夏の風物詩のスイカは、みずみずしくさっぱりとした味わいで多くの人々に愛されています。
実はスイカには、私たちの健康にとって大切な栄養素が豊富に含まれていることをご存知でしょうか。今回は、スイカの栄養と効果について、科学的な視点から深掘りしてみましょう。
夏の風物詩のスイカは、みずみずしくさっぱりとした味わいで多くの人々に愛されています。
実はスイカには、私たちの健康にとって大切な栄養素が豊富に含まれていることをご存知でしょうか。今回は、スイカの栄養と効果について、科学的な視点から深掘りしてみましょう。
「夏の果物といえばスイカ」といっても過言ではないほど私たちにとって身近な果物ですが、原産がどこだかご存知ですか?
漢字で「西瓜」と書く理由やスイカの旬、甘いスイカの見分け方もあわせてご紹介します。
馴染み深いスイカですが、原産は南アフリカにあるカラハリ砂漠といわれています。英語でWatermelonというように、砂漠地帯では水の代用品として重宝されたようです。
エジプトでは4000年も前から栽培されていたそうですが、世界的に栽培されるようになったのは16世紀ごろです。
中国ではスイカを西瓜と書きますが、中国に伝わる際にシルクロードを通って西方より伝来したためといわれています。
その後江戸時代に中国から日本にも伝来しました。※諸説あり
スイカの旬は6月上旬~7月中旬ですが、全国で栽培されているため、時期を追うごとに南から北へ順に出荷されています。
最近ではハウス栽培も盛んになり、一年中スイカを味わえるようになっています。
しかし、生産者の高齢化や収穫作業の負荷、核家族化やエアコンの普及により消費が減少したため、産地での栽培面積はここ30年で半減してしまいました。
一玉まるごとのスイカは、持った時にしっかりと重みを感じるものを選びましょう。ヘタの切り口が新鮮で、縞模様がはっきりとしていて鮮やかに見えるものがおすすめです。
また、農家さんの理想通りに結実したスイカは、お尻にある花落ちと呼ばれる部分が小さいそうですよ。
手軽に食べられるカットスイカは、カット面がなめらかで乾燥しておらず、果肉に空洞がないものが新鮮です。また、果肉の赤色が鮮やかで、種が黒々とぷっくりとしている物が甘くておいしいそうですよ。
参考
現在日本の市場に流通しているスイカの種類は20種類ほどです。
大きさや形、果肉の色や皮の違いなどによって分類されており、種あり・種なし・大玉・小玉・俵型・赤肉・黄肉・白肉・縞模様・黒色……などさまざまな種類のスイカがあります。
これらを大きく分けると、以下の4種類に分類できます。
一般的にスイカ割りや、スイカを想像するときのサイズはまさに大玉スイカかと思います。重さは約5~8㎏ある大きなスイカで、よくスーパーで見かけるサイズです。
シャリっとした食感で芳醇な甘さが特徴です。
小玉スイカは小ぶりなスイカで、重さは1.5~2㎏。大玉スイカの約1/3~1/5ほどの大きさです。
昔よりも核家族が増えたことで人気が高まってきています。
果皮が薄いのが特徴で、コンパクトな冷蔵庫にも収まりやすいサイズ感が嬉しいですね。
黄肉スイカは果肉が一般的な赤色ではなく黄色のスイカのことです。優しいまろやかな味わいで、なんと別名はクリームスイカ!
気になった方はぜひ黄肉スイカを試してみてくださいね。
黒皮スイカは一般的な黒と緑の縞模様ではなく、果皮が黒く、果肉は鮮やかな赤色なのが特徴です。デパートなどで売られている「でんすけスイカ」が有名ですね。
他の種類に比べて日持ちするので、お中元や贈答用としても人気です。
参考
夏の代名詞ともいえる甘くておいしいスイカ。実はスイカには優れた栄養素が含まれているのです。
美容に嬉しい栄養素もあるので、この夏はぜひ意識して食べてみませんか?
カリウムは余分なナトリウムを排出するので、塩分の摂りすぎを調節し、むくみを解消する働きがあります。
不足するとだるさを感じたり、食欲不振、精神障害や不整脈を引き起しやすくなったりするため、夏バテで食欲がない時にも摂りたい栄養素です。
一般的に、カリウムが過剰になることはほとんどないといわれています。
しかし、腎機能障害がある方や医師にカリウム制限を受けている方はカリウムの排出が上手くいかないため、スイカなどの果物を食べるときは注意が必要です。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、その名の通り油に溶けるビタミンです。
皮膚と粘膜細胞の抵抗力を強め、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、暗いところでの視力を保ってくれる働きがあります。また、体内に侵入してしまった病原体に対抗するリンパ球などの白血球細胞の発生・分化にも非常に重要な栄養素で、免疫力を高める効果もあるそうです。
ビタミンCは、鉄の吸収促進や免疫力を強化してくれる働きがあります。白血球がウイルスなどと戦う際に発生する活性酸素は正常な細胞までも破壊してしまいますが、その活性酸素の働きをも抑制してくれます。
また、ビタミンCは体内で合成できないビタミンでもあります。コラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素でもあるため、お肌の健康のためにも積極的にとりたいビタミンです。
ビタミンB6は、血や筋肉をつくるたんぱく質の代謝に必要不可欠な栄養素です。
たんぱく質の摂取量が多いほど、ビタミンB6の必要量も増加します。ビタミンB6が不足すると体内でのたんぱく質代謝が滞ってしまうため、代謝アップのためにも積極的に摂りたいですね。
また、ビタミンB6の不足によって体内に増加する「キサンツレン酸」がつわりに関係していると考えられています。ビタミンB6製剤を用いたことでつわりが改善したという研究報告もあるようです。
パントテン酸はビタミンB群の一種で、水溶性のビタミンです。「いたるところにある酸」という意味で命名されたこのビタミンは、名前の通りさまざまな食品に含まれています。
パントテン酸は、エネルギー代謝にとってとても重要なビタミンで、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増やす働きもあります。
さらに、ホルモンや抗体の産生に関与し、抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンを合成するビタミンのため「抗ストレスビタミン」とも呼ばれます。
マグネシウムは、古代ギリシャのマグネシアという地域で採れた「白マグネシウム」という物質に含まれていたことからその名が付いたといわれています。
ほぼ全ての生合成反応や代謝に必須なミネラルで、骨密度の増加や骨折予防など、骨の健康を維持してくれるので、積極的に摂りたい栄養素だといえます。
さらに近年、毎日の食事でマグネシウムを十分に摂っていると認知症予防の可能性があるとオーストラリア国立大学の研究グループが発表しました。
とても重要なミネラルであるということがわかりますね。
シトルリンは聞きなれない栄養成分かもしれません。
血中コレステロールの改善、運動能力の改善、アンモニア解毒などのサポートをしてくれる栄養素です。また、血管の機能が改善されたという研究報告もあります。
βカロテン・リコピンは機能性成分の一種です。
機能性成分は、厳密にいうと生きていく上で必須の栄養素ではありませんが、抗酸化作用や抗発癌作用などといった機能的な効果を期待される成分のことを指します。
βカロテンは体内に入ると必要な分だけビタミンAに変換され、皮膚・粘膜を丈夫にすることで免疫力を高める働きがあります。
残りのβカロテンは体内に蓄積されます。
実はリコピンもカロテンの仲間で、抗酸化作用はβカロテンの2倍もあります。紫外線が強くなるこの時期、皮膚へのダメージを予防・軽減する効果が期待できるそうです。
また、血中のHDLコレステロールも増加させる働きがあります。
リコピンの吸収率が一番高くなるのは朝だそう。朝食のデザートとしてスイカを食べるのも良いですね。
健康に良い栄養素を多く含むスイカ。
たくさん食べればその恩恵を多く受けられそうな気もしますが、実際はどうなのでしょうか。
農林水産省は、1日当たりの果物摂取目安量を200gと推奨しています。スイカでいうと1辺が3㎝のサイコロ状にカットしたスイカ約6個分に相当します。
これは摂取量の少ない人を念頭に置いた目安量で、200g以上の摂取を制限するものではありませんが、たくさん食べればよいというわけでもありません。
健康に良いスイカですが、食べ過ぎると体の冷えや消化不良、カロリーオーバーや血糖値の上昇を招く可能性もあるので、200gを目安に適量を食べるのがよいでしょう。
結論から言うと、妊娠中にスイカを食べても問題ありません。
妊娠中はむくみやすく、つわりによって脱水症状も起こりやすくなります。スイカを食べることで、むくみの改善に効果的なカリウムやシトルリンを摂ることができ、水分補給にもなるのでおすすめです。
ただし、食べやすいからと一度にたくさん食べるとカロリーや糖質の摂りすぎにつながる可能性があります。体の冷えや腹痛、消化不良を起こす場合もあるので、食べすぎには注意しましょう。
スイカにはカリウムが多く含まれるので、腎臓の機能が低下している方は注意が必要です。
カリウム自体が腎臓に悪影響を及ぼすわけではありませんが、腎機能が低下している場合はカリウムを尿中に十分に排出することができず、体内に蓄積してしまいます。
血中のカリウム濃度が上がってしまうと危険な不整脈が起きるリスクなどがあるため、医師からカリウム摂取の制限を受けることがあります。
参考