10月18日は「冷凍食品の日」!
今や私たちの食卓に欠かせない冷凍食品。
スーパーやコンビニには、バリエーション豊かなメニューが並んでいますよね。
しかしそもそも、冷凍食品とはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、冷凍食品の規定や冷凍方法・歴史を詳しくご紹介。
日本の冷凍食品の現状と併せて、チェックしてみてくださいね!
10月18日は「冷凍食品の日」!
今や私たちの食卓に欠かせない冷凍食品。
スーパーやコンビニには、バリエーション豊かなメニューが並んでいますよね。
しかしそもそも、冷凍食品とはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、冷凍食品の規定や冷凍方法・歴史を詳しくご紹介。
日本の冷凍食品の現状と併せて、チェックしてみてくださいね!
1986年、一般社団法人日本冷凍食品協会は10月18日を「冷凍食品の日」と定めました。
10は「トウ」とも読みますよね。
このとこから「冷凍」の月には、10月がふさわしいと考えられたそうです。
一方「18」は、冷凍食品の保存・流通温度にちなんでいます。
冷凍食品の管理温度は「マイナス18℃」とするのが世界共通です。
冷凍食品の日にふさわしい根拠になり得るとして、18日が選ばれました。
冷凍食品は文字どおり「食品を冷凍させたもの」ですが、ただ凍らせただけの食品では「冷凍食品」として流通できません。
スーパーやコンビニで購入できる「冷凍食品」とはどのようなものを指すのでしょうか?
一般社団法人日本冷凍食品協会は、冷凍食品について以下の条件を満たしたものとしています。
前処理をしていること
急速凍結していること
適切に包装していること
-18℃以下の温度で保管していること
冷凍食品は「すぐに食べられること」が重要です。
魚なら食べられない内臓・ひれや骨を取り除き、3枚おろしや切り身にするなどの処理を行う必要があります。
また野菜なら適切なカットが必要ですし、揚げ物なら油で揚げるところまで処理をして消費者の手間を省くことが必須です。
食品をゆっくり凍結させると、組織が壊れて品質が変化する恐れがあります。
冷凍食品は、「急速に」食品を冷凍させなければなりません。
一般に食品は、-1℃から凍り始め-5℃でほぼ凍るといわれています。
急速凍結とは、-1℃から-5℃までの凍結過程を「おおむね30分以内」で終わらせることです。
冷凍食品をきれいな状態で消費者に届けるためには、適切な包装が必要です。
冷凍食品の製造者は、食品が汚れたり形が崩れたりしないよう、食品に合わせたパッケージを選択しなければなりません。
またパッケージには、調理法やアレルギー物質・成分の詳細など、法律で提示が義務付けられた情報を記載することも必要です。
冷凍された食品は、-18℃以下に保たれることが必須です。
「-18℃で管理する」というのは、生産時だけのことではありません。
生産から貯蔵・輸送・配送・販売に至るまで、冷凍食品は一般消費者に届くまでの全行程で-18℃をキープする決まりです。
冷凍食品のメリットは、何といっても長期間品質が変わらないこと。
素材や加工方法による違いはありますが、保存可能な期間は8カ月から24カ月です。(-18℃以下で適切に管理された場合)
ところで「冷凍食品の賞味期限ってどうやって決まるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
冷凍食品の賞味期限は、製造者が「科学的・合理的根拠をもって適正に設定すべき」とされています。
そのため製造者は、-18℃以下の環境で細菌試験などの食品試験を実施するのが一般的です。
試験の結果を根拠に、製造者は「このくらいの期間なら、品質の変化がなくおいしく食べられる」という目安を決めています。
「冷凍食品は食品を凍らせるだけ」というイメージですが、製造工程は食品や調理方法によってさまざまです。
厳密な決まりはなく、製造者が最適と思われる方法を選択しています。
ただし急速凍結の方法はおおむね決まっていて、以下の4つに分けることが可能です。
空気式凍結(エアブラスト方式):食品に冷風を当てて凍らせる
液体式凍結(ブライン方式):低温の液体に食品を漬けて凍らせる
接触式凍結(コンタクト方式):低温の冷凍板に食品を接触させて凍らせる
液化ガス凍結方式:液体窒素や液化炭酸ガスを吹き付けて凍らせる
食品によっては、凍結前または後に一手間加えられます。
例えば魚介類や野菜は、凍結後すぐに氷水に浸して表面に氷の膜を付けるのが一般的(グレーズ(氷衣))。
氷の膜を付けることにより、冷凍後の品質の変化を最低限に抑えることが可能になるんです!
また冷凍野菜は、冷凍前に70~80%加熱します(ブランチング)。
こうすることで酵素の働きが止まって、野菜の変質や変色が起きにくくなるのだとか。
冷凍野菜を使って料理するときは、すでに火が通っていることを前提に調理してくださいね。
日本初の冷凍食品は、1920年代に作られた「魚」です。
葛原商会(現ニチレイフーズ 森工場)がアメリカから冷凍設備を取り寄せ、北海道で冷凍事業を行いました。
その後冷凍加工品の開発が進み、さまざまな冷凍食品が作られるように。
1957年に南極観測船「宗谷」が出航した際には、約70種類・約20トンもの冷凍食品が積み込まれました。
1964年の東京五輪でも、5,000名を超える各国の選手団に冷凍食品を使ったメニューが提供されたそうです。
1960年代といえば、日本が高度経済成長期に突入していた時代です。
日本式の生活スタイルから洋風の生活スタイルに変化し、人々の家庭には電化製品が広く普及し始めていました。
電気冷蔵庫を所有する家庭も増えましたが、冷凍食品が一般家庭に普及したわけではありません。
1960年代の冷凍食品は、まだまだ「業務用」という認識でした。
1960年代後半には、冷凍食品の生産量が10万トンを超えるようになります。
冷凍食品の普及に伴い、1969年には一般社団法人日本冷凍食品協会が設立されました。
さらに1970年には日本万国博覧会(大阪万博)が開催され、冷凍食品を使ったレストランが注目を集めます。
万博以降の外食産業では積極的に冷凍食品が導入されるようになり、冷凍食品が一般消費者にとって非常に身近なものとなりました。
またこの頃になると、家庭用冷凍庫の進化により一般家庭に冷凍食品が普及し始めます。
1980年代にはピザ・グラタン・うどんなどが人気を博し、90年代には揚げ物も登場。
1990年代末には、日本の冷凍食品生産量は150万トンを超えるまでになりました。
自然解凍OKな冷凍食品の登場により、冷凍食品はさらに身近なものに。
冷凍「そばめし」「チャーハン」などが大ヒットとなり、お弁当も登場します。
2017年には冷凍食品生産量が160万トンを超え、過去最高となりました。
冷凍食品のさらなる普及につながったといわれるのが、2019年末からのコロナ禍です。
いわゆる「巣ごもり需要」によって家庭における冷凍食品のニーズが高まり、それまで冷凍食品とは無縁だった層も購入を始めました。
コロナ禍以降、冷凍食品の総生産量における家庭用と業務用の比率は、ほぼ半々になったといわれています。
コロナ禍をきっかけに冷凍食品に注目する人が増え、冷凍食品市場は拡大中です。
日本の冷凍食品は、現在どのような傾向にあるのでしょうか?
日本の冷凍食品の現状を見ていきましょう。
現在の冷凍食品でいえるのは「とにかくおいしい」ということ!
冷凍の際「CAS冷凍(セルアライブシステム冷凍)」「プロトン凍結」といった最新技術の活用により、解凍した後のおいしさが各段にアップしています。
食品のおいしさや食感の低下が少なく、「冷凍食品=おいしくない」というイメージはもはや当てはまらないといえるでしょう。
復元性の高い現在の冷凍技術なら、名店のおいしさを家庭でそのまま楽しめます。
「気軽においしいものを食べたい!」「遠くの名店の味を楽しみたい!」という声は多く、高級百貨店のグルメ冷凍食品コーナーや、高級店専門の冷凍食品通販サイトなどが人気です。
例えば高級冷凍食品サイトだと、フルコースのディナーセットを通販できます。
価格は8,000円程度から2万円を超えるものまであり、家庭のニーズや好みに合わせて選択することが可能です。
日本の大手スーパー「イオン」は、2023年中に、首都圏に5店舗の冷凍食品専門店「@FROZEN(アット フローズン)」を出店予定です。
@FROZENのコンセプトは、「冷凍食品を通して日本の食シーンを変革し“新たな食スタイル”を創造していく」。
店舗では、日常の気軽な食事から記念日までありとあらゆる冷凍食品がそろいます。
また冷凍食品専門店といえば、冷凍食品卸の「アイスコ」が川崎市に出店した「FROZEN JOE’S(フローズンジョーズ)」も人気です。
名店のピザ・行列ができるラーメン屋のラーメンなど、ここにしかないメニューがさまざまあります。
このほかフランスの「Picard(ピカール)」も、注目度の高い冷凍食品専門店。
食の質にこだわりたい家庭・おしゃれな食事を気軽に楽しみたい家庭が積極的に利用しており、冷凍食品でリッチな食事を楽しむことも一般的になってきました。
グルメなご家庭におすすめなのが、寿司の冷凍食品。
いろいろなサイトを探していると、名だたる名店の江戸前寿司などが販売されています。
また気軽に食べたいご家庭は、無印良品がおすすめ。
さまざまな具材の冷凍キンパ(韓国風海苔巻き)が販売されています!
忙しいときに重宝するのが、カット済み・処理済みの素材が一まとめに冷凍されたミールキット。
味付けも不要なため、10分程度でおいしいおかずが完成します。
冷凍庫に常備しておけば、何も作りたくないときや忙しいとき、重宝すること間違いなし。
「パンは焼きたてが1番」というご家庭は、焼きたてパンの通販・お取り寄せサイト「Pan&(パンド)」をチェックしてみましょう。
焼きたての状態で急速冷凍されたこだわりのパンが、豊富なバリエーションでラインナップされています。
パンは「国産小麦」「ライ麦」などと材料から検索できるので、好みのパンが見つかりますよ!
ここまで紹介してきた内容について知らなかったという方も多いのではないでしょうか?
冷凍食品の魚やエビなどに氷がついていること自体、スーパーで購入してから家までの間に溶けて、再凍結したのかなと思っていませんでしたか?
鮮度を保つためにわざと氷の膜(グレーズ)をつけていたのですね。
このような「思っていたのと違う」という冷凍食品の意外なヒミツをご紹介します。
ご家庭によっては保存料が使われているかどうかを気にするかと思います。
実は冷凍食品には保存料が使われていません。
ご紹介した「-18℃で管理する」ことがポイントです。
この管理により腐敗や食中毒の原因となる細菌が活動できないため、保存料などを使わなくても保存しておくことが可能となっているのです。
結論を言ってしまうと、アイスクリームは冷凍食品ではありません。
冷凍食品はご紹介した4つの条件が必要となります。
それはつまり解凍や調理することを前提に、保存のために食品を冷凍するということです。
それに対しアイスクリームは固めたものをそのまま食べるものですので冷凍食品ではないのです。
また、一度溶けてしまうと形状の変化(保存状態の悪さ)が見た目で判断できます。
逆に冷凍食品は一度温度が上がっても再度低温になれば消費者は見た目で判断できません。
これらのことから、冷凍食品には賞味期限をつける必要がありますが、そうでないアイスクリームは賞味期限を省略してよいことになっています。
カリフォルニア大学の研究によると、冷凍食品と生鮮食品の間に栄養価の大きな差異はなかったそうです。
しかしながら、一部の食材によっては冷凍食品の方がビタミンが多いことも分かりました。
例えばトウモロコシやインゲン、ブルーベリーなどは生のものよりビタミンCが多く含まれていたそうです。
ただし、ご家庭の冷凍庫で頻繁に開け閉めする場合、「-18℃で管理する」ことは難しいかもしれません。
その場合は栄養価が損なわれたり、腐敗が早まったりするため早めに食べてしまいましょう!
参考:Are Frozen Fruits and Vegetables as Nutritious as Fresh?|The New York Times