感染者が止まらない!マイコプラズマ肺炎の感染が過去最多を更新|秋・冬に気を付けたい感染症と対策を紹介

公開日:2024/12/03

感染者が止まらない!マイコプラズマ肺炎の感染が過去最多を更新|秋・冬に気を付けたい感染症と対策を紹介

低温・低湿度になる秋・冬は、ウイルスの活動が活発になります。

日常生活では「感染症にかからないこと」を常に意識することが大切です。

 

この記事では、秋・冬に流行が懸念される主な感染症や感染経路についてまとめました。

ご家庭でできる感染症対策と併せて、チェックしてみてくださいね。

秋・冬に流行が懸念される感染症

秋・冬はウイルスが長生きする上、寒さによる体温低下で人間の免疫力も弱くなります。

大人も子どもも感染症に罹患しやすい傾向があるため、感染症対策が必須です。

 

ここからは、2024年の秋・冬に流行が懸念される感染症についてご紹介します。

インフルエンザ

  • 流行時期:11月下旬から3月頃
  • 潜伏期間:1~3日
  • 症状:38度以上の突然の高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、鼻水、のどの痛み、咳などの呼吸器症状、倦怠感など

 

秋・冬の感染症の代表といえば、インフルエンザ。

2023~24のシーズンは流行が長期化し、感染者は前年の約4.2倍にも上ったといわれています。

2024~25シーズンの予測は難しいですが、「海外旅行者の増加」「マスク着用者の減少」などから、平年よりも感染者が増えるのではと見られています。

 

インフルエンザとは、インフルエンザウイルス(A型、B型、C型)によって引き起こされる感染症です。

初期症状は風邪に似ていますが、罹患すると重症化しやすいのが大きな特徴。

特に乳幼児や高齢者、基礎疾患のある人は予防に向けた対策が必須です。

 

参考:2024-2025シーズン インフルエンザ流行リスクを知って備えよう | 企業の予防接種ナビ

参考:インフルエンザとは|国立感染症研究所

マイコプラズマ肺炎

  • 流行時期:通年だが、秋・冬に増える
  • 潜伏期間:2~3週間
  • 症状:倦怠感、頭痛、咳など

 

マイコプラズマ肺炎とは、マイコプラズマ・ニューモニエというウイルスによる呼吸器感染症です。

幼児期から青年期に発症するケースが多く、特に小学生以上の児童に多いといわれています。

患者の約80%は14歳以下ですが、成人でも罹患するケースはあるようです。

 

マイコプラズマ肺炎の症状は、倦怠感(だるさ)、頭痛、咳など。

初期は風邪のように見えますが、熱が下がっても咳が3~4週間続くのが特徴です。

多くの場合は気管支炎程度で治まりますが、まれに重症化して肺炎になることもあります。

 

マイコプラズマ肺炎は新型コロナウイルス感染症の流行により発生数が激減していました。

しかし、2024年は発生数が増加しており、過去10年で最多だった2016年を超える患者数が報告され、流行が懸念されています。

 

とはいえ、新型コロナウイルス感染症拡大によりマスクをつけたり、手洗いうがいなどを徹底していたりした年は感染者数が抑えられていたため、しっかり予防をすることで感染拡大を防げる可能性が高いという見解が出ています。

 

参考:マイコプラズマ肺炎|厚生労働省

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

  • 流行時期:春から初夏にかけて、冬
  • 潜伏期間:2~5日
  • 症状:38℃以上の発熱、咽頭発赤、イチゴ状の舌、おう吐など

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、A群レンサ球菌による上気道の感染症です。

学童期の子どもの罹患率が高く、3歳以下や成人にはあまり症状が見られません。

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の症状は、発熱やのどの痛み、全身の倦怠感、舌に赤いブツブツができる「イチゴ舌」などです。

菌への免疫力がない人が罹患すると、重症化して「猩紅熱(しょうこうねつ)」を引き起こすこともあります。

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も、1999年に感染症発生動向調査を開始して以降最も多い発症数が報告されました。(2024年6月時点)

 

感染リスクが高くなっていることから、注意が必要な感染症です。

 

参考:A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 | 山形県

参考:国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について (2024年6月時点)

感染性胃腸炎

  • 流行時期: 秋から冬にかけて
  • 潜伏期間:1~2日(ノロウイルス)、2~4日(ロタウイルス)
  • 症状:下痢、おう吐、吐き気、腹痛、発熱

 

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌などの病原体によって引き起こされる消化器系の感染症です。

ロタウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなどのウイルス由来のもののほか、細菌から発症するケースがあります。

 

感染性胃腸炎の症状はウイルスによって異なりますが、下痢、おう吐、吐き気、腹痛、発熱などが一般的です。

例年11月頃から発症数が増え、1月頃にピークを迎えます。

 

参考:感染性胃腸炎にご注意!/大阪府(おおさかふ)ホームページ

参考:感染性胃腸炎の流行状況(東京都 2024-2025年シーズン) | 東京都感染症情報センター

麻疹(はしか)にも注意

  • 潜伏期間:約10日
  • 症状:発熱や咳、鼻水、39度以上の高熱、発疹

 

麻疹はワクチンで防げる感染症で、予防接種を受けていれば罹患の心配はありません。

しかし近年は小児ワクチンの接種率が低下しており、2024年時点でも発症者が複数報告されています。

 

麻疹は感染力が非常に強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症するので要注意。

最初は熱や鼻水のみですが、後に39度以上の熱と発疹が出現し、1,000人に1人の割合で脳炎を発症することもあります。

 

麻疹は空気感染するので、感染症対策を徹底しても防ぐのは非常に難しいのが実情です。

ワクチンの接種が必須であることから、子どもの予防接種歴はもちろん、保護者ご自身の予防接種歴についても確認しておくことが必須です。

 

参考:麻しんについて|厚生労働省

感染症の感染経路の種類

感染症の感染経路は、接触感染・飛沫感染・空気感染の3つです。

それぞれについて、詳しくご紹介します。

接触感染

接触感染とは、感染者の体液や、体液などが付着した物体に触れることで病原体を体内に取り込んでしまうことです。

感染の種類は、主に以下の2つがあります。

 

  • 直接接触感染:感染者の皮膚や粘膜に直接触れて感染する。握手や抱っこなど
  • 間接接触感染:病原体が付着した物体に触れ、その手で目や口、鼻などに触れて感染する

 

ウイルスは物体に付着してもしばらく生きているといわれています。

残存時間はウイルスによって異なりますが、大流行した新型コロナウイルス感染症はかなり残存時間が長いウイルスです。

 

例えば「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)」はプラスチックやステンレスの表面で72時間、ダンボールの表面では24時間の残存が確認されました。

またSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)はさらに長く、20度程度の室温では、プラスチックの表面に6~9日も残存していたそうです。

 

参考:2.感染症の基礎知識|茨城県

参考:新型コロナウイルス感染症に対する感染管理|国立国際医療研究センター 国際感染症センター

飛沫感染

感染した人の飛沫(咳やくしゃみ)から感染する感染経路です。

飛沫が飛ぶ距離は1~2m程度といわれています。

少し離れた場所にいたとしても、咳やくしゃみが聞こえた場合は要注意です。

空気感染

感染した人の飛沫に含まれたウイルスが空気中に乗って広まり、他の人がその空気を吸い込むことで感染する感染経路です。

 

とはいえ通常のウイルスは、空気中で長く生存することはできません。

空気感染するのは、麻しんや水痘・帯状疱疹ウイルスなど、感染力が非常に強いウイルスです。

家庭でできる感染症対策

感染症対策の基本は、「感染経路を遮断すること」「感染源を取り除くこと」「免疫力を高めること」です。

インフルエンザや感染性胃腸炎などを持ち込まないようにするために、ご家庭でできることをご紹介します。

手洗いとうがいの徹底

手にウイルスや細菌が付着していても、手洗いを徹底すれば洗い流してしまえます。

小まめに手洗いすることで、感染リスクを抑制することが可能です。

帰宅時やご飯を食べる前・トイレの後などは必ず手を洗いましょう。

 

重要なのは、手の甲や指の間、爪の先までしっかりと洗うこと。

子どもはぱぱっと手を洗いがちなので、保護者がしっかりとチェックしてください。

きちんと手洗いしようと思ったら、15~30秒程度はかかるはずです。

 

またうがいをすれば、口腔内の細菌やウイルスが体内に入るのを防げます。

特に風邪やインフルエンザウイルスが流行する秋・冬は、うがいを習慣化することが重要!

帰宅したら、必ずうがいすることを徹底しましょう。

 

なお正しい手の洗い方は、以下からチェックしてみてください。

正しい手洗い(手指衛生)の方法 | 国立成育医療研究センター

適切な除菌

ウイルスが付着した恐れのあるものは、なるべく早急に除菌しましょう。

バッグやスマホは、帰宅するたびに除菌シートなどで拭くのがおすすめです。

 

またウイルスは、衣類にも付着しているかもしれません。

帰宅後は速やかに着替え、外で着ていた服は家の中で着用しないようにしましょう。

外で使用していた使い捨てマスクは、帰宅したらすぐに捨ててください。

規則正しい生活・バランスのよい食事・睡眠

ウイルスが体内に侵入しても、免疫力が十分であれば、ウイルスの増殖を抑えたり早い段階で排除したりできます。

感染症の流行が懸念される季節は、免疫力を高める暮らしを心がけましょう。

 

免疫力を高めるために重要なのは、規則正しい生活を心がけ、栄養バランスのよい食事を摂ること。

また毎日十分な睡眠時間を確保して、適度に運動することも必要です。

健康的なライフスタイルを維持することが、免疫力を高めることにつながります。

 

特に子どものうちは獲得免疫が未熟であるため、感染症にかかりやすい状態です。

免疫力アップを期待できるヨーグルトや納豆といった発酵食品を、積極的に取り入れてみてください。

 

また予防接種をきちんと受けると、重症化を防ぎやすくなります。

 

感染症の流行状況を知りたい方は、NHKのWEBサイトがおすすめ!

全国の感染者数推移や、都道府県ごとの感染者数が分かります。

約20種類の感染症 感染者数の推移・全国比較 最新ニュース – NHK

 

参考:子供の免疫力を高める方法6選!免疫機能の特徴を知って風邪に負けない体を育てよう|自然免疫応用技研(株)

まとめ

新型コロナウイルス感染症のニュースは減っていますが、感染症そのものがなくなったわけではありません。
手洗いやうがいは必ず行い、ウイルスを体に入れないようにすることが大切です。

これから年末・年始にかけて、楽しいイベントがたくさんあります。
家族みんなが健康で楽しい時間を過ごせるよう、普段から感染症対策を徹底しましょう。


文/カワサキカオリ

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