山開き、海開きとともに、夏のレジャーシーズンが始まります。今年の夏はコロナ5類移行に伴い、海や山へのお出かけを計画している家庭も多いのでは? しかし、楽しい野外レジャーにはさまざまなリスクがあり、場所によって備えるべきポイントがあります。まずは【山編】として、子どもと楽しむハイキングやキャンプなどを想定し、注意すべきポイントをまとめました。レジャーシーズンを前に、今一度、確認しておきましょう。
山、ハイキング、キャンプ……身近に潜む危険!
ハイキングやキャンプなど、夏のレジャーを子どもと一緒に楽しむ場合、自然の中では予期せぬトラブルにあうことも。そこであらゆるシーンを想定して、事前に計画&準備をしておくと安心です。そこで、親が知っておくべき注意点を挙げます。
危険な虫や動物に注意!
蚊、ブヨ、アブ
山中の水場に頻出するブヨとアブ。刺されるとかゆみ、痛み、ひどい腫れが続きます。蚊も子どもが刺された場合には掻き壊しに注意。まずは患部を水でよく洗い、ステロイド軟膏を塗るなど早めに処置しましょう。
マムシ
やぶの中に潜んでいることも。かまれると数時間後には全身に毒が回るため、できるだけ早く病院へ。
ムカデ、マダニ
かまれると赤く腫れ上がり、アナフィラキシーを引き起こすリスクが。マダニは病原体を媒介するので注意が必要。
スズメバチ
山でスズメバチの巣を見つけたら決して近寄らないで。刺されると激しい痛みや腫れのほかアナフィラキシーショックを起こすことも。
危険な植物に注意!
ウルシ
ヤマウルシは赤い茎が特徴、ツタウルシは、他の樹木に巻き付いて生息。うっかり触るとかぶれる。
イラクサ
茎や葉に生えているトゲのような毛が刺さると抜きにくく、触れてしまうと激しい痛みをともない、赤く腫れる。
イバラやススキ
イバラは枝や幹に固いトゲがあり、引っ掛かると切り傷に。危険なイメージのないススキも、細長い葉のフチがギザギザとしていて鋭く、注意が必要です。
カエンタケ
夏から秋にかけて、都心部の緑地などでも確認されている猛毒性のキノコ。触れるだけで皮膚が炎症を起こしてただれてしまい、誤って食べてしまうと命の危険が。
天候の変化に注意!
熱中症に注意!
熱中症対策として水分補給は大事。ポイントは“のどが渇く前に飲む”こと。30分から1時間おきに水やイオン飲料を飲みましょう。また、汗で濡れて通気性が悪くなった服は熱がこもってしまいます。体温を効率的に下げるために、服は汗で濡れた時点で着替えさせるようにしましょう。
山に限らず、小さな子どもは体調の異変をうまく伝えられないため、要注意。顔が赤くなっていたり、ボーッとしていると気づいたら、すぐに涼しい場所へ移動させ、体を冷やしたり、水分補給の対処を。
道迷いに注意!
ハイキングコースを離れ、森や雑木林に足を踏み入れた途端、自分の居場所がわからなくなってしまうのが山の怖いところ。低い山やキャンプ場でも油断は禁物。警視庁が発表する「令和3年における山岳遭難の概況」(グラフ4)をみると、1位が「道迷い」で全体の41.5%、2位が「転倒」(16.6%)、3位が「滑落」(16.1%)となっています
食中毒に注意!
BBQのトングは使い分けを
バーベキューの際の注意ですが、生肉はカンピロバクターやO157など感染力の強い細菌の宝庫。生肉をつかんだトングで焼き上がった肉や野菜を取り分けるのはNG。複数のトングを使い分けましょう。
山のレジャーのリスクは、こうして防ごう!
服装でリスク回避
寒暖差や天候の変化、また虫や植物によるトラブル、怪我を考慮して、夏でも肌を露出することは避けるのがベター。長袖、長ズボン、熱中症予防の観点からも帽子は必須。首元も日よけ布付きの帽子や手ぬぐいなどでカバーしたい。なお、山に着ていくウェアの色合いは、万が一の事故や遭難時に発見してもらいやすい色であることが大切。自然のなかで擬態してしまう迷彩柄の服はNGです。またハチ対策という視点では、ハチに攻撃されやすい黒っぽい色は避け、黄色や明るいオレンジ色などのカラフルなウェアがオススメ!
しっかり装備でリスク回避
地図、コンパス、登山用GPSなどは大人の持ち物ですが、これらを活用して常に現在位置を確認するよう心がけましょう。また、携帯電話などの通信手段の携行も大事。山では携帯電話の通話圏外になる場所も多くありますが、GPS付き携帯電話などからの通報で救出された例も少なくありません。電波が届かないところでも山地図が見られ、現在地を確認できる登山用アプリもおすすめ。予備のバッテリーもお忘れなく。
<最低限必要な持ち物>
携帯電話・スマホ/汗拭きタオル/水分補給できるもの/着替え/レインウェア/保険証
<あると便利な持ち物>
おやつなどの軽食/消毒薬と絆創膏/虫除けスプレー/虫刺され用塗り薬/地図、コンパス/モバイルバッテリー
参考:春は親子でハイキング!子どもと山歩きを楽しむための持ち物と注意点/BE-PAL
入念な準備&無理のない計画でリスク回避
山では天候の急変がつきもの。または、急な怪我などのアクシデントが発生する可能性もあります。その点を考慮して、コースや日程、トイレの場所や避難施設がどこにあるのかなど、事前によく調べ、余裕のあるスケジュールを立てましょう。
しっかりした付き添いでリスク回避
近くで遊んでいるからと安心しないで、子どもだけで遊ばせずに必ず親が付き添いを。子どもは好奇心旺盛で、気がつくと親の視界に入らない場所で遊んでいるということも。遊びに夢中になっている子どもには、危険な場所の判別はつきません。立入禁止等の区域に入ってしまったり、危険な行為をしてしまうこともあります。目の届く範囲にいるからという安心感や、屋外でのリラックスした気分から、親が油断しがちになるので要注意です。
まとめ
文/Ai Kano