日本気象協会の「桜開花・満開情報 2024」によると、東京や福岡などでは3月20日・21日ごろから桜の開花が始まるといわれています。
日本の春は、桜なしには語れませんよね!
開花予報をにらみながら、お花見の予定を立てているご家庭も多いのではないでしょうか?
この記事では、日本の桜の基礎知識や日本人と桜の歴史、さらには桜にまつわるトリビアをご紹介します。
桜の便りが聞こえ始めるこの時期、今一度「桜とはどのような花なのか」を考えてみましょう。
日本気象協会の「桜開花・満開情報 2024」によると、東京や福岡などでは3月20日・21日ごろから桜の開花が始まるといわれています。
日本の春は、桜なしには語れませんよね!
開花予報をにらみながら、お花見の予定を立てているご家庭も多いのではないでしょうか?
この記事では、日本の桜の基礎知識や日本人と桜の歴史、さらには桜にまつわるトリビアをご紹介します。
桜の便りが聞こえ始めるこの時期、今一度「桜とはどのような花なのか」を考えてみましょう。
桜は、バラ科サクラ亜科サクラ属に分類される落葉性の樹木です。
主に北半球に分布していますが、美しい花を咲かせる種類は日本をはじめとするアジアに集中しています。
日本の春には欠かせない、桜の基礎知識をご紹介します。
日本に自生している桜の種類は100種類以上、園芸品種は200種類以上あるといわれています。
しかしこれらの元となる野生種の桜は、11種類のみです。
東北南部から九州まで広く自生しています。
花は直径3cmほどで、基本は白色。
ただし変異種が多いため、薄ピンクのものも見られます。
花が咲くときは、2~5輪がまとまって咲くのが特徴です。
本州中部以北に自生しています。
花は直径3~4.5cmほどで、全体的にヤマザクラよりも大ぶり。
花弁は淡紅色で花の色が濃く、群生すると華やかです。
北海道、本州、四国に自生しているヤマザクラの一種です。
花期が遅いことで知られており、花は白色でやや小ぶり。
若葉は緑色もしくは淡い茶色をしています。
花柄や葉柄に、薄く毛が生えているのが特徴です。
伊豆諸島と伊豆半島南部に自生しています。
一重咲きの大きな花が特徴で、花弁の色は白や薄ピンクがほとんど。
樹高は高く、20mを超えるものも少なくありません。
東北から九州まで自生しています。
花弁は5枚で、白や薄ピンクのものがほとんど。
萼(がく)筒はつぼ型をしており、葉や枝に毛が多いのが特徴です。
老大木の中には、天然記念物に指定されているものもあります。
※画像はオクチョウジザクラ
東北地方の太平洋側の低山地、関東地方、中部地方に多く自生しています。「丁字」と言う名前は、花の形状に由来します。
チョウジザクラは「萼(がく)筒」が太く長く、花は下向きに咲きます。
その様子が「丁」の字のように見えることから、丁字と呼ばれるようになりました。
また、チョウジザクラは満開でもまばらに咲いているような見た目です。
富士・伊豆・房総を中心とする地方に自生しています。
樹高は3〜8mと低く、白や薄ピンク色のかわいい花がたくさん咲きます。
花が下向きに咲くのが特徴です。
北海道、本州中部以北の亜高山帯に自生する桜で、別名高嶺桜(タカネザクラ)とも呼ばれます。
日本の桜の中では、最も標高が高い場所に咲きます。
淡紅白色の花が1~3個ずつまとまって咲くのが特徴で、先のへこんだ花弁が5枚付いています。
北海道から九州まで自生しています。
文字通り山の奥深い場所で育つ高木で、高さは6~7mになります。
緑の葉はギザギザしており、長さ4~7cmほど。花弁は白色の5弁花で、長さは6~8mmです。
一般的な桜とは大きく異なる様子から、コブシに間違われることもあります。
三重県、奈良県、和歌山県の山間部に自生しています。
2018年、約100年ぶりに発見された新種の桜です。
花弁は白~淡紅色・葉が細長い・1つの花芽につき2個の花が付くなどの特徴があります。
ヤマザクラと見分けるのは困難ですが、「枝から花に繋がる花序柄がかなり短い」というのが大きな違いです。
石垣島や久米島に自生しています。
もともとは中国南部・台湾の桜で、日本に渡ってきたものが野生化したのだそうです。
紅紫色の5枚花弁で、2~3輪ずつ下向きに咲きます。
樹高は4mほどですが、台湾に咲くものは20mを超えるものも少なくありません。
山口県萩市堀内「萩城跡指月公園」にある、ソメイヨシノの突然変異です。
「ガクが緑色」「花弁が白」という特徴があり、ソメイヨシノとはまた違った赴きを楽しめます。
ミドリヨシノはこの世に2本しかなく、萩市でしか見られません!
お近くの方は、ぜひ足を運んでみてください。
現在日本で最も多く見られる桜は、江戸時代末期に品種改良によって生み出された「ソメイヨシノ」。
オオシマザクラとエドヒガンの掛け合わせです。江戸染井村(東京都豊島区)の植木師によって生み出されたため、「ソメイヨシノ」と呼ばれるようになったといわれています。
ソメイヨシノの特徴は、全ての木が同じ遺伝子を持つクローンであること。
栽培は接ぎ木で行われるため、他の遺伝子と交わることがありません。
栽培地が北海道であっても九州であっても、ソメイヨシノの遺伝子は均一です。
ソメイヨシノは、一斉に咲いて一斉に散りますよね。
これは、全てのソメイヨシノが同じ遺伝子を持つことに由来します。
気象条件が同じなら、満開のタイミングも散り際も同じになるのです。
遺伝子が同じということは、個体差がないということ。
深刻な病害虫などが発生した場合、一帯のソメイヨシノは全滅するリスクがあります。
公益財団法人・日本花の会は、2009年よりソメイヨシノの苗木販売を中止しました。
現在はソメイヨシノに代わる品種として、病害虫に強い「神代曙(ジンダイアケボノ)」が積極的に配布されています。
先ほどソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種とお伝えしました。
しかし、実はエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種であるソメイヨシノの中には他にもいくつかの種類があり、その中の1つが「染井吉野」であり、一般的に知られている桜なのです。
そのため、厳密にはソメイヨシノというと染井吉野を含めたエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種に由来する全ての桜を指すことになるのです。
日本の貴族文化・儀式の多くは、中国からの影響を受けています。
花見の習慣も例外ではなく、奈良時代までは観賞用の花といえば梅や桃だったそうです。
桜は身近に存在していたものの、眺めて楽しむものではありませんでした。
平安時代(794年 – 1185年)になると、貴族の間で「身近な花を愛でよう」というムードが高まります。
桜の花を儀式や行事に使ったり、桜の花をテーマにした歌を詠んだりすることが一般的となりました。
観賞用の桜が栽培されたり、野生種ではない栽培品種が登場したりしたのもこの頃です。
庶民の間に花見という習慣が広まったのは、江戸時代になってから。
とはいえ当初は、寺社の境内で桜を眺める程度にとどまっていました。
現在のように「桜の下にお弁当を広げて楽しむ」という習慣が生まれたのは、8代将軍・徳川吉宗の頃です。
吉宗は、飛鳥山や隅田川堤、小金井堤にたくさんの桜を植えて庶民の花見を推奨しました。
こうしてお花見の規模は拡大し、桜の花見は江戸の庶民が待ち望む春の一大イベントとなったといわれています。
関東風の桜餅「長命寺」が生まれたのも、江戸に花見のイベントが普及してからです。
隅田川の長命寺で御用を務めていた「山本新六」という人が、餡を包んだ餅を桜の葉で巻いて販売しました。
これが花見客に好評を得て「長命寺桜餅」と呼ばれるようになったそうです。
平安時代初期に編纂された古今和歌集には、桜を詠んだ歌が約70種掲載されています。
その中から、特に有名な2つをご紹介します。
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
在原業平
世の中に全く桜がなかったら、春をのどかな気分で過ごせるだろうに……という意味の歌です。
桜が咲いたときは美しいですが、「いつ散ってしまうんだろう」と不安にもなりますよね。
この歌は、そんな落ち着かない気持ちを読んだ歌です。
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらん
紀友則
こんなにも日の光がのどかに差し込んでいる春の日なのに、なぜさくらの花は慌てて散っているのだろうか……という意味の歌です。
古今和歌集の桜の歌は、桜が散る様子を惜しむものが少なくありません。
この歌も、散っていく桜に焦点が当てられています。
春の花として日常に深く浸透している桜ですが、「毒がある」「実が付きにくい」などの事実はご存じでしょうか?
桜にまつわるトリビアをご紹介します。
桜に限らず、バラ科サクラ属の植物の実や葉には「アミグダリン」という青酸配糖体の一種が含まれています。
体内で分解されると、非常に強い毒性を持つ「シアン化酵素」を発するのだそうです。
桜の実を過剰摂取した場合の症状は、頭痛・嘔吐・めまいなど。
症状が重篤な場合、死に至る可能性もあるそうですよ。
ソメイヨシノはたくさん目にしますが、実を見たことのある人は少ないのではないでしょうか?
これは、桜に「自家不和合性」という性質があるためです。
自家不和合性とは、同じ種の花粉を受粉できない性質のこと。
桜が実を付けるには、異なる品種の桜がそばに存在しないと不可能です。
ソメイヨシノしかないエリアでは受粉そのものが難しいため、実ができないというわけですね。
前項で「桜の実は危険」とお伝えしましたが、実際に実がなっているシーンに出くわすことは非常にまれです。
街や公園で見かける桜にサクランボがなっているのを見かけることがないので、サクランボって本当に桜の実なの? と思う方も多いのではないでしょうか?
サクランボは実際に桜の実なのです。
そして、サクランボが実る桜は、いずれも海外原産です。
観賞用の桜とは異なりますが、「自家不和合性」である点は共通しています。
すなわちサクランボを栽培しようと思ったら、遺伝子の異なるサクランボを混ぜて植えなければならないということです。
サクランボによって相性の良し悪し・開花時期は異なるため、組み合わせを決めるのはかなり難しいそうですよ。
一人前の成木となるのに10年はかかるともいわれています。
家庭で栽培するなら、比較的育てやすいといわれるアメリカンチェリーがおすすめです。
春になると「桜の香り」を付けた商品がさまざま発売されますよね。
一般に「桜の香り」として認識されているのは、「クマリン」という成分です。
とはいえ桜の木の下に足を運んでも、桜の香りを感じることはありません。
「桜の香り」といわれるものについて、「桜というより桜餅では……」と感じる方も多いのではないでしょうか?
「桜の香り=桜餅の香り」というのは、ある意味正解です。
クマリンは、桜の葉を塩漬けにしたり乾燥させたりしないと生成されません。
桜餅に付いている桜の葉が、すなわちクマリンの香りなのです。
クマリンには抗酸化作用や抗菌効果・リラックス効果があるといわれています。
桜の季節には、桜を眺めながらのんびりと桜餅を頬張ってみてはいかがでしょうか。
日本各地には、素晴らしい桜がたくさん存在します。
ここからは、日本三大桜・日本五大桜をご紹介します。
まずは、日本三大桜に数えられる桜を見ていきましょう。
山高神代桜(やまたかじんだいざくら)は山梨県北杜市武川町山高の実相寺にある桜です。
エドヒガンの老木で、推定樹齢は2,000年といわれています。
樹高10.3m、幹回11.8mあり、大正時代に国の天然記念物に指定されました。
根尾谷薄墨桜(ねおだにうすずみざくら)は岐阜県本巣市の根尾谷・淡墨公園にある桜です。
「継体天皇お手植えの桜」といわれており、樹齢は1500年以上。
樹高17.3m、幹回9.4mの大木で、国の天然記念物に指定されています。
三春滝桜(みはるたきざくら)は福島県田村郡三春町にある、エドヒガン系のシダレザクラです。
樹高13.5m、枝張り(南側)4.5mで、流れ落ちるように花が付きます。
1922年、桜の木として初めて国の天然記念物に指定されました。
日本三大桜に二種類の桜をプラスしたものが日本五大桜です。
石戸蒲桜(いしとかばざくら)は埼玉県北本市石戸宿の東光寺にある、樹齢約800年の桜です。
植物学上では「カバザクラ」ですが、エドヒガンザクラとヤマザクラの自然雑種だといわれています。
三春滝桜と時を同じくして、1922年に国の天然記念物に指定されました。
狩宿の下馬桜(かりやどのげばざくら)は静岡県富士宮市にある、樹齢約800年以上のヤマザクラです。
源頼朝が馬をつないだという言い伝えがあり、「駒止の桜」とも呼ばれます。
1952年に国の天然記念物に指定されました。