在していたい。より多くの人に音楽や楽器に親しんでもらいたい。共遊楽器にはそんな思が込められています。
そのほうがより生き方が豊かになる。楽器はそのためにあるものだとのことでした。

 

障がいがあろうが全然関係なくて、もしそこに対するハードルを感じてしまう人がいるのであれば
それはテクノロジーやデザインの力で越えていけるものであり
共遊楽器がトライするべき課題だと思っている、とのことでした。

まとめ

だれもが音を楽しむために生まれた “共遊楽器” 。
そのどれもが難しくはなく、自然と触れたくなるような興味深いものでした。

今回は金箱先生の研究内容を中心に、共遊楽器ができたきっかけや込められた思いについてお伝えしてきました。

次回は、子どもたちも楽しめる要素がいっぱいの共遊楽器についてもっと詳しくご紹介します☆驚くものばかりですよ~!
実際に体験させてもらったので、細かいこだわりや魅力についてたっぷりとお届けしますのでお楽しみに♪♪


取材・文/ASOPPA!事務局

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