屋外で肌を露出するときは「蚊に注意しなければ!」と考える人も多いでしょう。
しかしそもそも蚊とは、どのような生物なのでしょうか?
この記事では、小さくて厄介な「蚊」について生態や構造をまとめました。
蚊が媒介する病気についても紹介しているので、「蚊についてあまり考えたことはないな……」という人はチェックしてみてください!
屋外で肌を露出するときは「蚊に注意しなければ!」と考える人も多いでしょう。
しかしそもそも蚊とは、どのような生物なのでしょうか?
この記事では、小さくて厄介な「蚊」について生態や構造をまとめました。
蚊が媒介する病気についても紹介しているので、「蚊についてあまり考えたことはないな……」という人はチェックしてみてください!
蚊は世界中に分布しており、種類は非常に多彩です。
まずは蚊の種類や生態について見ていきましょう。
蚊の種類は全世界で約3,600種類存在するといわれており、日本にはそのうちの約100種類が存在しています。
以下は、私たちが日常で比較的よく目にする蚊です。
■体長:約4.5mm程度
■特徴:黒い体色に白い縞模様
私たちが「蚊」と聞いてイメージする、白黒模様の蚊です。
本州から九州・沖縄に広く分布していますが、寒冷地や冬場にはあまり見られません。
ヒトスジシマカは1940年代ごろまでは栃木県を北限としていましたが、近年は青森県でも見られるようになりました。
地球温暖化によりこのまま気温が上昇し続ければ、蚊が北海道にわたる可能性もあります。
ヒトスジシマカは水が溜まる場所を発生源とし、人がいるところに多く生息します。
日常の公園、竹藪などで遭遇する確率が高い蚊です。
■体長:約5~6mm
■特徴:体色は、灰褐色もしくは赤褐色。見た目で区別するのは難しい。人家周辺に出るのがアカイエカ、都市部の出るのがチカイエカ
春から秋にかけて発生するイエカの一種です。
アカイエカ・チカイエカともによく似ており、専門家でも見分けるのは難しいといわれています。
日本脳炎ウイルスやフィラリア、ウエストナイル熱などを媒介する蚊なので、注意が必要です。
蚊は卵で生まれて、幼虫(ボウフラ)、サナギ、成虫に変化します。
蚊のライフサイクルは非常に短く、卵から成虫になるまでの期間は、通常10日から15日程度です。
成虫の寿命は約1ヶ月ですが、メスはわずかな期間に4~5回も産卵します。
例えばヒトスジシマカは1回の産卵で50~100個、アカイエカ・チカイエカは、最大約400個の卵を産むのだそうです。
蚊の繁殖力は非常に強く、わずかな水貯まりからでも大量の蚊が発生します。
参考:蚊の一生|新宿区
蚊が「地球上で最も人を殺している生物」といわれるのは、危険な伝染病を媒介するためです。
例えば蚊が媒介するマラリアは、年間で約100万人もの命を奪っています。
蚊が吸血する意味や、蚊によって媒介される病気をご紹介します。
蚊が吸血するのは、産卵に必要な栄養素を得るためです。
つまり人の肌を狙ってやってくる蚊は、全てメスということ。
オスには吸血する習性がなく、主に花の蜜や樹液を食べて生きています。
メスの蚊がお腹いっぱい吸血すると、卵の形成がスタート。
一般的には吸血から3~4日程度で、メスは卵を産み落とします。
蚊が恐ろしいのは、重症化したり死に至ったりする危険な病気を媒介するためです。
蚊が媒介する主な病気には以下のものがあります。
蚊の種類ごとに媒介する病気が異なるのは、蚊と病気には「相性」があるためです。
伝染病が人間に感染するためには、蚊の体内でウイルスを効率よく増やし、感染源となる唾液に蓄積されなければなりません。
蚊の免疫や体内構造によってはウイルスと相性が悪いケースもあり、全てのウイルスが蚊によって媒介されるわけではないのが実情です。
例えばウエストナイル熱はさまざまな蚊と相性がよく、コガタアカイエカ・ヒトスジシマカなど複数の蚊によって媒介されます。
一方で、日本脳炎やマラリアと相性のよい蚊はそう多くありません。
日本脳炎を媒介するのはコガタアカイエカ、マラリアを媒介するのはハマダラカの仲間のみです。
蚊の構造や特徴は人間や動物の血を吸うために最適化されています。
蚊の体や能力、さらには蚊に狙われやすい人の特徴を見ていきましょう。
蚊が吸血するときに使う「針」は、蚊の下アゴです。
アゴには6本の針が隠されており、それぞれ「皮膚を切り裂く」「血を吸う」「唾液を注入する」などと役割が異なります。
蚊に針を突き刺されても痛みを感じないのは、主に以下の理由があるためです。
蚊の針の太さは約0.015~0.05mm程度といわれており、髪の毛の半分以下です。
皮膚が痛みを感じるポイントを避けやすく、針を刺されても人間は痛みを感じません。
吸血時に注入される唾液には麻酔的な効果もあり、蚊は人間に気付かれずに吸血できます。
蚊は高度な感覚器官を持っており、遠くからでも獲物を確実に見つけます。
蚊が獲物を見つける方法は、以下の通りです。
これらの優れた感覚能力により、蚊はどんな場所でも効率的に獲物を見つけ出し、繁殖に必要な血液を確保します。
以下に該当する人は、蚊のセンサーに引っ掛かりやすくなります。
運動した後や飲酒後は、二酸化炭素の排出量が多くなります。
蚊を引き寄せやすく、噛まれやすい状態です。
また体温が高い・汗かきの人も、蚊に好まれます。
子どもがよく蚊に刺されるのは、体温が高く汗かきで、蚊に察知されやすいためです。
屋外に出るときは、大人以上に蚊への対策が必要となります。
ここからは、蚊についてのよくある疑問についてご紹介します。
蚊に刺されるとかゆくなるのは、人間の体がアレルギー反応を起こしているためです。
蚊は吸血するときに、麻酔のような役割を果たす唾液を皮膚に注入します。
これが人間の免疫システムに引っ掛かり、血管が拡張して赤く腫れたり、かゆみを感じる神経が刺激されたりするというわけです。
蚊によるアレルギー反応には個人差があり、刺されたすぐ後に強いかゆみが出る「即時型反応」と、後からかゆみがぶり返す「遅延型反応」があります。
またかゆみの出方は免疫状態や感受性によっても異なり、蚊に刺されたからといって全ての人がかゆみを感じるわけではありません。
ただしアレルギー反応が強い人は、腫れやかゆみが強く長引くこともあります。
まず大切なのは、肌を露出しないことです。
物理的に「刺されないようにする」ことで、蚊による被害を抑制できます。
服の色は蚊を寄せ付けやすい「黒」を避け、白や明るい色を選びましょう。
また虫除けスプレーも、蚊対策には効果的です。
虫除けスプレーには、蚊のセンサーを鈍らせる効果があります。
肌に塗布しておくことで、蚊が集まりにくくなるはずです。
蚊への対策方法としては「レモンを塗るとよい」「ハーブのアロマで忌避できる」などともいわれています。
しかしこれらは、虫除けスプレーほどの即効性や持続性は期待できません。
確実に蚊の被害を避けたい場合は、虫除けスプレーの使用がおすすめです。