今見た動物はなに!? タヌキ、ハクビシン、アライグマ…その正体は【都会で生息する野生動物】

公開日:2023/01/31

今見た動物はなに!? タヌキ、ハクビシン、アライグマ…その正体は【都会で生息する野生動物】

先日、息子が通う園から「近隣で“タヌキ”を見かけた、子どもが“タヌキ”に追いかけられたという目撃情報が相次いでいる」と、区役所からの注意喚起の共有がありました。そういえば去年の今ごろ、都心で雪が降った翌日の朝に窓を開けたら、お向かいの大きな家の屋根にいる“ハクビシン”と目があってしまったことを思い出しまして、今回はそんな【都会で生息する野生動物】について考察してみようと思います。

犬でも猫でもない…街中で見かけたのはこの野生動物かも!

「猫みたいだけど、なんか違う!?」「不思議な動物が電線を伝って歩いていた!」などといった経験をされたこと人もいるのでは? その謎の動物、実はタヌキやハクビシン、アライグマかもしれません。

 

タヌキといえば、里山に暮らすイメージが強いですが、日本固有の在来種。東京23区内にはもともと1000匹ほどのタヌキが生息しているといいます。最近でもJRの新宿駅構内を悠然と歩くたぬきが話題になりましたよね。タヌキの行動範囲は狭く、半径数百メートルほどに収まることが多い上、肉食ではありながら果実や昆虫も食べることから、夜に閉鎖される緑地公園などがあれば十分暮らしていけるのかもしれません。

 

一方、目撃情報や相談件数が年々増加しているというハクビシンやアライグマは外来種。もともと日本に生息している生物とは性質が異なるため、生態系に被害を及ぼす恐れがあることが知られています。ハクビシンもアライグマも非常に繁殖力が高く、糖度の高い果物や野菜類を中心にさまざまな農作物への被害を及ぼすことがあります。また、床下や屋根裏から侵入され、人家に住み着かれてしまう場合も。この場合、物音、家の汚損・破損といった被害のほか、フンや尿の細菌がアレルギー症状や皮膚病を引き起こす原因となってしまうこともあるようです。

 

参考:東京都環境局「アライグマ・ハクビシン対策について」

【タヌキ、ハクビシン、アライグマ】の見分け方

この3種類の動物は一見するとよく似ていますが、はっきり異なる見た目の特徴があります。

<タヌキの特徴・生態>

  • 分類

ネコ目(食肉目) イヌ科 タヌキ属

 

  • 大きさ

体長70~80cm、体重は3~5kgほど。

 

  • 見た目の特徴

ずんぐりとした茶色のボディで足が短い。

耳のフチや目から下、足先が黒い。

しっぽが短く先端が黒い。

4本指で犬に似て肉球があり、手先は器用ではない。

 

  • 分布・目撃例

都内各所で生息。皇居周辺・上野公園・明治神宮などでも目撃例あり。

 

  • 行動

夜行性。雑食で果実や種子、昆虫や小動物を食べる。

<ハクビシンの特徴・生態>

  • 分類

ネコ目(食肉目) ジャコウネコ科 ハクビシン属

 

  • 大きさ 

体長60〜65cm、しっぽの長さ40〜45cmほど。

脚は短く、胴体は細長い。

体重は3kg程度。

 

  • 見た目の特徴

鼻先に向けてとがった顔立ちで、「白鼻芯」のとおり、額から鼻にかけて白い線のように毛が生えている。

鼻はピンク色が多い。

5本指で犬に似て肉球があり、鋭い爪を持つ。

 

  • 分布・目撃例

原産は、東南アジア・台湾・マレー半島などの南方系の動物。古くは江戸時代にボルネオ島から持ち込まれた記録があり、戦時中にも毛皮用に輸入されていた。日本全国で分布が確認されていて、東京23区内の生息数も増加している。

 

  • 行動

夜行性。水路や側溝を使ったり、電線、屋根などに登り伝って移動する。日中に過ごすねぐらは複数あり、転々と移動する。雑食。果実や野菜を好み、小動物・昆虫・鳥類の卵や雛も食べる。

<アライグマの特徴・生態>

  • 分類

ネコ目(食肉目) アライグマ科 アライグマ属

 

  • 大きさ

体長40~60cm、体重は3~8kgほど。

猫よりもひとまわり大きく、中型犬程度の大きさ。

 

  • 見た目の特徴

目の周りは黒いマスク模様。耳のふちが白い。

しっぽは太く、5~7本の縞模様。

長い5本の指を持ち、物をつかむことが可能。

 

  • 分布・目撃例

アライグマは北アメリカが原産。1970年代のペットブームの後、逃げ出したり捨てられたりした個体が野生化した模様。2008年には全都道府県で確認され、近年は港区・杉並区・世田谷区など、都内での目撃も増加している。

 

  • 行動

夜行性。水路や側溝を使ったり、電線、屋根などに登り伝って移動する。泳ぎも得意。雑食。果実や野菜を好み、小動物・昆虫・鳥類の卵や雛も食べる。

タヌキがいるならキツネもいるの?

去年、環境省がおよそ20年ぶりに行われたタヌキやキツネなどの全国的な生息分布調査の結果を公表しました。​​それによると、タヌキは東京都や愛知県、大阪府といった大都市圏やその周辺で、分布の拡大傾向がみられたということです。一方、キツネは房総半島などで多くの生息情報が得られましたが、分布が減少している可能性があるということです。​​

 

明治初期までは銀座でキツネが見られることもあったといいます。昔話などでタヌキとキツネはセットのような動物ですが、小動物の他に昆虫や果実も食べる雑食のタヌキに比べてキツネは肉食のため、都内では餌が少なく減少したようです。

 

参考:環境局 報道発表資料「タヌキ、キツネ、アナグマの生息分布調査の結果について​​」

もし、【野生動物】に遭遇してしまったときはどうする?

・近づかない

・追いかけない

・騒がない

・触らない

・食べ物を与えない

 

が原則です。見かけたときはびっくりするかもしれませんが、多くの場合、動物の方が逃げていきます。そして区役所など自治体に報告しましょう。ちなみにこれらの動物は「鳥獣保護管理法」の対象となっていて、自治体の許可なしに捕獲することは禁止されています。

 

そしてこれらの動物が弱っている場合、「かわいそう」「保護してあげたい」と思うかもしれませんが、人間が介入すると、自然界の調整機能が乱れ、生態系のバランスを崩すことにもなりかねません。野生動物に関しては、自然の摂理に委ねることとして、むやみに近づかないようにしましょう。

まとめ

つい先日、羽田空港近くの東京湾でトドが目撃されたというニュースにびっくりしましたが、大阪の淀川に迷い込んだマッコウクジラの“淀ちゃん”も話題になりましたよね。

そういえば、以前遊びに行った新川崎の夢見ヶ崎動物公園では、川崎市内でタヌキの赤ちゃんと間違えられ保護、持ち込まれたハクビシンの兄妹を人工哺育で育てたのち、展示されていました。

思いのほか、野生動物はすぐ近くで生息しているのかもしれません。とはいえ、もし見かけたとしても、「近づかず」「騒がず」そっと静かに見守るようにしましょう。


文/Ai Kano

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