「子どもの食事は、大人と比べて単純に食べる量が少ないだけではなく、成長するための栄養を意識する必要がある」なんて聞くとちょっとプレッシャーを感じてしまいますが、そんな成長期に有効な食材があります。それは、日本人に馴染み深いお米。そこで今回、前半は子どもの栄養を支えるお米のポテンシャルについて、後半は意外と万能!? お米のおどろきの使い方など、掘り下げて紹介します。
まずは子どもに必要な栄養素などをチェック
大人よりたんぱく質・カルシウム・鉄が多く必要!
年齢や性別によっても多少の差はありますが、日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、子どものたんぱく質・カルシウム・鉄の推奨量は体重当たりで大人の1.5~2倍以上となっています。
大人より体重当たりのエネルギー必要量が大きい!
子どもの基礎代謝基準値(kcal/kg 体重/日)は、大人に比べると2~3倍程度高くなっているため(年齢・性別により異なります)、エネルギーの必要量も大きくなります。
大人よりこまめな水分補給が必要!
成長期は、年齢が低いほど大人に比べて呼吸や皮膚から蒸発する水分量も多く、脱水状態になりやすいため、こまめな水分摂取が必要です。
子どもの食事に“お米”がぴったりな理由
主食としてふさわしい
炭水化物の中でも“お米=ごはん”は、エネルギー源として即効性があり、消化吸収に負担がかかりにくいため、主食としておすすめです。一方、パンやパスタなどの小麦製品は、製造や調理過程で脂質や食塩を添加することが多いため、控えたい塩分や飽和脂肪酸を知らず知らずのうちに摂取することになり、毎食の主食にした場合、過剰摂取につながる恐れがあります。
また、お米が優れている点の1つは、調理方法が多様なことです。毎日のごはんとしてはもちろん、離乳食や体調を崩したときにはお粥に、そのほか雑炊やおにぎり、チャーハンなど、旬の食材と合わせて調理することも簡単です。
たんぱく質を効率よく利用できる
体をつくるたんぱく質は、成長期はとくに欠かせない栄養素ですが、炭水化物や脂質といったエネルギー源が不足していると、たんぱく源ではなくエネルギー源として利用されてしまう、という側面があります。
たんぱく質は炭水化物に比べて消化吸収に時間がかかるため、せっかく摂取したたんぱく質をエネルギー源として使われてしまうと効率も悪いうえ、腎臓などの内臓にも負担がかかってしまいます。また、一度に消化吸収できるたんぱく質の量は決まっていて、1食にたくさん食べても、吸収されずに排泄されてしまうのです。肉などのたんぱく源だけを多く食べるよりも、炭水化物や脂質もバランスよく含むごはんもしっかり食べることによって、たんぱく質を効率よく利用することができます。
さらにあまり知られてないかもしれませんが、ごはんには「茶碗1杯(150g)=卵1/2個分のたんぱく質」が含まれています。炭水化物だけではなく、たんぱく質もプラスできるんです!
運動を行う際のエネルギー源になるグリコーゲンも、お米などからつくられる糖で、筋肉を動かす際に重要な働きをします。ごはんからグリコーゲンとなって筋肉に届くまではだいたい1〜2時間かかるため、力を発揮したいときはその1〜2時間前に食べるといいでしょう。朝食やスポーツの習い事の前のおやつに、ごはんやおにぎりはぴったりなんですね。
食物繊維や水分の摂取を補える
子どもは胃腸の働きが発達途中なことから、便秘などの不調が起こりやすいです。食物繊維といえば野菜のイメージが大きいですが、お米も食物繊維を含む食材です。食べるときには自然と咀嚼回数が増え、唾液をたくさん出すことになり、虫歯や口臭を起きにくくさせます。さらには“ごっくん”と飲み込む力を養うこともできるため、食べ方の発達を促すと考えられます。また、ごはんの約60%は水分なので、こまめに補給したい水分もごはんから摂取できるんです。
朝食にお米を食べると頭が良くなり、運動能力が高まる!?
ごはんはパンよりも摂れる栄養素の種類が豊富であることがわかっています。さらに、お米を主食にすると、おかずにしやすいのは魚や卵、豆腐や味噌汁などで、それぞれDHA・EPA、レシチンなど、ブレインフードと呼ばれる脳にとって良い脂質がたっぷり含まれています。
一方パンが主食の場合はマーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸や飽和脂肪酸など、摂りすぎを避けたい脂質が並んでしまいます。主食を何にするかで、摂れる栄養素に差が出やすいといえます。脳がどんどん成長していく子どもにとって、朝食に米とパン、どちらを選ぶかによって影響は大きいはず。
文部科学省やスポーツ庁の調査によると、毎日朝食を食べる子ほど、学力調査の平均正答率が高く、体力や運動能力が高いということがわかっています。朝食をきちんと、しかもお米で摂ることが成績アップへの近道といえそうです。
掃除から美容まで!? お米の意外な活用術
おばあちゃんの知恵袋的な豆知識もご紹介。お米は家事や掃除などのほか、料理や美容にも有効活用ができるんです。筆者もリアルに助けられた驚きの洗濯方法などをご紹介します。
服についた墨汁はごはん粒で落とすべし!
服についた墨汁ってホント落ちないんですよね。子どもが学校や書道教室でつけてくると、がっかりしてしまいます。オキシ漬けやウタマロ石鹸などいろいろと試した結果、最も成果をあげられたのは、なんとレトロな“ごはん粒”を使う方法でした!
step1
ごはん、洗濯用液体洗剤を用意し、カップに入れてスプーンで潰しながらよくかき混ぜます。
step2
墨汁のシミ部分を少し湿らせ、step1のごはん粒洗剤をこすりつけます。こすり続けるとごはん粒が黒くなるので、洗い流す→再度塗布してこする、の繰り返し。6~7回水を変え、黒色が出なくなるまで繰り返します。
15分くらい繰り返すと……おおっ、けっこう落ちています! この洗濯方法は、繊維の奥に入り込んだ細かい墨の粒子をごはん粒に吸着させ、しごき出すという仕組み。ポイントは、ごはん粒の色が白いままになるまで続けること。
お気に入りのスタジャンのシミは、よ~く見ないとわからない程度に落ちました! ほかにも厄介なボールペン汚れもこの落とし方でイケるらしいです!
お米のとぎ汁は掃除や美容に再利用すべし!
お米のとぎ汁には界面活性剤の役割をするタンパク質も含まれているため、これを利用することで洗剤や水を大量に使わなくて済み、節水やエコにつながります。また、セラミドやビタミンなどの美容成分が含まれていて、節約しながら美肌を目指せるかも!?
食器洗いに
お米のとぎ汁で食器をつけおき洗いすれば、油汚れもよく落ちます。水道水ですすぎ、残りの汚れが気になるときは少量の洗剤で洗い流せばOK。お弁当箱やタッパーなどにニオイがついてしまった場合も、とぎ汁に一晩つけおきすれば気にならなくなります。
床掃除に
とぎ汁に含まれる脂質が汚れを落としやすくしてくれるだけでなく、ワックス効果もあるため、フローリングはツヤツヤになります。ただし、拭き残しで水分が残ったままになったりしていると設備を傷めてしまうこともあるので、薄めてから雑巾に浸し、固く絞って使いましょう。
ガーデニングに
栄養分がたっぷり含まれたお米のとぎ汁は、観葉植物や植木の水やりなどにも使えます。ただし、栄養過多による根腐れに注意してくださいね。
料理の下ごしらえに
たけのこ、ごぼうなどをお米のとぎ汁で下ゆでするとアク抜きができます。お米のとぎ汁に含まれるカルシウムなどの成分が野菜のえぐみと結合し、アクを中和してくれる働きがあるため、お湯でゆでるより断然美味しく仕上がります。
洗顔や洗髪に
お米のとぎ汁には、ビタミンやミネラルのほか、セラミドや乳酸菌、天然の保湿成分など美容に役立つ成分がたくさん含まれています。江戸時代の頃から、洗顔や化粧水としてとぎ汁が使われていたという歴史もあり! 洗顔の場合は洗面器にとぎ汁を入れ、お湯で1.5倍程度に薄め→顔をこすらずにパシャパシャと5~10回なじませ→最後にぬるま湯ですすげばOK。入浴剤として使えば、保湿&冷え性の予防にもなるとか。
気をつけたいPOINT
- 1回目のとぎ汁はお米に付着したホコリなどの汚れが混ざっているため、2回目以降のとぎ汁を使う
- お米のとぎ汁は長時間置かずにすぐ使う
まとめ
また、小学生あるあるの墨汁汚れは、“ごはん粒”を使えば目からウロコの落ち具合で感動します。ぜひ試してみてくださいね。
文/Ai Kano