交通事故は日没前後1時間の「薄暮(はくぼ)」の時間帯に多いといわれています。
事故件数は10月から12月にかけてが最も多く、運転手も歩行者も細心の注意を払わなければなりません。
この記事では、秋に交通事故が起こりやすい理由や、運転手・歩行者それぞれが気を付けるべきポイントをまとめました。
事故が増える季節だからこそ、今一度交通安全についてじっくりと考えてみましょう。
交通事故は日没前後1時間の「薄暮(はくぼ)」の時間帯に多いといわれています。
事故件数は10月から12月にかけてが最も多く、運転手も歩行者も細心の注意を払わなければなりません。
この記事では、秋に交通事故が起こりやすい理由や、運転手・歩行者それぞれが気を付けるべきポイントをまとめました。
事故が増える季節だからこそ、今一度交通安全についてじっくりと考えてみましょう。
秋・冬に交通事故が発生しやすい主な理由は、暗くなるのが早いため。
また日中も油断できるわけではなく、日射しの眩しさに注意が必要です。
秋・冬に交通事故が多いということについて、まずは実際に数字で見てみましょう。
この統計によると年々交通死亡事故は減少傾向にあるものの、月別は12月が最多となっており、10月~12月で事故件数が増えていることがわかります。
それでは、なぜ「秋・冬になると交通事故が増える」のかについて見ていきましょう。
秋分(9月23日ごろ)を過ぎると、昼よりも夜の時間が長くなります。
運転中・歩行中の視界が悪くなり、事故が多発しやすくなるのです。
例えば以下は、東京の2024年7月1日と11月1日の日の入り時刻を比較したものです。
東京の11月の日の入りは、7月より2時間以上早くなっています。
視界の確保が難しく、ちょっとした油断が事故につながってしまうのです。
薄明(はくめい)とは、日の出・日の入り前後の薄明るい時間のことです。
春・夏は日が沈んでもしばらくは明るさが続いていますよね。
灯火なしでも活動できる時間が長く、交通の流れ・状況を把握するのも比較的容易です。
一方で秋・冬は、日が沈んでしまうとすぐにあたりは真っ暗になってしまいます。
薄明の時間が短く、灯火なしでは活動できません。
運転手・歩行者ともに、周囲に注意しながら運転や歩行を行う必要があります。
日の入りからすぐに暗闇がやってくる様子は、まさに「秋の日はつるべ落とし」です。
秋以降の事故は薄暮の時間が長いといわれますが、「日中なら大丈夫!」というわけではありません。
秋・冬は太陽の位置が低く、西日が眩しい時間帯が約1.5倍も長くなる傾向です。
強烈な西日に視界を奪われ、重大事故につながるケースがあります。
また秋・冬は湿度が低く、日射しの透過率が高くなっています。
西日の強さは春・夏よりも強烈で、眩しさも一際です。
刺さるような日射しが直接目に入ると、思わず目を閉じたくなってしまうこともあるでしょう。
西日の眩しさで信号を確認できなくなる・歩行者が見えなくなるなどのリスクが高まります。
秋・冬の死亡事故は、17時から19時までの間が最も多くなっています。
秋・冬の運転で、運転手が知っておくべきリスクについて見ていきましょう。
眩惑(げんわく)とは、対向車のライトによって目がくらんでしまう状態です。
対向車のライトを直視したり、ハイビームが直接目に入ったりしたときなどに起こります。
眩惑の状態は長く続きませんが、一瞬でも視界がきかなくなるのは危険です。
暗くなってからの運転では、対向車のライトを直視しないよう意識する・目線を下げるなどを心がけましょう。
蒸発現象とは、道路を横断中の歩行者などの姿が見えなくなったり輪郭がぼやけたりする現象です。
夜間運転中、対向車のヘッドライトと自車のヘッドライトが交差したときに発生しやすくなります。
蒸発現象が起こると、道路を横断している歩行者に気付くことができません。
運転手が歩行者に気付かず直進してしまうことで、重大事故につながる恐れがあります。
特に雨の日の夜は車のヘッドライトや街灯が乱反射し、視界の確保が難しくなります。
歩行者はもちろん、標識や停止線についてもしっかり確認することが必須です。
秋・冬の交通事故の多くは「歩行者や自転車の視認が遅れたこと」が原因です。
事故を起こさないために、運転手が取るべき対策をご紹介します。
秋・冬は、通常よりも早めの点灯を心がけましょう。
「まだ明るい」と思っていても、秋・冬はあっという間に暗くなります。
目が暗さに慣れない状態で運転すると、歩行者や自転車の発見が遅れてしまうかもしれません。
またヘッドライトを点けることは、歩行者や自転車への警告としても有効です。
運転手の視界が悪いのと同様に、歩行者や自転車も暗さへの変化に対応しきれていないことがあります。
ヘッドライトを点けておくことで、歩行者や自転車も自動車の存在に気付きやすくなるのです。
秋・冬は周囲も車内も薄暗く、スピードへの感覚が鈍りがちです。
「暗いから早く帰ろう」という意識も働きやすく、気付かないうちにスピードが出ていた……というケースが少なくありません。
秋・冬の運転は、通常よりもスピードを落とすことを心がけましょう。
スピードを落として走行していれば、状況の把握も比較的スムーズです。
衝突の危険があるときも、早めにブレーキを踏むことで危険を回避しやすくなります。
特に横断歩道がある場所では、通常よりも速度を落として走行しましょう。
もしかすると、暗闇の中を横断している歩行者がいるかもしれません。
眩惑や蒸発現象は突発的に発生しやすく、避けられない現象であるのが実情です。
運転手にできるのは、こういった現象があることをしっかりと認識し、常に事故のリスクを考えながら運転すること。
周囲の状況に配慮し、危険な兆候を見逃さないようにしましょう。
横断歩道では「歩行者や自転車がわたっているかも」、人通りの多いところでは「飛び出してくる人がいるかも」……、常に「もしも」を意識することが、事故の抑制につながります。
秋・冬の交通事故を防ぐためには、歩行者や自転車側も対策が必要です。
自分が歩行者になったとき、注意すべきポイントをご紹介します。
明度の低い服は暗闇と一体化しやすく、運転手からの認知が遅れてしまうかもしれません。
秋・冬に出歩くときは、黒やグレーではなく、白や黄色、オレンジなどの色を選ぶのがおすすめです。
また街灯の少ないところを歩く場合は、光を反射する素材を身につけることも大切。
反射ベスト、反射タスキ、反射キーホルダー、反射バンド、反射ステッカー……、近年は反射グッズがさまざまあります。
夕暮れ時の外出時に身につけておけば、運転手の視界に入りやすいはずです。
このほか、ライトを持ち歩いて自身の存在を知らせるのもよいでしょう。
薄暮における道路横断中の死亡事故の約8割は、横断歩道以外の場所で発生しています。
道路を横断するときは、必ず横断歩道をわたりましょう。
やむを得ず横断歩道がない場所をわたるときは、必ずしっかりと左右を確認してください。
「十分に余裕を持ってわたれる」と判断できるまで、横断してはいけません。
また横断歩道をわたる場合でも、左から来る自動車には十分に注意してください。
道路横断中の死亡事故の多くは、左側から来る自動車との接触が原因です。
右側の運転手が歩行者を認知してくれたとしても、左側の運転手も認知しているとは限りません。
道路中央で左側の様子を確認し、慎重かつ素早く道路を横断しましょう。
交通事故を防ぐには、家族全員が交通事故の危険性について理解しておくことが大切です。
子どもを交え、家族全員で交通安全について話し合う時間を設けましょう。
特に子どもは事故の危険に対する意識が低い上、交通ルールを十分に理解していません。
保護者が交通ルールの重要性を教えてあげることは、非常に重要です。
家族で交通安全について話し合うときのポイントは、仰々しくしないこと。
いつもの団らんの中で、さり気なく交通安全についての話題を取り入れてみましょう。
「あそこの道路は車が多いから、注意しないとね」「横断歩道はどこにあるか知ってる?」……、子どもの交通安全意識を高めることが、安全な生活につながります。