夏が近づくと、日差しが強くなり、気温も高くなっていきます。同時に、汗をかきやすく水分やミネラルが失われやすくなってしまいます。
そんな夏こそ、体調を維持するために必要な栄養素を積極的に摂取することが大切です。
今回は、夏バテの概要や予防するのに役立つ栄養素について、それぞれの役割や効果的な摂取方法を紹介します!
夏が近づくと、日差しが強くなり、気温も高くなっていきます。同時に、汗をかきやすく水分やミネラルが失われやすくなってしまいます。
そんな夏こそ、体調を維持するために必要な栄養素を積極的に摂取することが大切です。
今回は、夏バテの概要や予防するのに役立つ栄養素について、それぞれの役割や効果的な摂取方法を紹介します!
医学的に「夏バテ」という用語はありませんが、一般的には夏の暑さからくる体調不良の総称で、主に食欲不振や疲れやすさ、寝不足などの症状を指します。
夏バテにはさまざまな要因があるといわれています。
私たちの体は体温を一定に保つために、暑いときは汗をかいて熱を下げようとします。発汗によって必要なミネラルやビタミンが排出されたり、食欲不振により栄養が不足したりすることで疲れやすくなります。
また、紫外線によって体内の活性酸素が増加し、細胞がダメージを受けることで体が耐えられなくなることも夏バテの原因といわれています。
参考
夏バテを予防するには規則正しい生活習慣、睡眠に加え、栄養バランスのとれた食事を摂ることが大切です。
ここでは食事の面から、夏バテ予防に大切な栄養素をご紹介します。
成人の体内の約60%を占める水分。水分は厳密にいうと栄養素ではありませんが、非常に大切な成分のためご紹介します。
夏は汗をかきやすく、水分不足になりやすい季節です。
喉が渇いてから水を飲む方も多くいるのでは? 実はそのときにはもう脱水が始まっているのです。
気温の高い夏は、熱くなった体温を下げるために汗をかく量が増えます。そのため、適切な水分補給を行わないと脱水症状や熱中症のリスクを高めてしまう危険性があります。
また、体内の水分が不足することで脳や内臓への血流も悪くなり、疲労感や集中力低下といった症状も引き起こします。
成人の場合、呼吸や汗・排泄などから1日あたり約2.5Lもの水分が失われていきます。
安静にしている時でもこのくらいの水分を失うため、運動などで汗をかく量が増えたときは、さらに多くの水分を補給する必要があります。
2.5Lを飲み水で補給するのではなく、ここから体の中で代謝されて作られる水と食事から摂れる水分を引くと、約1.2L分を飲み水で摂取する必要があります。
喉が渇く前にこまめに水分補給をすることが大切なポイントとなります。
体を動かした後や入浴前後など、汗をたくさんかくときはもちろんですが、1時間ごとに飲む・手元にペットボトルを置いてこまめに飲むなど、自分のやりやすい方法やタイミングを決めて喉が渇く前に意識的に飲むよう心がけましょう。
糖分や利尿作用のあるカフェインが入っていない、水や麦茶などを飲むのがおすすめです。
参考
・夏バテを予防しよう!症状と原因、おすすめの対策を解説 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ – 日本トリム
・一日に水はどれくらい飲めばいい?摂取量の目安とおすすめの摂取タイミング – 健康情報コラム|サントリーウエルネス
汗の中には、ナトリウムやカリウムといったミネラルが含まれています。
汗をかいた後は水分補給だけでなく、これらのミネラルを補給することが大切です。
ナトリウムはそのほとんどが体液(細胞外液)に含まれていて、体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しています。
また、水分を保持しながら、細胞外液量や血液の量を調節し、血圧を適切に保つはたらきがあります。
ナトリウムは、塩分として摂取するのが一般的です。
日本の成人1人あたり1日の食塩摂取量は、男性約11g・女性約9gで、世界的にも高めの水準です。
通常健康な人が不足することはありませんが、一度に大量の水を飲んだ場合や、過度に運動をして大量に汗をかいたときなどにナトリウム不足が起こる場合があります。
ナトリウムが不足すると食欲不振、体のつかれ、血液の濃縮が起こります。
高血圧で塩分を控える必要のある方が大量に汗をかいた場合は、過剰な塩分制限をするとかえって体調不良を起こす可能性もあるため、かかりつけ医に相談しましょう。
カリウムは体にとって必要不可欠なミネラルのうちのひとつです。
体内で浸透圧の調整をしたり、余分なナトリウムを排出したりするので、塩分の摂りすぎを調節する大切なはたらきがあります。
不足するとだるさを感じたり、精神障害や不整脈が起こりやすくなったります。
大量に摂取した場合も、通常は体内の調節機能のはたらきにより、カリウムが過剰になることはほとんどありません。
しかし、腎臓の機能が低下している方はカリウムの摂取には注意が必要で、医師から制限されることがあります。
カリウムはバナナやアボカド、メロン、ほうれん草といった果物や野菜に多く含まれています。
水溶性のため、茹でると栄養素が溶け出してしまうので、カットしてそのまま食べたり、スープにして食べたりするとよいでしょう。
参考
・体内でのナトリウムの役割の概要 – MSDマニュアル家庭版
・ナトリウムだけでなくカリウムも、マグネシウムも!夏のミネラル補給|役立つ読み物|HEALTH CREATIONS | ヘルスクリエーションズ
チアミンとも呼ばれるビタミンB1は、糖質を代謝するためにとても大切なビタミンです。
最近体の疲れが抜けないという方は、ぜひ意識して摂取しましょう。
ビタミンB1は、エネルギー代謝に関わる栄養素です。糖質を燃焼させてエネルギーへ変換させるために必要な、水溶性のビタミンです。
夏は暑さによるストレスでエネルギーを消耗しやすいため、ビタミンB群であるビタミンB1を積極的に摂取することが重要となります。
アルコールを飲む方や運動によるエネルギー消費が多い方は、ビタミンB1の消費がはげしくなるため、必要とする量が多くなります。
エネルギーを産生するのに必要不可欠なため、不足すると疲れやすさやむくみ、手足の痺れや心肥大が起こることがあります。
暑さによる食欲不振や、食事が面倒などとインスタント食品中心の偏った食生活が続くと、糖質の分解にたくさんのビタミンB1が使用され不足しやすくなるので、くれぐれも注意が必要です。
ビタミンB1を多く含む食品は、豚肉、赤身肉、ナッツ類、ほうれん草などがあります。
とくに全粒粉や玄米、胚芽米など、精製されていない穀類にも多く含まれるため、白米を玄米に変えることで負担なく摂取することができます。
また、ビタミンB1は「アリシン」と一緒に摂ると吸収率が高くなるといわれています。
アリシンはにんにくや玉ねぎに含まれる成分で、玉ねぎと炒める「生姜焼き」や、にんにくと焼く「トンテキ」などは、美味しいだけではなく栄養学的にもとても良い組み合わせなのです。
参考
ビタミンCといえばレモンを思い浮かべるかもしれませんが、実はオレンジ果汁から発見されたビタミンなのです。
人はビタミンCを体の中で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンCはアスコルビン酸ともいわれ、抗酸化作用を持つ水溶性のビタミンです。
抗酸化作用は、体内の活性酸素を取り去り、細胞のダメージを防ぐ効果があります。活性酸素は紫外線やストレスによって体内に発生し、それが蓄積すると疲労となってあらわれるため、ビタミンCの摂取が重要となります。
また、夏は紫外線量が多いため、ビタミンCを積極的に摂取することで、メラニン色素の生成を防ぎ日焼け対策にも効果が期待できます。
ビタミンCはコラーゲンの生成にも必要不可欠です。
不足するとコラーゲンが生成されないため、血管がもろくなる・イライラする・皮下出血や貧血を起こしやすくなる、などの悪影響が生じることがあります。
ストレスが多い方や喫煙されている方はビタミンCの必要量が多くなるので、積極的に摂りたいビタミンです。
ビタミンCは赤パプリカやピーマン、ブロッコリー、キウイ(特に黄色のキウイ)やいも類に多く含まれます。
バランスの良い食事を心がけていれば、不足の心配はほとんどないようです。
レモンにもビタミンCは入っていますが、実は思っているより多くはなく、可食部100gあたりにパプリカやキウイの1/3程度しか入っていません。
ビタミンCは熱に弱く高熱下では分解されてしまいますが、いも類のビタミンCはでんぷんに守られているため熱に強く、調理後もほとんど分解されずに残るといわれています。
水溶性のため、電子レンジ調理やスープでまるごといただくのがおすすめです。
参考
たんぱく質は体の中で、さまざまな重要な機能を持つ栄養素です。
しかし、夏は暑さによる食欲不振によって不足しやすくなるため、意識して摂取するようにしましょう。
たんぱく質は、一度分解されてアミノ酸となってから吸収されます。
その後筋肉や皮膚、髪、そして一つ一つの細胞などの大部分の組織から体内のホルモン、抗体など、体にとって必要不可欠なものとして再合成されます。つまり、体を構成する根幹となる非常に重要な栄養素なのです。
たんぱく質不足になると、筋肉量が減少したり、造血が滞ってしまったり、免疫力が低下したりといった症状を引き起こします。
エネルギーを作り出す筋肉や、エネルギーを運ぶはたらきのある血液が減少することによって体に十分なエネルギーが行き渡らず、より夏バテを助長してしまうことにつながります。
たんぱく質は、肉・魚・大豆製品・卵などに多く含まれています。
食欲のない日はさっぱりとしたそうめんやそばなどの麺類単品になりがちですが、肉うどんやきつねうどんにするなどの工夫で、手軽にたんぱく質を摂ることができますよ。ゆで卵や冷奴を追加するのもおすすめです。
参考