特定外来生物という言葉を聞いたことはありますか? 私たちの身近な生き物であるアメリカザリガニとアカミミガメ(通称:ミドリガメ)も、2023年6月1日から「条件付特定外来生物」に指定され、販売などが禁止されることになりました。この2種については飼育したことがある人、または飼育中の方も多いのではないでしょうか。
当記事では、「条件付特定外来生物」をすでに飼っている場合は? また、偶然川で捕まえてしまった場合はどうすれば? などなど、外来生物についての気になる疑問について解説します。
特定外来生物という言葉を聞いたことはありますか? 私たちの身近な生き物であるアメリカザリガニとアカミミガメ(通称:ミドリガメ)も、2023年6月1日から「条件付特定外来生物」に指定され、販売などが禁止されることになりました。この2種については飼育したことがある人、または飼育中の方も多いのではないでしょうか。
当記事では、「条件付特定外来生物」をすでに飼っている場合は? また、偶然川で捕まえてしまった場合はどうすれば? などなど、外来生物についての気になる疑問について解説します。
外来生物とは、もともと日本にはいなかったけれど、人間が外国から持ち込こんで日本にいるようになった生きもののこと。もちろん、動物だけではなく、植物や昆虫、魚、微生物にも外来生物はいます。
野生で生息・生育している種類、ペットとして飼われている種類、産業用に使われている種類など、実は身近なところにもたくさんいるんです。
アメリカザリガニ
セイヨウタンポポ
ドバト
セキセイインコ
ハムスター
セイヨウミツバチ
ホルスタイン
① ペット、観賞用として持ち込まれる
② 農作物や食用など産業利用の目的で持ち込まれる
③ 荷物や乗り物と一緒に持ち込まれる
外来生物は、主にこの3つのパターンで日本にやってきます。例えばアメリカからやってきたアライグマは、1970年代にアニメの影響でペットとして飼われていたものが逃げ出したり、捨てられたりして広がりました。
今回、規制が始まったアカミミガメも、もともとはペットとして1950年代にアメリカから輸入されたもの。一方、アメリカザリガニは、ウシガエルのエサとして昭和初期にアメリカから輸入されました。どちらも、現在は全国の水辺で分布しています。
都内でも見つかったことのある危険な外来生物のヒアリや、身近にいるオカダンゴムシのほか、外来生物について紹介した東京都環境局作成のパンフレットがありますのでぜひ読んでみてくださいね。
『最近話題の外来生物ってどんな生きもの?』(PDF)/東京都環境局作成
外来生物のなかには、まわりに悪い影響を及ぼす種類もいます。そのため国が「特定外来生物」として指定したものについては、飼育や栽培、保管、運搬、輸入などは原則禁止、違反すると罰則が課せられます。
1.生態系への影響
もともとその地域に住んでいた生きものを食べたり、エサを横取りすることで、もともと住んでいた生きものを絶滅させたり、その地域に成立していた生態系のバランスを崩してしまう可能性があります。
2.人の生命・身体への影響
今までいなかった生きものの中には、危険がひそんでいることもあります。例えば、毒を持っている外来生物にかまれたり、刺されたりする危険があります。
3.農林水産業への影響
外来生物の中には、畑を荒らして農作物を食べたり、漁業の対象となる生きものを食べてしまい、経済的にも悪い影響を及ぼす種類もいます。
はじめに書いたように、アメリカザリガニとアカミミガメは「条件付特定外来生物」に指定され、販売の禁止など各種規制の対象となりました。もし違反した場合、なんと最大で3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科されることに!
しかし、身近な生き物だけあって「今、家で飼っているんだけど、どうしたら……?」という方や、「子どもが捕まえちゃっただけで罰金?」と、疑問を持たれる方も多いはず。そこで今回の規制の内容についてQ&Aで解説していきたいと思います。
A. 繁殖力が非常に強いアメリカザリガニとアカミミガメは、全国各地に定着し、生態系に大きな影響を与えています。一方で、飼育者もとても多く、飼育等を禁止することによって、野外へ放す飼育者が増えると予想され、かえって生態系への被害を生じるおそれがあります。そのため一部の規制(飼育等)を適用除外とする「条件付特定外来生物」に指定されることになりました。
A. 一般家庭でペットとして飼育しているアメリカザリガニやアカミミガメは、これまで通り飼うことが可能です。申請や許可、届出等の手続きは不要。アメリカザリガニ、アカミミガメが寿命を迎えるまで大切に飼育してください。
A. 川や池で捕獲することは問題ありません。ザリガニ釣りはこれまで通りOK。釣ったその場で逃がす「キャッチアンドリリース」も、規制の対象外で違反ではありません。ただし、釣った場所とは別の場所にリリースすることは、その場所の生態系を壊すことにもつながりかねないのでNG。また、一度捕獲するなどして家に持ち帰ったら、再び川や池に戻すこともできません。
A. アメリカザリガニやアカミミガメを池や川などの野外に放したり、逃がしたりすることは法律で禁止されており、違反すると罰則・罰金の対象になります。また、適切ではない飼育環境で、アメリカザリガニやアカミミガメが逃げ出した場合も違法となることがあるため、逃げ出さないように工夫して適切に飼育することが必要です。
A. 飼い続けることができなくなった場合は、友人・知人・飼い主探しをしている団体等に譲渡してください。無償(譲り渡す側が引き取り料等を払って引き取ってもらう場合も含む)であれば申請や許可、届出等の手続きは不要です。ただし、無償であっても頒布にあたる行為(不特定多数または特定多数の者に配り分けるような行為)は規制されます。
代わりに飼ってくれる人がどうしても見つからない場合は、殺処分もやむをえません。殺処分する場合は、適切に処分できる業者に依頼するなどして、薬殺や冷凍など、できる限り苦痛を与えない適切な方法で行うと、環境省のホームページでも喚起されています。
A. 環境省では相談ダイヤルを設けて飼育などの相談に応じています。
環境省 アメリカザリガニ・アカミミガメ相談ダイヤル
【ナビダイヤル】
0570 – 013 – 110
【IP電話等の場合】06-7739-7899
受付時間 AM9:00~PM5:00(12/29~1/3は除く)
※通話料は発信者の負担となります。
問題を引きおこす外来生物の中には、ペットとして飼っていたけど逃げ出したもの、飼いきれなくなって逃がしたものが多くいます。飼う前に以下の点などを調べてみることが大切です。
・どのくらい長生きするのか?
平均寿命を調べてみましょう。とくにアカミミガメの寿命は平均13〜15年、上手に飼うと20〜40年程度とされており、とても長生きです。
・どのくらい大きくなるのか?
どのくらい大きくなるのかを調べてみましょう。これもアカミミガメについてですが、成体に成長すると、大きさが30cmにもなります。
・性格は獰猛でないか?
小さいときはおとなしくても、大きくなると性格が獰猛になり、人に慣れないような生き物もいます。
飼う前にまずはインターネットで調べてみましょう。外来種対策について、環境省の学習ツールや東京都環境局のこども学習サイトが役立ちます。