改めてチェック! 熱中症になりやすい人の特徴とは?|熱中症を引き起こす要因と対処法

公開日:2025/07/28

改めてチェック! 熱中症になりやすい人の特徴とは?|熱中症を引き起こす要因と対処法

日本の平均気温は年々高くなっており、2025年の夏も猛暑が予想されています。

外出するときはもちろん、室内にいる場合でも熱中症には注意が必要です。

 

この記事では、熱中症の症状や危険性、熱中症を引き起こす原因について詳しくまとめました。

熱中症になったときの対処法や予防策についてもご紹介しているので、熱中症への理解を深めておきましょう。

熱中症とは?

熱中症は、体温調節機能が低下し、体内に熱がこもることで発症する健康障害の総称です。

ここでは、熱中症の種類や重症度レベル、熱中症になりやすい人の特徴を見ていきましょう。

熱中症の症状

直射日光が強く当たる場所・高温多湿な場所に長時間いると、体調不良を感じることがあります。

以下のような症状が出てきたら、熱中症を疑ってください。

 

  • 熱失神:めまいや立ちくらみが主な症状です。脳への血流が一時的に悪くなることで起こります。

 

  • 熱けいれん:筋肉がけいれんしたり、こむら返りを起こしたりします。大量の汗をかくことで、体内の塩分(ナトリウム)が不足するために起こります。

 

  • 熱疲労:全身のだるさ、頭痛、吐き気、嘔吐、集中力の低下など、全身の倦怠感が主な症状です。脱水症状の進行により発症します。

 

  • 熱射病:最も重い熱中症です。意識がない、体がけいれんする、体温が異常に高い、歩けないなどの症状が現れます。脳の機能が低下し、命に関わる非常に危険な状態です。

参考:職場のあんぜんサイト:熱中症[安全衛生キーワード]|厚生労働省

熱中症の重症度レベル

熱中症は症状の深刻さによってⅠ度(軽症)、II度(中等症)、III度(重症)・IV度(最重症)の重症度レベルに分類されています。

 

  • I度(軽症):めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のけいれん(こむら返り)、大量の発汗など。意識ははっきりしている状態

 

  • II度(中等症):頭痛、吐き気、嘔吐、体がだるい(倦怠感)、虚脱感、集中力や判断力の低下など

 

  • III度(重症):意識障害(刺激すると覚醒するが放っておくと眠ってしまう、呼びかけに反応しないなど)、ふらつき、運動失調、けいれん、肝・腎機能障害など

 

  • IV度(最重症):深部体温が40.0℃以上かつ重度の意識障害

 

II度(中等症)以上の症状が見られる場合は、早急に医療機関での診療が必要です。

 

参考:熱中症診療ガイドライン2024|日本救急医学会

熱中症が発生しやすい月・時間帯

出典:職場でおこる熱中症|職場における熱中症予防情報|厚生労働省

 

厚生労働省が実施した2020~2024年までの調査によると、熱中症による死傷者数が最も多いのは7月・8月です。

熱中症による累計死傷者数は、7月で1,638人・8月で2,124人となっています。

出典:職場でおこる熱中症|職場における熱中症予防情報|厚生労働省

 

一方熱中症の時間帯別死傷者数は、午前中や午後3時前後が多い傾向です。

とはいえどの時間帯も大きな差はなく、高温多湿な時期は全ての時間帯で熱中症を発症するリスクがあります。

熱中症を引き起こす3つの要因

熱中症の発症には、環境・体・行動が関係しています。

熱中症を発症しやすくなる状況や行動について詳しく見ていきましょう。

 

参考:環境省熱中症予防情報サイト 熱中症の予防方法と対処方法

1. 環境

高温多湿で無風な場所に長く留まると、熱中症を発症しやすくなります。

屋外だけではなく、室内でも室温や湿度が高い場合は注意が必要です。

 

  • 日差しが強い場所:直射日光により体感温度が上がりやすい
  • アスファルトやコンクリートの上:地面からの照り返しが強く、地熱の影響を強く受ける
  • 風通しの悪い場所:ビル街の谷間や、周囲を高い建物で囲まれた場所などは熱がこもりやすい
  • 閉め切った車内:車内の温度は短時間で急激に上昇する
  • エアコンを使用していない部屋:日中の熱が室内にこもり、気温が下がりにくい
  • 閉め切った部屋:風が通らず熱がこもりやすい

 

また梅雨明けの時期や急激に気温が高くなった日などは、体が暑さに慣れていません。

湿度も高くなりやすいため、熱中症のリスクが上昇します。

2. 体

個人が持つ体質やその日の体調によって、熱中症を発症しやすくなることがあります。

高温多湿な時期は、以下に該当する人は特に熱中症に強く警戒すべきです。

 

  • 睡眠不足の人
  • 疲れが溜まっている人
  • 体調不良(発熱、下痢、嘔吐など)の人
  • 脱水症状気味の人

 

このほか「子ども・乳幼児」「高齢者」「心臓病、糖尿病、高血圧などの持病がある人」は、体温調節機能が未熟(子ども・乳幼児)あるいは低下している(高齢者・持病のある人)可能性があります。

熱中症を発症しやすいため、十分な配慮が必要です。

3. 行動

高温多湿な環境の中では、ちょっとした行動が熱中症を引き起こします。熱中症の発症につながりやすいのは、以下のような行動です。

 

  • 炎天下でのスポーツや長時間の屋外作業
  • 日陰のない場所で長時間過ごす
  • 水分・塩分の補給をしない
  • 通気性の悪い服や黒い服を着用する
  • 冷房を使わない

 

ただし、冷房の効きすぎた環境に長時間いると、体が暑さに慣れにくくなるため要注意。

いきなり暑い屋外に出ると体温調節がうまくできず、熱中症を発症するリスクが高くなります。

 

熱中症を防ぐには、体を暑さに慣らしていくこと(暑熱順化)も大切です。

熱中症になったときの対処法

暑さにより子どもの具合が悪い・自分自身が体調不良になったなどの場合は、熱中症を発症したのかもしれません。

早急に「涼しい場所に移動する」「体を冷やす」「水分補給する」ことが必要です。

 

ここからは、熱中症になったときの対処法をご紹介します。

症状が重いときはすぐに救急車を呼ぶ

先述した重症度レベルでII度(中等症)以上の症状が見られる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

具体的には、意識がない・意識がもうろうとしている・自分で水分を摂取できない・ひどい頭痛や嘔吐がある・高体温になっているなどの症状です。

 

熱中症の症状はさまざまあり、その場で救急車を呼ぶべきかどうか判断に迷うことがあるかもしれません。

この場合は「救急安心センター事業(#7119)」に連絡しましょう。

医師、看護師、相談員などにつながるので、救急車の要否について判断を仰げます。

 

参考:救急安心センター事業(#7119)ってナニ? | 救急車の適時・適切な利用(適正利用) | 総務省消防庁

涼しい場所へ移動し体を冷やす

救急車を呼ぶ場合でも呼ばない場合でも、熱中症を発症した際はすぐに涼しい場所に移動してください。

その場で衣服を緩め、保冷剤や濡れタオルで体を冷やすことが必要です。

 

熱中症の人の体を冷やすときは、皮膚の近くを太い血管が通っている部位(首、脇の下、足の付け根など)を冷やすと効果的です。

 

また手足は、濡れタオルやハンカチを当てて冷やします。温くなったらまた水に浸して、常に冷たい状態を維持してください。

 

参考:熱中症になってしまったら?体の冷やし方 | NHK防災

水分・塩分を補給する

熱中症が疑われるときは、水分だけではなく塩分も補給しましょう。

 

大量の汗をかいたときは、体内の塩分やミネラル分も失われている状態です。

この状態で水分ばかりを補給すると血液中の塩分・ミネラル濃度が低下し、症状が悪化するリスクがあります。

 

水分・塩分補給には以下のものがおすすめです。

 

  • スポーツドリンク
  • 経口補水液
  • 塩分入りタブレット
  • ゼリー飲料
  • 梅干し
  • 梅昆布 など

 

熱中症を発症しやすい時期は、スポーツドリンクを常に携行しておくと安心です。

 

参考:熱中症対策のポイントは、水分補給だけでなく塩分補給! | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

熱中症を予防するためにすべきこと

熱中症は、いつ・どんな人でも発症する可能性があります。「暑さに強い体を作ること」「環境を整えること」「熱中症への意識を高めること」が大切です。

 

熱中症を予防するために、普段から心がけたいポイントをご紹介します。

 

参考:熱中症の予防・対策 | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

暑さに強い体を作る

熱中症を予防するためには、体温調節機能がうまく機能することが必要です。

体を暑さに慣れさせる(暑熱順化)ため、無理のない範囲で汗をかくようにしましょう。

 

日常に以下の習慣や運動を取り入れてみてください。

 

  • サイクリング
  • ウォーキング・ジョギング
  • 筋トレ・ストレッチ
  • 入浴

 

ただし暑熱順化には、2週間程度かかることもあります。

暑さに強い体を作るなら、なるべく早めに準備を始めるのがおすすめです。

 

また暑い季節は、睡眠の質や食欲が低下しやすくなります。

運動だけではなく、食事や睡眠にも気を付けることが大切です。

 

参考:暑熱順化 | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

環境を整える

暑さが厳しくなってきたら、「熱中症になりにくい環境」を整えましょう。

 

  • 暑さを我慢せず、クーラーや扇風機を使う
  • 通気性がよく涼しい衣服を着用する
  • 日傘や帽子で直射日光を避ける
  • 冷却グッズを使う

 

近年の暑さは、過去の日本の暑さとは異なります。

「暑さで命が危険にさらされることがある」と理解して、環境を整えることが大切です。

熱中症に対する意識を高める

暑い季節は、常に熱中症に対する危機感を持ちましょう。

 

  • 「気温」「湿度」をチェックする習慣を付ける
  • 出かけるときは飲み物を持ち歩く
  • 屋外活動では適宜休憩を入れる
  • 熱中症警戒アラートやWBGT(暑さ指数)をチェックして、危険度を確認する

 

特に子どもとお出かけするときは、熱中症のリスクについて敏感になる必要があります。

 

地面からの熱の影響を受けやすい子どもは、大人よりも熱中症リスクが高い傾向です。

子どもが「喉が渇いた」「疲れた」と言う前に水分を摂らせ、休憩させてあげるようにしましょう。

まとめ

熱中症は、気温が高い夏には誰もが注意すべき危険な症状です。
特に体温調節機能が未熟な子どもは、大人以上に熱中症リスクが高くなります。ちょっとした外出でも気を抜かず、熱中症対策を徹底しましょう。

万が一熱中症を発症してしまった場合は、すぐに涼しい場所に移動すること・太い血管を冷やすことが必要です。
子どもの状態・自分の状態を常に注視し、「おかしいな」と感じたらすぐに行動できるようにしておいてください。


文/カワサキカオリ

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