湿度が高くなる梅雨時期から夏は、水虫を発症しやすい時期です。
水虫は、子どもから大人まであらゆる人に感染リスクがあります。
細菌を繁殖させないよう、足を清潔にして乾燥を保つことが大切です。
この記事では、水虫のリスクやちょっとしたトリビア、さらには水虫を発症させないために気を付けたい暮らしのポイントをご紹介します。
湿度が高くなる梅雨時期から夏は、水虫を発症しやすい時期です。
水虫は、子どもから大人まであらゆる人に感染リスクがあります。
細菌を繁殖させないよう、足を清潔にして乾燥を保つことが大切です。
この記事では、水虫のリスクやちょっとしたトリビア、さらには水虫を発症させないために気を付けたい暮らしのポイントをご紹介します。
水虫に罹患する日本人は多く、夏になると4人に1人が水虫を発症するといわれています。
日本では非常にありふれた病気ですが、「たいしたことはない」と軽く見ないことが大切です。
水虫の概要と、水虫を放置するリスクをご紹介します。
水虫とは、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が引き起こす皮膚病です。
白癬菌は、「ケラチン」という成分をエサに繁殖します。
水虫というと「足の裏の皮膚の表面に発症する」というイメージですが、ケラチンが豊富にある、爪や手、体、頭部も感染することがあります。
一方口内などの粘膜部分は、ケラチンがあまり多くありません。
口の中が水虫になるかも……などの心配はほぼ無用です。
白癬菌は、高温多湿な環境を好みます。
すなわち蒸れた靴の中は、白癬菌にとって最高の環境ということ。
水虫に罹患している人は、湿度が高くなる梅雨から夏にかけて症状が悪化しやすくなります。
足の水虫の種類は主に3つあり、それぞれ症状が異なります。
このほか足以外では、以下の水虫があります。
白癬菌は皮膚の表面に留まることが多く、深層部分に侵入することは極めてまれです。
ただし「絶対にない」というわけではなく、万が一侵入した場合は「深在性白癬(せんざいせいはくせん)」と呼ばれ、内臓にまで感染が及び、頭痛や発熱、意識障害を引き起こす可能性があります。
基本的に白癬菌は、皮膚表面の角質層に留まります。
内臓などにダメージが及ぶ心配はなく、水虫そのものが原因で死に至るなどの心配は不要です。
ただし水虫の症状が進行すると、皮膚がただれたり、ひび割れを発症したりすることが少なくありません。
足の亀裂やひび割れから細菌が侵入すると蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。
蜂窩織炎とは、皮膚の下の組織に細菌が感染し、炎症が起こる病気です。
重症化すると敗血症などの合併症を引き起こす可能性があり、早めに治療することが必要となります。
特に高齢者や糖尿病患者、免疫力が低下している人は、水虫が重篤な感染症に繋がるリスクが高めです。
「たかが水虫」と考えず、予防と治療を徹底しましょう。
水虫は古くからある身近な皮膚疾患です。
とはいえ興味を持って調べようとしない限り、水虫について詳しく知る機会はあまりありません。
ここからは、水虫にまつわるトリビアをご紹介します。
白癬菌による皮膚病は、江戸時代に「水虫」「田虫(タムシ)」などと呼ばれていました。
江戸時代、田んぼで仕事をする多くの農民が、田んぼの水に入った後に足のかゆみや発疹などを訴えました。
彼らはこの症状を田んぼに住む虫が原因だと考え、「水虫」「田虫」と呼んだそうです。
このほかには、水虫が悪化すると水ぶくれができるため、「水虫」と呼ぶようになったとする説もあります。
ただし当時の日本人はわらじを履いていたため、水虫の被害はさほど深刻ではありませんでした。
日本人の間に爆発的に水虫が広がったのは、靴を履く習慣が一般的となった、昭和に入ってからです。
水虫は非常に身近な皮膚病であったことから、さまざまな民間療法が考案されました。具体的には、以下のものがあります。
このほかアイルランドでは、「金貨や銀貨で患部をこする」「黒猫の血で患部をこする」なども行われていたそうです。
これらの民間療法に、医学的な根拠はありません。
中には皮膚の清潔を保つ上で有益なものもありますが、白癬菌を壊滅させるほどの効果は期待できないのが実情です。
「水虫=男性の方が発症しやすい」というイメージがありますが、近年は女性の水虫患者も増えています。
近年は女性の社会進出が進み、男性と同じように働く人が増えてきました。
1日中ストッキングを着用し、パンプスで過ごす……という人も珍しくありません。
足の中が蒸れた状態で長時間過ごせば、女性でも水虫になるリスクは高くなります。
またトレンドに敏感な女性の中には、冬にブーツを履く人も多いのではないでしょうか?
通気性の悪いブーツも、水虫のリスクを高める要因の一つです。
足白癬の人でも、かゆみを感じる人は10%程度だそうです。
かゆみがないからといって、「水虫に罹患していない」ということではありません。
特に女性が注意したいのは、乾燥肌との見分けが付きにくい、角質増殖型です。
「きちんと保湿しても、かかとのガサガサが治らない」などの人は、乾燥ではなく水虫の可能性があります。
あまりにも回復しない場合は、皮膚科で白癬菌の検査を受けることをおすすめします。
子どもに水虫が少ないのは、大人よりも皮膚の新陳代謝が活発であることが主な理由です。
特に幼児は、脳や五感の発達を促すため、裸足での保育が推奨されています。
保育園や自宅では裸足になるケースが多く、白癬菌が付着しても動き回っているうちに落ちてしまうケースが多いようです。
ただし成長して靴を履くようになれば、子どもでも水虫に罹患するリスクが高くなります。
家庭では足の指までしっかりと洗い、清潔を保つことが大切です。
水虫を防ぐためには、足を清潔に保つことが大切です。
日常生活で気を付けたいポイントや、万が一水虫になってしまったときにすべきことをご紹介します。
日常生活では、白癬菌が好む「高温多湿」な環境を作らないことが、最も基本的な予防策です。
なお水虫の症状が現れるのは、白癬菌が角質層に侵入して増殖を始めてからです。
白癬菌が角質層に侵入するまでの時間は長く、24時間以上といわれています。
すなわち白癬菌が皮膚に付いてしまった場合でも、すぐに洗い流してしまえば水虫になる可能性は大幅に減少します。
かゆみや皮むけ、水ぶくれ、かかとのガサガサなどの症状がある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
皮膚科では、皮膚の角膜を検査することで白癬菌の有無を正確に診断してもらえます。
万が一白癬菌がいた場合は早急に治療を開始し、症状の悪化や二次感染・爪水虫への進行を防ぐことが大切です。
注意したいのは、自己判断で適当な市販薬を塗らないこと。
実際のところ、水虫を疑って皮膚科を受診した人の約30%は、白癬菌が見つからなかったそうです。
足のかゆみや湿疹があるからといって、必ずしも水虫とは限りません。
安易に市販薬を使うと、症状が悪化する可能性があります。