「流れ星が光っている間に願い事を言えたら、そのお願いはかなう」……、などと言われますよね。
10月には「りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)」「オリオン座流星群」という二つの流星群を見るチャンスがあります。
ぜひ秋の夜空を見上げて、貴重な天文イベントを観察してみましょう。
10月に極大(きょくだい:最も活発に活動すること)を迎える「りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)」「オリオン座流星群」の概要、さらには流星群を観察するポイントをご紹介します。
「流れ星が光っている間に願い事を言えたら、そのお願いはかなう」……、などと言われますよね。
10月には「りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)」「オリオン座流星群」という二つの流星群を見るチャンスがあります。
ぜひ秋の夜空を見上げて、貴重な天文イベントを観察してみましょう。
10月に極大(きょくだい:最も活発に活動すること)を迎える「りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)」「オリオン座流星群」の概要、さらには流星群を観察するポイントをご紹介します。
10月の流星群の一つ目は、「りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)」です。
観測に適した日や星座神話をご紹介します。
りゅう座流星群は、10月6日ごろから10日ごろまで活動をする流星群です。
活動が最も活発になるのは8~9日ごろと予想されています。
りゅう座流星群の特徴は、極大となったときの勢いが強い点です。
1930年代や1940年代にはアメリカやヨーロッパで1時間に1,000個以上もの星が流れ、「流星嵐」という現象が起きました。
日本でも1985年ごろや1998年ごろ、1時間に100個以上の流星が確認されています。
りゅう座流星群の活動は、13年に1度の割合で活発化する傾向です。
残念ながら2023年は当たり年とはならないため、1時間に観測できる流星の数は5個程度と予想されます。
ちなみに、来年2024年は出現周期にあたりますが、当たり年でもそうでなくても多く観察されたり、されなかったりとなんとも言えない状況です。
流星群の母天体は「ジャコビニ・ジンナー彗星」です。
かつては「りゅう座流星群」ではなく「ジャコビニ流星群」という名称で親しまれていました。
ちなみに、流星群の母天体が彗星とはどういうこと?
星座=彗星=流星群?と混乱しがちですが、ちゃんと後ほど説明しますね。
りゅう座は、「北極星」のそばにある星座です。
四角形に並んだ星を頭とし、長い体が北極星を含む「こぐま座」を取り囲むように伸びています。
探すときは北極星を囲む星をつないでいくと、四つの星まで探しやすいでしょう。
りゅう座を構成する星は、2等星1個・3等星5個・4等星10個などです。
さほど明るい星を持たない星座ですが、2世紀前半ごろからその存在は知られていました。
2世紀ごろのギリシャ人天文学者・プトレマイオスが定めた「トレミーの48星座」にも数えられており、数ある天空の星座の中でも主要星座の一つといえます。
ギリシャ神話の英雄「ヘラクレス」は、犯した罪をつぐなうために12の試練を与えられました。
りゅう座の元となるりゅうは、ヘラクレスに与えられた11番目の試練に関係しています。
ヘラクレスの11番目の試練は、世界の果てにある黄金のリンゴを取ってくることでした。
木には決して眠らないりゅうが巻き付いており、簡単に奪うことはできません。
ヘラクレスは木を管理する妖精の父・アトラスに娘たちの説得とリンゴの獲得を依頼し、試練を乗り越えたといわれています。
ただしギリシャ神話にはさまざまなバージョンがあり、同じ物語でも内容が違うケースが少なくありません。
この黄金のリンゴの話も例外ではなく、「ヘラクレスが自分でりゅうを退治した」というバージョンもあります。
オリオン座は、星をよく知らない人でも見つけやすい星座です。
10月は、オリオン座付近でも流星群が見られます。オリオン座流星群について詳しく見ていきましょう。
10月2日ごろから11月7日ごろまで見られる流星群です。
最も活動が活発化するのは、10月21日ごろと想定されています。
オリオン座流星群は、りゅう座流星群と比較すると流星の数が少ない傾向です。
極大を迎えるタイミングでも、1時間に出現する流星の数は20程度と見込まれています。
ただし当たり年となった2006年は、1時間に100を超える流星が観測された場所もあったそうです。
オリオン座流星群の母天体は、75.32年周期で地球に近づく「ハレー彗星」です。
地球とハレー彗星のルートは年に2回ほど重なるといわれており、毎年5月に見られる「みずがめ座η流星群(※)」もハレー彗星を母天体としています。
※ηは「エータ、イータ」のように読みます
オリオン座は、冬を代表する南の空の星座の一つです。
二つの1等星(ベテルギウス・リゲル)と五つの2等星から構成される非常に明るい星座であるため、星座に詳しくない人でも探すのは難しくありません。
オリオン座の中央には、東側(左側)から順に、アルニタク・アルニラム・ミンタカという三つの2等星が並んでいます。
これらはどれも、アラビア語で「帯」を意味する名前です。
すなわち一直線に並ぶオリオン座の三つ星は、「帯」を表わしています。
また三つ星の南側に注目すると、縦にも三つ星が並んでいることが分かります。これらは3等星と5等星から構成される「小三つ星」です。中央の星には、散光星雲(ガスやチリのまとまりである天体)の一つ「オリオン星雲」があります。
オリオン座の星座絵は、右手にこん棒・左手に獅子の毛皮を持つ勇敢な狩人・オリオンです。
オリオンは非常に優れた狩猟技術を持っていましたが、尊大な態度が神の逆鱗に触れてしまいます。
神の放ったサソリに刺され、その毒により命を落としてしまいました。
死後オリオンの体は天に召され、オリオン座として南の空に輝くようになったのです。
ただし神は、オリオンを毒殺したサソリも天に上げ、星座としました。
オリオンは夜空でもサソリから逃げ回っており、二つの星座が並ぶことはありません、
このほか、オリオンの死因を「女神・アルテミスが放った矢」とするバージョンもあります。
流星群と聞いて、「たくさんの星が流れていくものだ」と想像する人は多いのではないでしょうか?
実は流星群とは、星ではありません。
「流星」とはどのようなものなのかを見ていきましょう。
私たちが流星と呼ぶものの正体は、宇宙に漂う小さなチリです。
大きさは1mmから数cmと非常に小さく、星と呼べるものではありません。
宇宙に漂うチリが地球の大気圏に突入すると高温により気化し、大気やチリの成分がスパークします。
明るい光が輝きながら夜空を流れていく様は「流れる星」に例えられ、「流星」という呼び方が定着しました。
地上から大気圏の位置は、せいぜい100kmくらいです。
すなわち流星群ははるか遠くの宇宙で起こっているイベントではなく、地球に近いところで発生しているイベントなのです。
流星の元となるチリは、彗星によって放出されたものです。
彗星とは、氷やチリ・ガスなどで構成された太陽系の小天体です。
個々の彗星はそれぞれの公転ルートを持っており、周期的に太陽の周りを回るもの・太陽のそばを通り過ぎて二度と帰ってこないものなど、さまざまあります。
彗星がチリを放出するのは、太陽のそばを通ったとき、その熱によって核がダメージを受けるためです。
彗星の軌道にはたくさんのチリが残り、「ダストトレイル」とよばれる細長い帯を形成します。
流星群が発生するのは、主に地球の軌道がダストトレイルと重なったときです。
そこにあるチリの量によっては、おびただしい数の流星が発生することもあります。
特定の流星群が毎年同じ時期に現われるのは、地球の公転軌道が決まっているためです。
同じ速度で公転を続ける地球は、彗星の軌道に入るタイミングがずれることはありません。
毎年ほぼ同じタイミングでダストトレイルに入るため、流星群が見られる時期が決まっているというわけです。
毎年決まって見られる流星群には、以下のものがあります。
流星群名 | 極大 |
1時間あたりの流星数 (極大時) |
しぶんぎ座流星群 | 1月4日頃 | 45 |
4月こと座流星群 | 4月22日頃 | 10 |
みずがめ座η(エータ)流星群 | 5月6日頃 | 5 |
みずがめ座δ(デルタ)南流星群 | 7月30日頃 | 3 |
ペルセウス座流星群 | 8月13日頃 | 40 |
りゅう座流星群(ジャコビニ流星群) | 10月8日頃 | 5 |
おうし座南流星群 | 10月10日頃 | 2 |
オリオン座流星群 | 10月21日頃 | 5 |
おうし座北流星群 | 11月12日頃 | 2 |
しし座流星群 | 11月18日頃 | 5 |
ふたご座流星群 | 12月14日頃 | 45 |
このうち「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」は「三大流星群」といわれ、比較的安定してたくさんの流星が見られます。
流星というのは、彗星から出たチリだということは分かりました。
が、「星座と何の関係があるの?」と思っている方もいるかと思います。
簡単にご説明すると、流星を見ると空のあるところからフッと飛び出してくるように見えます。
この飛び出すように見える場所にある星座が何かで、〇〇座流星群と名付けられているのです。
ちなみに、飛び出す地点のことを放射点もしくは輻射点と呼びます。
今回のお話ですと、例えばりゅう座があるところから複数個飛び出してきているようにみえるジャコビニ・ジンナー彗星のチリが「りゅう座流星群」ということになります。
流星群の観察条件は、以下の3つです。
流星の活動が活発であること
流星の高度が高いこと
月が明る過ぎないこと
流星の活動は「極大」と呼ばれる時期が最も活発で、観測できるチャンスが高くなります。
流星を観察する場合は、極大となるタイミングに合わせましょう。
また流星の放射点が低過ぎると、流星はほとんど見えません。
例えば今回の「りゅう座流星群」や「オリオン座流星群」なら、りゅう座やオリオン座がしっかりと天空に上がるのを待つ必要があります。
このほか月の大きさ・明るさも、流星群の見え方に大きく関わる要素です。
当然ながら、流星群の観察におすすめなのは、月が出ていない新月となります。
流星群の極大が満月と重なってしまうと、観察によい条件とはいえません。
流星群の観察は、街明かりの少ない広い場所がおすすめです。
人工的な明かりが強過ぎると、空の星はほとんど見えません。
都市部から離れた、自然豊かな場所を観察場所としましょう。
明るい場所から暗い場所へ行くと、すぐにはものがよく見えません。
流星群の観察に入る前に、しっかりと暗闇に目を慣らしましょう。
一般に、暗闇に目が慣れるまでには10~30分くらいかかるといわれています。
流星の活動を見逃さないよう、観察前にしっかりとウォーミングアップしてください。
なお流星群の観察中にスマホなどを見てしまうと、また暗闇に慣れるまでに時間がかかってしまいます。
流星群の観測中は、スマホや明るいものを見ないようにするのがおすすめです。
自然豊かな場所で天体観測をするのなら、持ち物の準備も必要です。
星座早見盤・天体図鑑
天体望遠鏡や双眼鏡
暖かい上着や毛布
レジャーシート・チェアなど
夜食
水筒
懐中電灯
流星群を見るついでに、秋の星座や星の名前までチェックしてみましょう。
流星群は肉眼でも見えますが、星をはっきり見たいなら天体望遠鏡や双眼鏡を持参するのがおすすめです。
また秋の夜は冷えるため、防寒グッズは必須です。
レジャーシートやチェアを置いて、のんびり夜空を眺めましょう。
せっかくなら夜食・暖かい飲物なども用意しておくと、家族みんなで楽しく盛り上がれます。