ちょこちょこ動いて、つんと触るとクルッと丸くなるダンゴムシ。見つけやすいし捕まえやすく、子どもたちに大人気ですよね! わが家の年中男子も毎日のように捕まえては、連れて帰ってきます(笑)。幼児がいる家庭ではかなり身近な存在のダンゴムシですが、飼育したことがあるという人は意外と少ないのでは? ダンゴムシって何を食べるの? コンクリートを食べるってホント!? そもそも虫じゃない!? などなど、実はよく知らないダンゴムシの生態、飼育のポイントをご紹介します。
ダンゴムシってどんな生き物?
ダンゴムシは「ムシ」という名前がついていますが、昆虫ではありません。エビやカニなどと同じ甲殻類の仲間であり、等脚目ワラジムシ亜目に分類されています。ちなみに、形がダンゴムシとよく似ているワラジムシやフナムシも等脚目に含まれます。
ダンゴムシは外来生物?
家や公園のまわりなどでよく見かけるのは「オカダンゴムシ」という種類で、ヨーロッパからやってきた外来種です。オカダンゴムシは、明治時代に船の積荷にまぎれてやってきたといわれています。大きさ15ミリほどの「オカダンゴムシ」に対して、10ミリにみたない日本固有の種「コシビロダンゴムシ」も森林や公園で探すことができ、オカダンゴムシと一緒にいることがあります。日本固有の種はそのほかに海辺に住む「ハマダンゴムシ」がいます。
ダンゴムシの足は何本?
ダンゴムシと同じ甲殻類であるカニの足は8本(ハサミは入れず)ですが、ダンゴムシの足の数は14本。子どものうちは12本しか足がなく、成長と共に脱皮を繰り返し、体節が一つ増える事で足の数は左右に7本ずつ計14本になります。これはワラジムシも同じです。
ダンゴムシのオスとメスの見分け方って?
100%正確とはいえませんが、オスは体が黒または濃い灰色一色なのに対し、メスは背中に黄色い斑点模様があり、色も薄い茶色だったり白っぽかったりとバラエティに富んでいます。一番確実な方法は裏返して下腹部を見る方法ですが、すぐに丸まってしまう習性のあるダンゴムシの下腹部を見ることは実際、難しいですよね。この写真はおそらく交尾をしているところ!? 偶然撮れましたが、メスとオスの色の違いがよくわかります。
赤ちゃんをお腹のなかで育てるってホント?
ダンゴムシのメスは、お腹にある「保育のう」と呼ばれる袋のなかに卵を産み、卵を抱えるように育てます。これはカニなどと同じです。子どもは生まれてしばらくは「保育のう」のなかで育ち、やがてその「保育のう」を突き破って出てきます。ダンゴムシの赤ちゃんの色は透け感のある乳白色で、小さいながらも大人とほぼ同じ姿です。一度に生まれる数は、なんと約100匹前後! ダンゴムシの産卵時期は5〜6月頃なので、ちょうど今の時期は身籠ったメスを見つけられるかもしれない……と思っていたところ、卵を抱えているであろうメスを息子が捕まえました。さて、赤ちゃんが見られるかな?
ダンゴムシの寿命はどれくらい?
ダンゴムシは脱皮を繰り返しながら大きくなっていき、約1年で成虫になり、寿命は3〜5年ほど。冬は落ち葉の下などに大勢の仲間で集まり冬眠します。それにしても、意外と長生きでびっくり!
深海にもダンゴムシの仲間がいるらしい!?
キモかわいいと最近人気の深海生物、「ダイオウグソクムシ」も世界最大のダンゴムシの仲間です。大西洋、メキシコ湾の水深200~1000メートルの海底に生息しています。体長は約20〜40センチ、体重は1.7キロに達する個体もあり、なんと猫とほぼ変わらない大きさ! ダンゴムシと同じ雑食で、生き物の死骸など、水中の有機物なら何でも食べるため「海の掃除屋さん」と呼ばれています。
ダンゴムシはなぜ丸くなる?
ダンゴムシは刺激を受けると体を丸めて、お団子のように丸くなります。これは敵に狙われたときに自分の身を守るためで、硬い背中側の殻を盾にして柔らかい腹側をしっかりガードしているのです。この原理は動物のアルマジロとよく似ていますね。
ちなみに、丸まることができないワラジムシは、敵に襲われると、特別な匂い(フェロモン)を出して仲間に危険を知らせるそう。見た目はダンゴムシとそっくりなのに、生き残り戦略が違うようです。
ダンゴムシとワラジムシの違いは?
見た目がそっくりなワラジムシはダンゴムシの親戚のようなもので、自然界での役割などもほぼ同じです。なぜか息子は断然ダンゴムシのほうが可愛いと力説していますが(笑)。違いは刺激を与えてみれば一目瞭然、丸まったらダンゴムシ、丸まらずに素早く逃げたらワラジムシです。
ダンゴムシって何を食べるの?
ダンゴムシは雑食です。枯れ葉や昆虫の死骸などを食べて土に帰す「分解者」の構成員であり、豊かな土壌を作るのに一役買っています。なので、飼う場合はキャベツやきゅうり、ニンジンなどの野菜はもちろん、煮干しやチーズなどもよく食べたりもするのだとか!
ダンゴムシのおやつはコンクリート!?
なんとダンゴムシはコンクリートや石まで食べちゃいます! ダンゴムシの体を覆う殻はカルシウムでできていて、外敵から身を守るための鎧のような役割をしています。この殻を保つためにはカルシウムが必要不可欠なため、都会で暮らすダンゴムシは、コンクリートを食べてカルシウムを吸収しているのです。
脱皮した皮も自分で食べちゃう!?
脱皮をする生物の多くがそうであるように、脱皮したあとの皮は自ら食べてしまいます。これは貴重なたんぱく源を補給するためと考えられています。自分の皮だけでなく、他のダンゴムシが脱いだ皮を食べることも。ちなみに一度に全身の皮を脱ぐのではなく、まず後ろ半分の皮を脱いでから、何日か後に前半分の皮を脱ぎ、少しずつ大きくなっていきます。
ダンゴムシを飼ってみよう!
思っていた以上に雑食なので、飼育するのは実はカンタン♪ ダンゴムシの脱皮を見ることができたり、うまくいけば赤ちゃんが生まれる瞬間に立ち会えるかも!
用意するもの
- 飼育ケース(空き瓶やタッパーケースなどでもOK。その場合は空気穴を開けたラップで等で蓋をして)
- 土or 腐葉土
- 落ち葉や木の枝、石など
- 水(霧吹きがあれば◎)
- エサ(野菜くずやにぼしなど)
飼い方
①飼育ケースに土を入れ、霧吹きで土を湿らせる。
ダンゴムシは乾燥したところが苦手なので、土が乾いてしまわないように、こまめに湿らせておくことがポイント!
②土の上に落ち葉を敷いたり、木の枝や石を配置する。
落ち葉はダンゴムシのエサにもなり、木の枝や石は、ダンゴムシの隠れ家に最適。
③直射日光があたらない暗いところに置いたら準備完了!
さっそくダンゴムシをはなしてみましょう♪ ちなみにダンゴムシは夜行性なので、日中は落ち葉のなかに隠れていることが多く、夜になると歩き回っている姿を見ることができます。
エサに関しては落ち葉だけでも十分ですが、雑食なので野菜くずやにぼし、チーズなど、いろいろあげてみるとおもしろいです。エサはペットボトルのキャップでエサ皿を作ると食べ残しを処理しやすいのでおすすめです。
ダンゴムシと遊ぼう!
ダンゴムシ釣り
ダンゴムシの近くにヒモを垂らすと登ってきて、ヒモを横に張ると上手に綱渡りを見せてくれます!
ダンゴムシ迷路
ダンゴムシには交替性転向反応という習性があり、「右に曲がった後、次の曲がり角では左に。逆に左に曲がった後、次の曲がり角では右に曲がる」というように、方向を左右交互に変えながらジグザグに進む習性のことです。このような行動はアリやゴキブリにも見られます。そこで、本当に左右交互に進むのか、スポンジと厚紙を使って簡単な迷路を作り検証!
小さいダンゴムシと大きいダンゴムシを時間差でスタートさせました。2匹ともまず左に曲がり、小さいダンゴムシが先に右に曲がります。
小さいダンゴムシあれれ? また右に曲がってしまい袋小路へ……。
大きいダンゴムシは左に曲がりました。
大きいダンゴムシはそのままゴール! 華麗な交替性転向反応を見せてくれました。この迷路は何匹か同時にスタートさせて、レースをするとおもしろそう。ただし大き過ぎるダンゴムシの場合は壁を乗り越えてしまうので注意。
参考サイト/参考書籍
自由研究テーマにぴったり! ダンゴムシ博士になろう!/HONDA
みつけた! おもしろ虫 (ちいさないきものずかん)
テントウムシ、ダンゴムシ、アリなど家のまわりで出会えるむしを紹介した入門図鑑絵本。びっくりするような生態がいっぱい。じっくり見て、遊んで、むしと友達になろう。
まとめ
なので、生き物を飼うファーストステップとして、ダンゴムシは最適だと思います。ちなみにダンゴムシ迷路も、子どもの知る意欲を刺激して盛り上がること必至なので、ぜひお試しあれ♡
文/Ai Kano