日本では「赤ちゃんの頭の形は気にしなくてよい」「放っておけば自然に治る」という風潮がありますよね。
赤ちゃんの頭のゆがみは、本当に放置しても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、赤ちゃんの頭のゆがみの原因や、ゆがみが気になる時の対策をご紹介します。
赤ちゃんがいるご家庭は、我が子を見ながらチェックしてみてくださいね!
※本記事の情報はあくまで参考とし、気になる方は医師にご相談ください。
日本では「赤ちゃんの頭の形は気にしなくてよい」「放っておけば自然に治る」という風潮がありますよね。
赤ちゃんの頭のゆがみは、本当に放置しても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、赤ちゃんの頭のゆがみの原因や、ゆがみが気になる時の対策をご紹介します。
赤ちゃんがいるご家庭は、我が子を見ながらチェックしてみてくださいね!
※本記事の情報はあくまで参考とし、気になる方は医師にご相談ください。
赤ちゃんの頭がゆがんでいるのは、さほど珍しいことではありません。
とはいえ、「大きくなれば自然に治る」と楽観視していてよいのでしょうか。
吸引分娩などで一時的に赤ちゃんの頭の形がゆがんだケースなら、時間が経てば自然に治ることが多いようです。
また、ゆがみが軽度の場合も、成長するにしたがって目立ちにくくなるといわれています。
個人差はありますが、赤ちゃんが1歳を過ぎる頃にはさほど気にならなくなるでしょう。
ただし、頭のゆがみは「気にならなくなる」だけで、必ずしも完治するわけではありません。
例えば大人になって「絶壁」と言われる人は、赤ちゃんのときの頭のゆがみが原因となっている可能性があります。
「頭の形くらい、髪の毛が生えれば分からない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、頭のゆがみは、他の部位などにも影響します。
耳の位置がアンバランスになってメガネや帽子が合わせにくくなったり、体幹のバランスが乱れたりする恐れもあるでしょう。
また、頭の形がゆがんでいると、ヘアスタイルが決まりにくかったり、顔のパーツがアンバランスになったりなど、見た目の問題も発生しやすくなります。
子どもが思春期になったとき、ストレスを感じる可能性があるでしょう。
「大きくなったり、髪の毛が生えたりすればなんとかなる」と安易に考えるのはおすすめできません。
赤ちゃんの頭のゆがみには、病気が潜んでいるケースもあります。
例えば「頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)」は、赤ちゃんの頭蓋骨が通常よりも早くつながってしまう病気です。
生まれて間もない赤ちゃんの頭蓋骨は、何枚かの骨に分かれており、そのつなぎ目を「縫合」といいます。
画像提供:一般社団法人日本形成外科学会
なぜこのような状態なのかというと、乳児期には脳が急速に拡大するため、骨もその成長に合わせて拡大するのです。
成人になるにつれ、縫合部分が癒合し、しっかりとした頭蓋骨となっていきます。
しかしまれに、脳の成長が終わらないうちに頭蓋骨がくっついてしまう赤ちゃんがいます。
これを「頭蓋縫合早期癒合症」といいます。
この場合、成長する脳が圧迫される障害や頭蓋骨の変形が生じます。
画像提供:一般社団法人日本形成外科学会
頭蓋縫合早期癒合症は非常にレアケース(※)で、頻繁に発症する病気ではありません。
しかし、「ひどいゆがみの場合は病気の可能性もある」ということは頭に入れておいた方がよいでしょう。
※頭蓋骨縫合早期癒合症全体の発生率が、出生10,000人あたり4~10名である(小児慢性特定疾病情報センター)
赤ちゃんの頭のゆがみは、主に三つの種類があるといわれます。
それぞれどのようなゆがみなのか、見ていきましょう。
頭が斜めにゆがんでいるのが斜頭症。
上から見ると、左右が非対称となっています。
ひどくなると耳の位置がずれたり、顔のパーツが非対称になったりすることがあるでしょう。
斜頭症は、片側のみに圧力を受け続けると発症するといわれます。
赤ちゃんに向きグセがあったり、ママの子宮が狭かったりするときなどに多く発症します。
短頭症は、後頭部に丸みがなく平らになっている状態。
いわゆる「絶壁」といわれる頭の形です。
ずっと仰向け寝をしている赤ちゃんに多く見られます。
長頭症は、後頭部が突き出た状態。
上から見ると、横の幅よりも縦の幅の方が長く見えます。
横向き寝ばかりの赤ちゃんに多いといわれますが、前述の「頭蓋縫合早期癒合症」の特徴でもあるので注意が必要です。
赤ちゃんの頭のゆがみが縦に長いと感じたら、早急に専門医に相談しましょう。
赤ちゃんの頭は柔らかく、ゆがみやすい状態にあります。
きれいな頭の形を保つためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
赤ちゃんの頭をゆがませないために、パパ・ママができることを紹介します。
頭のゆがみは、同じ方向から圧力をかけられることによって生じます。
まだ、首が座っていない赤ちゃんは、「同じ向きで寝かせない」ことが大切です。
時間を変えて仰向け・右・左など、頭を動かしてあげましょう。
また、バウンサーやベビーカー、ハイローチェアを使う場合も、寝かせっぱなしはおすすめできません。
時間が経ったら抱っこしたりおんぶしたりして、頭に圧力がかからないようにしてください。
「タミータイム(tummy time)」とは、赤ちゃんをうつ伏せにして遊ばせること。
赤ちゃんの頭のゆがみを抑える方法として、米国小児科学会により推奨されています。
タミータイムを取れば、赤ちゃんの頭に圧力がかかる時間を減らせます。
ただし、うつ伏せ寝は「SIDS(乳幼児突然死症候群):元気な赤ちゃんが突然亡くなること」を引き起こす危険があるといわれます。
うつ伏せで赤ちゃんを遊ばせるときは、決して目を離さないようにしましょう。
赤ちゃんが眠そうにしたらすぐにやめ、仰向けに戻してあげてください。
睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
参考:Back to Sleep, Tummy to Play – HealthyChildren.org(米国小児科学会)
ドーナツ枕とは、枕の中央がへこんでいたり空洞になったりしている枕のこと。
月齢の低い赤ちゃんに使用すると、頭のゆがみを防ぎやすいといわれています。
ベビーショップなどではごく一般的に売られていますが、効果は個人差があるようです。
枕を受け付けない赤ちゃんなら、購入してもあまり意味はないでしょう。
また、すでに赤ちゃんの頭がゆがんでいる場合、ドーナツ枕のみで矯正するのはほぼ不可能といえます。
頭のゆがみ対策としてドーナツ枕を取り入れるのは有効ですが、期待し過ぎは禁物です。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんにヘルメットをかぶせて頭のゆがみを矯正する治療法です。
元々はアメリカで開発され、現地ではごく一般的に行われているのだとか。
日本では国立成育医療研究センターで導入され、有用性が実証されたといわれています。
ただし、ヘルメット治療が受けられるのは、生後約3カ月から6カ月くらいの赤ちゃんまで。
月齢が低いほど効果も大きいといわれますが、赤ちゃんの首が座らないと治療は受けられません。
赤ちゃんの頭のゆがみが気になる場合は、ヘルメット治療を実施している専門医を訪ねてみましょう。
ここまで読んで、ヘルメット治療に興味が湧いてきた人もいるかもしれません。
「ヘルメット治療ってどうやるの?」「お金は?」等、ヘルメット治療の気になるあれこれを紹介します。
ヘルメットを装着する期間は、平均5カ月となります。
通院は3~4週間に1度なので、それほど負担にはならないでしょう。
ただし、治療期間には個人差があるため、詳細は病院と話し合って決めなければなりません。
ヘルメット治療では、基本「ヘルメットをかぶりっぱなし」です。
1日のうち、ヘルメットを外せるのはお風呂の時間のみ。
当然ながら寝ているときもミルクを飲んでいるときも、ヘルメットは外せません。
とはいえ、最初から付けっぱなしは難しいですよね。
ヘルメット治療を始めるときは、少しずつ装着時間を長くして、赤ちゃんをヘルメットに慣らしていきます。
ヘルメット治療費は、受診する病院・選択するヘルメットなどによって異なります。
個人差が出やすいため一概にはいえませんが、40~60万円くらいが一般的でしょう。
例えば「国立成育医療研究センター」でヘルメット治療を受けた場合は、ヘルメット作成から治療まで合わせて「40万円+消費税」となっています。
一方、「0歳からの頭のかたちクリニック(東京都中央区)」では、「55万5,500円」(スキャン代・ヘルメット治療費・再診料・消費税込)と設定されています。
ヘルメット治療は保険が適用されないため、どうしても高額になってしまいますね。
ただし、医療費控除の対象になることが多いようですので、受診した医療機関や管轄の税務署などで確認してみてください。
ヘルメット治療を受けるときの基本的な流れは、以下のようになります。
ヘルメット治療に対応する病院を探す※
頭部レントゲン検査・スキャン
ヘルメット作成
定期診察
治療終了
※ヘルメット治療のできる医療機関は医療用ヘルメットの開発を行っているアイメットのWEBサイトでも確認できます。
頭部検査やスキャンの結果、「ヘルメット治療は必要ない」と判断されるケースもあります。
赤ちゃんの頭のゆがみが気になる場合は、検査だけでも受けてみるとよいかもしれません。