秋を代表する果物はさまざまありますが、日本らしい果物といえば「柿」を忘れるわけにはいきません。正式に認められているわけではありませんが、柿は「日本の国果」とも呼ばれる馴染み深い果物です。
今年の秋はぜひおいしい柿を手に入れて、日本の秋を楽しみましょう。
この記事では、柿の歴史や特徴・代表的な種類を詳しくご紹介します。
秋を代表する果物はさまざまありますが、日本らしい果物といえば「柿」を忘れるわけにはいきません。正式に認められているわけではありませんが、柿は「日本の国果」とも呼ばれる馴染み深い果物です。
今年の秋はぜひおいしい柿を手に入れて、日本の秋を楽しみましょう。
この記事では、柿の歴史や特徴・代表的な種類を詳しくご紹介します。
全国果樹研究連合会カキ部会は、10月26日を「柿の日」と定めました。
柿の日の由来や、日本における柿の歴史をご紹介します。
柿にちなんだ俳句と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、正岡子規の「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」という句ではないでしょうか?
この句が詠まれたのは、1895年(明治28年)10月26日だといわれています。
すなわち柿の日は、正岡子規が有名な俳句を詠んだ日です。
「柿食へば…」の俳句は、「柿を食べていたら、法隆寺の鐘が鳴った」というシンプルな句ですが、この1文に深い秋の気配や法隆寺の存在感、静かな感動が込められています。
日本人の心に刺さる情緒に魅了される人は多く、現代では「俳句の代名詞」とも呼ばれるほど高く評価されている名句です。
柿の多くは中国から渡って来たと考えられており、「古事記」や「日本書紀」の時代にはすでに柿にちなんだ人名や地名が見られます。
例えば、万葉歌人として有名な「柿本人麻呂」もその1人。
居住地に柿の木があったため「柿本」と名乗ったのではないかといわれています。
すなわち柿は、遅くとも奈良時代には、すでに日本に存在したとするのが一般的です。
その後江戸時代になると、全国に柿の栽培が広がり、品種名が知られるようになりました。
また平安時代中期の法典「延喜式」によると、当時すでに「干し柿」が祭祀に使われていたことが分かっています。
干し柿は非常食や砂糖代わりとして使われることも多く、千利休は干し柿を茶菓子として提供していたそうです。
参考:豆知識 | 和歌山県
柿はカキノキ科の落葉高木で、秋に熟す果物です。
鮮やかな橙色を特徴としており、渋みの元となるタンニンの含有量によって「甘柿」と「渋柿」に大別されます。
柿の種類や栄養、おいしい柿の見分け方、保存方法をご紹介します。
柿の種類は、甘柿・渋柿に大別できます。
柿の渋味の原因は、「水溶性タンニン」と呼ばれるポリフェノールの一種です。
甘柿は成熟の途中で水溶性タンニンが不溶性タンニンに変化します。
渋味の元であるタンニンが柿の水分に残らないため、甘くおいしい柿になるというわけです。
一方渋柿は、成熟しても水溶性タンニンがそのまま残ります。
渋味の元が消えないため、渋抜きのための処理を行わないとおいしく食べられません。
なお甘柿・渋柿には「完全」「不完全」がある点に要注意。
柿の種類を厳密に分類すると、以下のようになります。
意外と勘違いされていますが、渋柿は熟しても一般的には渋いままです。
なお干し柿にすれば、渋味の元である水溶性タンニンは抜けてしまいます。完全渋柿でも、おいしく食べることが可能です。
柿は、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど栄養豊富な果物です。
特にビタミンCの含有量が多く、果物の中でもトップクラスだといわれています。
柿を1個食べれば、成人1日に必要なビタミンCをほぼ満たすことができるそうですよ!
このほか柿には、以下のような栄養素が含まれています。
ただし柿を食べすぎると、胃の中に固い石ができる「柿胃石(かきいせき)」を発症することがあります。
石が腸に流れて腸閉塞を引き起こした場合、すぐに手術が必要になるかもしれません。
柿は毎日食べても構いませんが、1日1〜2個程度に留めましょう。
参考:栄養価の高い果物2位!?柿の栄養効果とは|簡単!時短!栄養レシピ「 柿とさつまいもサラダ」|TREE
参考:柿を食べ過ぎると胃に石ができる? 『柿胃石(かきいせき)』とは? | 名古屋の血液内科は西大須の伊藤内科・血液内科
せっかく柿を購入するなら、甘くておいしいものを選びたいですよね。
おいしい柿を見分けるポイントは「色」「形」「ヘタ」「重み」「皮」です。
柿を保存する場合は、濡らしたキッチンペーパーでヘタを覆い、ラップで覆いましょう。
さらに新聞紙につつんで冷蔵庫に入れておくと、2~3週間程度シャキシャキの状態を維持できます。
なお柿を冷蔵庫で保存するときは、ヘタを下向きにするようにしてください。
古くから親しまれてきた柿は、日本各地に「名産地」と呼ばれる場所があります。
ここからは、日本で人気の柿の種類をご紹介します。
岐阜県が発祥といわれる、日本を代表する柿です。
果実は大きく丸みを帯びており、鮮やかなオレンジ色をしています。
果肉はやわらかくジューシーで、甘みが濃いのが特徴です。
甘柿の中でも特に人気が高く、国内の甘柿生産量の約8割を占めます。
参考:令和4年度輸出環境整備緊急対策委託事業(スライド56)|農林水産省
参考:柿 | JA全農えひめ
静岡県発祥の甘柿で、シャキッとした食感が人気です。
形は全体的に平べったく、縦に4本の溝が走っています。
富有柿よりも大きく見栄えがよいため、贈答用としても広く選ばれています。
滋賀県大津市の西村氏の柿園で見つかったため「西村」という名前が付けられました。
種が多いほど渋味は抜けやすく、甘味が強くなります。
果実はやや小ぶりで鮮やかなオレンジ色をしており、どちらかというとさっぱりした味わいです。
また、果肉に「ゴマ」という黒っぽい模様が入るのが大きな特徴。これは渋みが抜けて甘くなったサインで、このことから「ゴマ柿」と呼ばれることもあります。
広島県東広島市西条町で栽培される渋柿です。
形状は縦に長く、側面に4本の深い溝が入っています。
渋抜きされた果肉にはしっかりとした甘さがあり、柔らかく上品な味わいです。
ただし冷蔵庫に入れても4~5日しか保存できません。
中国・四国地方以外ではあまり流通していませんが、チャンスがあればぜひ口にしてみてください。
参考:柿 | JA全農とっとり
奈良県天理市で生まれた渋柿です。
生産者の名前が「刀根」という名前であったため、刀根早生と名付けられました。
形状は扁平で四角に角張っており、種がありません。
渋柿ではありますが、アルコールや炭酸ガスで渋抜きしてから出荷されるため、甘味はまろやか。
特に奈良県の柿は色付きが濃く、甘いといわれています。