今年も残すところあとわずか。何事もなく新年を迎えられればよいですが、12月はちょこちょこと心配事が増える月でもあります。そこで、頭の片隅に置いておけば失敗を防げるかもしれない(?)年末にかけて気をつけたいあれこれをまとめました。
体調管理編
寒さが本格化する12月は感染症の発生や拡大、ヒートショックが起こりやすくなる時期です。正しい知識で予防に努めましょう。
感染症対策はぬかりなく!
冬に感染が拡大する感染症といえば「インフルエンザ」、「RSウイルス」などの呼吸器感染症や「ノロウイルス」、「ロタウイルス」などの感染症胃腸炎。
なぜこれらのウイルス性の感染症が冬に猛威を振るうのかというと、ウイルスは低温、低湿度を好み、そのような環境下では生存率が高くなるため。加えて、空気が乾燥していると気道粘膜の防御機能が低下するため、体内にウイルスが侵入しやすくなってしまうのです。
感染を防ぐためには、基本中の基本である「手洗いうがいを徹底する」、「アルコール消毒をする」以外にも、「部屋を適切な湿度(50~60%)に保つ」、「こまめに水分補給をする」、「マスクをする」といった喉や鼻を乾燥させないための対策も重要です。
また、バランスの取れた食事や十分な睡眠も免疫力を高めるためには必要不可欠。この時期はいつも以上に意識するようにしましょう。
ヒートショックに要注意
冬に多発する健康被害に「ヒートショック」があります。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧や心拍数が大きく変動し、「心筋梗塞」や「脳卒中」、「脳出血」などを引き起こすこと。暖かい場所から寒い場所、反対に寒い場所から暖かい場所へ移動した際に起こるため、浴室や脱衣所、トイレなどで特に多く起こります。
ヒートショックはお年寄りの問題と思われがちですが、若い人でも起こることがあります。特に疲れているときや体調が悪いときは注意しましょう。
予防策は家の中の寒暖差を減らすこと。浴室や脱衣所は入浴前にヒーターなどであらかじめ暖めておきましょう。シャワーを使って浴槽にお湯を張ると、蒸気の力で浴室の温度を上げることができるのでおすすめです。そして、冬は熱いお風呂に入りたくなるものですが、お湯はなるべく40℃以下に設定しましょう。
また、体が脱水状態だと血液の粘度が増して血栓ができやすくなり、結果としてヒートショックを引き起こしやすくなります。入浴前後の水分補給は忘れずに。
トイレでの対策としては、「セラミックファンヒーターを設置しておく」、「トイレに行くときは何か1枚羽織る」ほか、座ったときに「冷たい!」となることを防ぐために暖房便座を利用するのも◎。
お家編
12月に大掃除をする人は多いかと思いますが、体のことを第一に考え頑張りすぎないことが大切です。また、寒くなってくると家で過ごすことが増えますが、温かい空気が逃げるからと部屋を閉め切るのは危険!
大掃除はほどほどに!?
今年の汚れを新年に持ち越したくない! と意気込む人はいるかもしれませんが、大掃除にも危険は潜んでいます……。東京消防庁管内では令和5年から過去5年間の月別の掃除中の事故による救急搬送人員は、大掃除をすることが多い12月が最も多いのだそう。
脚立を使うような高い場所の掃除や、濡れて滑りやすい浴室の掃除などは、転倒など大ケガを招く可能性もあります! 十分に注意しましょう。
また、怪我以外にも長時間同じ姿勢を取ることで首や肩や腰を痛めてしまうことも。日頃からこまめに掃除をして大掃除はしないというのが理想的ではありますが、難しい場合は、何日かに分けておこなう、短時間と決めておこなうなど、ルールを決めておくとよいでしょう。
こまめな換気が大切
12月、1月は、換気不足による家での「一酸化炭素中毒事故」が多く発生します。
一酸化炭素中毒とは、体に有害な一酸化炭素を吸い続けることで頭痛や吐き気、めまいなどさまざまな症状を引き起こすこと。
家の中の場合、七輪や火鉢などの炭を使うものや、カセットコンロなどの調理器具、そして石油やガスストーブなどの暖房器具などが原因となる場合が多いようです。それらの燃焼機器は燃焼の際に酸素を使いますが、密閉された部屋では酸素不足の状態になり、不完全燃焼となって一酸化炭素が発生してしまうのです。
一酸化炭素は、無色透明で無味無臭、刺激もないので部屋の異変には気づけません。そのため、燃焼機器を使う際には定期的に換気の時間を作ることが大切です。
また、感染症対策としても部屋の換気は有効なので、こまめな換気は常に心掛けるようにしましょう。近年では気密性の高い高気密住宅が多いため、特に注意が必要といわれています。
お出掛け&帰省編
イベントの多い12月は何かと出掛けることが増える月。ショッピングモールや大型のスーパーに年末の買い出しに行ったり、年末年始は混雑した神社や寺院に参拝に行くこともあるでしょう。そんなときに気をつけたいのが迷子です。
また、年末年始に帰省をする家庭も多いかと思いますが、いつもと異なる環境ではさまざまな心配事も増えてきます。
迷子に注意
ちょっと目を離した一瞬のすきに子どもの姿が見えなくなり、ヒヤッとした経験があるというママは多いのではないでしょうか。
迷子を防ぐには、子どもの年齢や成長に合った対策を取ることが大切です。小学校に上がった子どもであれば、
- 場所が分からなくなったときはその場を動かない
- 慣れたお店なら迷子になったときの集合場所を決めておく
- お店の人に迷子になったことを伝える
- 何か見たいものがある場合は、声をかけてから行く
など、事前に約束事を決めておくと安心です。
まだ小さな子どもの場合は、
- 必ず手をつなぐ
- ハーネスのついたリュックを背負わせる
- 目立つ色の服を着せる
- 親の連絡先を書いたメモやグッズを身につけさせる
などが対策になります。また、普段からいざというときに備えて名前や年齢を言う練習をしておくのもよいかもしれませんね。
実家に潜む子どもの事故リスクは?
1年を通して、子どもの誤飲のニュースをよく耳にし胸が痛みますが、イベントごとや帰省で大勢で食事をする機会が増えるこの時期は、特に子供の誤飲に注意する必要があります。
年末年始といえばおもちが浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。特に大人数で集まって楽しくお喋りをしながら食事をしていると、ちょっとしたはずみで食べ物のかけらが喉に詰まることもあるといいます。
さらに、「このくらい小さいものなら大丈夫でしょ」とピーナッツや黒豆などを親以外の大人が渡してしまう可能性もあります。これはアレルギーの観点からみても避けたいこと。どんな食べ物でもアレルギーが起こる可能性はあり、さらに食物アレルギーを持つ子どもは増えているといいます。小さな子どもを持つママやパパは、特に側にいて気にかけてあげましょう。
年末年始は、医療機関が休みな場合が多いので、誤飲やアレルギーなどなく美味しい食事を楽しみたいものですよね。
交通事故編
12月は1年で最も交通事故が多い月です。
寒い地域では道路が雪や氷で凍結してスリップしやすかったり、帰省などで交通量が増えることなどが理由として挙げられますが、日が暮れるのが早くなるため、17~19時頃の薄暮時間帯にちょうど帰宅ラッシュが重なることも一因といわれています。
運転をする人は早めのライト点灯が鉄則です。また、歩行者や自転車は薄暮時、運転手から見えにくいため、明るい色の洋服を着たり、反射材やライトなどを身につけるなどして安全を守りましょう。
防犯対策編
振り込め詐欺などの特殊詐欺や空き巣被害などが最も増える月も12月だといいます。
“師走”の忙しさや慌ただしさから、いつもならできている冷静な状況判断が難しいということもあるのかもしれません。離れて暮らす家族とも日頃から密に連絡を取り合ったり、注意喚起をしておくと安心ですね。
また、帰省や旅行、年末年始の買い出しなどで家を空けることが増えたり、前述の通り、日照時間が短くなることから空き巣が家に入りやすい状況が多くなります。
出掛けるときには窓や玄関の戸締りをして、できればダブルチェックをするようにしましょう。帰宅が遅くなりそうな時には、あえて部屋の電気をつけっぱなしにしておくなども効果的です。また、家が人通りの少ない場所にあるという場合は、センサーライトや防犯カメラを設置するのも被害の抑止に有効です。
参照:セコム「冬の防犯と安全」
まとめ
文/渡邊倫子