意外と知らない町内会の定義と役割|今知っておけば役立つ町内会のメリット・デメリット

公開日:2025/01/15

意外と知らない町内会の定義と役割|今知っておけば役立つ町内会のメリット・デメリット

年度が変わると、町内会の役員も刷新されます。

役員決めでバタバタする周囲を見て「町内会を辞めたい……」と感じる方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、町内会の概要や役割・加入義務についてまとめました。

町内会への加入を迷っている人・脱退を考えている人は、メリット・デメリットを踏まえた上で判断しましょう。

そもそも町内会とは?

何かとネガティブなイメージで語られる「町内会」。

そもそもどのような団体で、どのような趣旨を持つのでしょうか?

 

町内会の定義や役割・活動内容について詳しく見ていきましょう。

町内会の定義

法的な分類では、町内会は「認可地縁団体」です。

総務省の資料では、町内会について以下のように定義されています。

“町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体 (自治会、町内会、町会、部落会、区会、区など)”

引用:自治会・町内会等について|総務省

すなわち町内会は、同じ地域に暮らす住民同士が主体的に作った組織のこと。

団体として法人格を所有することで、「町内会」として土地や建物などを管理したり銀行口座を持ったりすることができるようになっています。

町内会の役割

町内会の役割は、地域の安全や生活環境の向上です。

地域による違いはありますが、町内会では以下のような活動が行われています。

 

  • 地域の安全確保:防犯パトロールや防災訓練の実施
  • 重要な情報の共有:行政からの情報・地域情報の共有
  • 地域イベントの開催:夏祭りや季節のイベントなどの開催
  • 環境美化運動:町内清掃など

 

町内会に加入することで住民同士が触れあう機会が増え、コミュニティのつながりが強固になります。

町内会の歴史

町内会の起源は、明治時代にさかのぼるといわれています。

明治になって市制・町村制が施行された際、地域の自治組織として「町会」が設立されました。

 

大正・昭和時代にかけて町内会はさらに広がり、地域自治の主体となります。

その後戦争が始まると、町内会は国家の政策を支えるための組織として重要な役割を果たしました。

 

終戦後に町内会は一時廃止されたものの、1952年に再び復活。

高度経済成長期には行政と地域住民を結ぶ基礎的な組織として、活動がさらに活発化しました。

 

しかし現代になり、人々の生活様式や価値観は大幅に変化。

町内会の重要性や必要性が疑問視されるようになり、都市部を中心に多くの町内会が消滅しています。

 

参考:自治会町内会の歴史|横浜市町内会連合会

町内会の加入義務

町内会は「任意団体」「任意組織」であり、住民の加入義務はありません。

「町内会に入ってください」と言われたとしても、断ることは可能です。

 

ただし町内会に参加しないことにより、さまざまな不利益を被る可能性はあります。

 

  • ゴミ捨て場を利用できない
  • 地域イベントに参加できない
  • 行政からのお知らせが共有されない
  • いざというとき困る(災害や犯罪など)

 

生活にダイレクトに影響するのは、ゴミ捨て場の利用を制限されるケース。

地域によっては、自治体が管理費を捻出してゴミ捨て場を運営していることがあります。

 

このような地域では、町内会に加入していない人・町内会費を支払わない人に対し「ゴミ捨て場の使用禁止」を通達することがあるようです。

 

実際のところ、ゴミ捨て場の使用禁止が裁判沙汰になったケースはさまざまあります。

ある判例では最高裁がゴミ捨て場の使用禁止を「違法」としましたが、ゴミ捨て場をめぐるトラブルは全国各地で発生しているようです。

 

参考:自治会非加入を理由に ゴミ捨て場の利用を禁止された裁判の概要|浜松市公式ホームページ

町内会に入らない人が増えている理由

総務省が行った調査によると、2020年における自治会等への加入率の平均は71.7%でした。

加入率は2010年の78%から連続して下降しており、町内会に入らない人は今後ますます増えていくと予想されています。

 

町内会に入らない人が増えているのは、なぜなのでしょうか?

 

参考:地域コミュニティに関する研究会報告書|総務省

入らなくても特に困らないため

スマホ一つであらゆる情報にアクセスできる現代、町内会からの情報に特別な価値を感じられなくなっています。

回覧板やお知らせをわずらわしく思う人は、「町内会に入るメリットがない」と感じるでしょう。

古い体制が合わないため

町内会は、基本的に規約に基づいて運営されています。

古い町内会だと、昭和に作られた規約をそのまま使っているところも少なくありません。

 

不要な会合が行われたり必要のない活動に時間を取られたりする場合、「時間のムダ」と感じてしまいます。

町内会費が負担になるため

町内会に加入すれば、町内会費を納める必要があります。

会費は地域によって異なりますが、「何に使われているか分からないのにお金を払いたくない」と感じる人もいるようです。

役員になりたくないため

町内会の役員は、年単位の持ち回りとなることがほとんど。

役員の選出方法はさまざまですが、「やりたくないのにやらされる」ことを負担に感じる人は少なくありません。

 

筆者も町内会そのものは賛成なのですが、役員の負担が大きすぎて辞めたくなることがあります。

町内活動に参加するのが面倒であるため

町内会に加入すると、全員参加型の行事や防犯パトロール・清掃・草刈りなどがあります。

「プライベートな時間を町内活動に奪われるのが嫌だ」という人も多いようです。

町内会には加入するべき?判断のポイント

町内会は地域の安全性や連帯を高める上で、重要な役割を果たしています。

デメリットはさまざまありますが、メリットも大きいのが実情です。

 

町内会に入るべきかどうか迷うとき、注目したいポイントをご紹介します。

定住する予定である

今後その地域に長く住む予定なら、地域コミュニティとは円満な関係を築いておいた方が安心です。町内会に加入することで知り合いが増え、暮らしやすくなる可能性があります。

 

「必要な情報はインターネットで収集できる」とはいえ、体験に基づくリアルな情報・ネガティブな情報は、人づてでないと入手できません。

 

特に子育て世帯の場合「あの幼稚園がいいよ」「あの塾がよかったよ」「あのお店は、子連れで行きやすいよ」などのリアルな情報は、非常に役に立つはず。

気軽に話せるご近所さんがいることで、情報の質も高まります。

災害が不安

災害が多い地域では、町内会が主体となって防災訓練などを実施しています。

町内会に加入しておくことで、万が一のときも地域で連携することが可能です。

 

過去の大きな災害では、行政の手が届かなかったり届くまでに時間がかかったりした地域が数多くありました。

このような地域では住民同士が結束し、困難な状況を乗り越えたといいます。

 

「もしも」のときに備えるなら、共助の精神で町内会に加入しておくことを検討しましょう。

防犯を徹底したい

多くの町内会では、防犯パトロールや防犯訓練を行っています。

積極的に参加することで、具体的な防犯対策を学ぶことができるでしょう。

 

また町内会に加入して住民同士のつながりを強化することは、「地域の目」を強化することにつながります。

不審者や知らない人への警戒心が高まることで、犯罪の抑制効果を期待できるはずです。

まとめ

町内会は古い時代から続く制度であるため、「時代にそぐわない」という声が多く聞かれます。
しかし住民同士が連携することは、コミュニティの暮らしやすさや安全性を高める上で有益です。
デメリットだけではなくメリットにも目を向けて、加入する・しないを決めましょう。

なお近年は、若い世代が町内会改革を進めている地域も増えてきました。
「町内会の古いしきたりが嫌」という場合は、新しい運営方法を提案してみるのも一つの方法です。


文/カワサキカオリ

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