温暖で湿度の高い日本は、寒冷地の国々と比較して雷の発生率が高いといわれています。
雷に出会う確率が高いからこそ、雷のメカニズムや危険性について理解しておくことが大切です。
この記事では、突然発生する雷のメカニズムをまとめました。
雷が近いときの対処法や注意点と併せてチェックしてみてくださいね。
温暖で湿度の高い日本は、寒冷地の国々と比較して雷の発生率が高いといわれています。
雷に出会う確率が高いからこそ、雷のメカニズムや危険性について理解しておくことが大切です。
この記事では、突然発生する雷のメカニズムをまとめました。
雷が近いときの対処法や注意点と併せてチェックしてみてくださいね。
日本の昔話や民間伝承には、雷や嵐を引き起こす神様や鬼が登場します。
古来人々を恐れさせてきた雷とは、どのようなものなのでしょうか?
雷の概要について見ていきましょう。
雷は、雲の中や雲と地面の間で発生する、膨大な電気エネルギーの放出です。
空気は電気を通しにくい性質があり、通常の状態であれば空気中で放電が起こることはありません。
しかし積乱雲の中で電気の偏りが極限まで高まると、空気の絶縁は無効化します。
電流が一気に流れることで放電が起こり、まばゆい光(稲妻)と衝撃による雷鳴が発生するのです。
雷が発生する気象条件や原因はさまざまあり、雷はいくつかの種類に分類されます。
私たちが日常で最も出会う確率が高いのは、夏の夕立やゲリラ豪雨で見られる、熱雷です。
雷が「突然落ちてくる」と感じるのは、雲の中での放電現象が短時間で発生するためです。
「積乱雲が電気をため込むメカニズム」「雲と地面の間で電気が流れる“放電”のメカニズム」について詳しく見ていきましょう。
雷の発生源は、巨大に発達した積乱雲(雷雲)です。
積乱雲の中では、以下のようなプロセスで電気が蓄積されます。
大きくて重いあられなどの粒から発生した静電気はマイナス(負)、小さくて軽い氷晶などから発生した静電気はプラス(正)の電荷を帯びています。
そのため雲の上部には正、下部には負の電荷が多く集まります。
積乱雲の中で大量の電荷が蓄積されると、雲と地面の間に大きな電位差が生まれます。
蓄えられた電気エネルギーが一定以上になると、空気の絶縁を維持できません。
一気に放電が発生し、雷が地面に向かって落ちます。
この過程で光(稲妻)と音(雷鳴)が同時に発生するため、地上にいる人間は強烈な光と音に驚かされてしまうのです。
雷は自然現象の中でも非常に危険で、命に関わる事故に繋がる可能性があります。
落雷が予想される場合や雷鳴が聞こえたときは、「自分の身を守る行動」をすぐに取ることが重要です。
雷が発生したときに取るべき行動と注意点をご紹介します。
「ゴロゴロ…」という雷鳴が聞こえた時点で、すでに雷は半径10~15km以内に接近している可能性があります。
いつ落雷があってもおかしくない状況であるため、なるべく早く屋内または車の中に避難しましょう。
避難場所としておすすめなのは、鉄筋コンクリート造の建物です。
金属をベースに造られている建物は、雷の電気エネルギーが外壁や骨組みを伝い、安全に地面へ逃げる構造になっています。
建物全体が「大きな避雷針」のような役割を果たしており、中にいる人は安全です。
自動車やバス・列車なども同様に安全ですが、窓は必ず閉めておきましょう。
なお仮設のテントや簡易的な建物は、雷のエネルギーを安全に処理できるだけの構造になっていないケースがほとんどです。
高さや構造によっては落雷の標的になりやすいこともあり、避難場所にはおすすめできません。
屋内にいる場合でも、家電製品や電話線、水道管など、外部と繋がっているものは危険です。
雷が鳴っているときは、家電製品やコンセントから離れ、コード類に触れないように注意しましょう。
屋内にいても「誘導雷」が起こる可能性があります。
誘導雷とは、落雷などによって近くの電線や通信線に異常な電圧や電流が誘導される現象です。
直接の落雷に遭わなくても、家電製品やコンセントから感電する可能性があります。
屋内にいるときも油断せず、雷の様子に注意を払うことが大切です。
野外にいてすぐに安全な建物や車に避難できない場合は、「雷しゃがみ」の姿勢を取りましょう。
雷しゃがみのポイントは、以下の通りです。
両足のかかとを揃えることで、電流が直接上半身へ向かうリスクを下げることが可能です。
また、体が地面に接触している面積が大きいほど、電流が体を通過する可能性が高くなります。
電流が体を通過しにくくするためには、つま先立ちになって地面との接触面を最小限に抑えることも大切です。
参考:雷鳴がしたら身を守るには 「雷しゃがみ」とは 気象予報士・防災士が解説 | TBS NEWS DIG (1ページ)
雷は、最も高い物体や突き出た構造物に落ちやすい性質があります。
雷が鳴っているときに木の下に避難するのは非常に危険です。
木に雷が落ちた場合、電流が近くの人へ移動する「側撃(そくげき)」が発生することがあります。
特に人間は電気を通しやすいため、電流が木から人に流れやすくなってしまいます。
側撃による電流は非常に強力で、電流の強さは直接落雷を受けたのと同程度です。
雷による死亡事故の中でも、木の下での雨宿りによるものは少なくありません。
また、雷が地面に流れる際、地面の電位に大きな差が生じることで、地表を通して人間に電流が流れる「地面電位上昇」も起こり得ます。
野外で安全な建物がない場合は、木の幹から最低でも2メートル、できれば4メートル以上離れましょう。
その上で「雷しゃがみ」の姿勢を取り、できるだけ姿勢を低く保つことが大切です。
雷は、不思議と危険が隣り合う自然現象です。
雷について、よくある疑問をご紹介します。
気象庁のデータによると、落雷による被害が最も多いのは8月です。
2005~2017年の13年間の落雷による被害のうち、約30%は8月に集中していました。
なお雷による被害は、日本海側(約35%)よりも太平洋側(約65%)の方が多い傾向です。
また月別では、太平洋側は4~10月、日本海側は11~3月に落雷による被害が多く発生しています。
雷がジグザグに光るのは、電流が「最も通りやすいルート」を探しながら進んでいるためです。
大気中の空気は均一ではなく、場所によって密度や湿度・イオン化の状態が異なります。
電気はそのときどきで最も流れやすいルートを選択するため、細かく折れ曲がったり枝分かれたりしながら進んでいるように見えるのです。
金属は電気をよく通す性質がありますが、雷を引き寄せるほどの影響力はありません。
雷が鳴ったからといって、金属類を外すことは必ずしも必要ではありません。
なお、雷が近くに落ちた際に金属を高く掲げたり身に付けたりしていると、雷電流が人体に飛び移る「側撃」のリスクはあります。
「金属を身に付けていると雷に狙われる」というのは絶対ではありませんが、雷が落ちやすい状況で、金属製の物を高く掲げていると、側撃のリスクが高まるという点には十分気を付けてください。