鬼ってどこから来た? 鬼ってほんとに悪者?|実はよく知らない鬼の由来や節分の正しい作法とは

公開日:2026/01/30

鬼ってどこから来た? 鬼ってほんとに悪者?|実はよく知らない鬼の由来や節分の正しい作法とは

節分は、日本人にとっておなじみの「鬼を追い払う」行事です。恵方巻きを作ったり鬼のお面や大豆を購入したりして節分に備えるご家庭も多いのではないでしょうか?

 

節分での鬼は「追い払われる悪者」ですが、日本の一部地域では鬼を追い払わないところもあります。日本の鬼にはいろいろな種類があって、全ての鬼が「悪」というわけではないのです。

 

この記事では、日本の鬼とは何なのかについてまとめました。鬼の由来や歴史、さらには節分の正しいやり方や地域による違いもご紹介するので、「鬼って何?」「節分って正しくは何をすればいいの?」と気になる方はチェックしてみてください!

「鬼」ってなにもの?

子どもに「鬼を描いて!」と言うと、「角を生やした赤や青の恐ろしい何か」になるケースが多いのではないでしょうか?

 

ここからは、「そもそも鬼って何?」「鬼のイメージってどこからきたの?」という疑問について見ていきましょう。

 

参考:「鬼」の話 :: 同志社女子大学

参考:心の鬼が身を責める|筑紫女学園学園報

鬼の語源は「見えないもの」

鬼という言葉は、「隠(おん/おぬ)」が変化したものとする説が有力です。

「隠」とは、「目に見えないもの」という意味があり、亡くなった人の霊・魂などを意味します。

 

科学が発達していなかった時代、人々には病気や災害の原因や背景を特定することはできませんでした。

病気や災いは目に見えない恐ろしい存在が運んでくると考え、それらを「隠」と呼んでいたのです。

 

やがて中国から死者の霊を意味する「鬼」という漢字が伝わると、「隠」には「鬼」の字が充てられるようになりました。

「鬼=怖い」というイメージが定着

鬼について「恐ろしいもの」「怖いもの」というイメージが付いたのは、説話や物語の影響が大きいと考えられます。

 

例えば平安時代になると、鬼は「人を食べる怪物」として物語に頻繁に登場するようになりました。

鬼の物語は「鬼退治」とセットで語られるようになり、「桃太郎」「一寸法師」など、たくさんの伝説や民話が生まれました。

鬼の外見は「鬼門」からきている

節分のお面や絵本などで見る鬼は、だいたい以下のような見た目をしていますよね。

 

  • 頭に2本の角が生えている
  • パンツは黄色と黒の虎柄

 

鬼がこのような姿をしているのは、「鬼門(きもん)」という考え方が関係しています。

 

昔の人は、陰陽道(おんみょうどう)という考え方に基づいて方角の吉凶を判断していました。

そして北東の方角は「悪い気がやってくる不吉な方角」すなわち「鬼門」と呼ばれ、鬼がやってくると信じられていたのです。

 

ここで重要なのが、昔の方位には十二支(子・丑・寅・卯…)が割り当てられていたということ。

北東の方角は、ちょうど「丑(うし)」と「寅(とら)」の間に位置します。

丑は牛、寅は虎を表しますよね。

 

つまり鬼の姿は、牛と虎という2つの動物が組み合わさって作られたものだということ。

角は牛、パンツは虎を象徴しています。

 

ただし時代によって鬼の姿は変化しており、全ての鬼がこの姿をしているわけではありません。

物語などでは、3本角の鬼・1本角の鬼などが登場することもあります。

よい鬼もいる? 日本の鬼の種類

日本人にとって鬼は「恐怖の象徴」として描かれてきました。

しかし鬼にもさまざまな種類があり、人間を守ってくれる鬼や、神様として祀られる鬼もいます。

ここでは、日本に伝わるさまざまな鬼の種類を紹介します。

 

参考:鬼とは何か──日本文化における「鬼」|株式会社カネタ

参考:羅刹 – 新纂浄土宗大辞典

参考:日本の鬼の交流博物館

参考:鬼神伝説 – 弘前市

参考:2月2日は節分です。|曹洞宗 萬久山龍昌寺

仏教の世界観の鬼

仏教に登場する鬼は、必ずしも悪者ではありません。

むしろ、人間を正しい道に導いたり、仏法を守ったりする存在として描かれることもあります。

▼夜叉(やしゃ)・羅刹(らせつ)

インド神話や仏教に登場する鬼神です。

もともとは人を食べる恐ろしい鬼とされていましたが、仏教に帰依してからは仏法を守る守護神となりました。

▼地獄の鬼

地獄にいる鬼は、死者の罪を裁く役人のような存在です。

悪いことをした人を罰しますが、それは秩序を守るための役割であり、ただの悪者ではありません。

 

地獄の鬼たちは「閻魔大王(えんまだいおう)」の部下として働き、死者に罪を償わせることで、魂を清める手助けをしているともいえます。

日本独自の鬼

日本には、仏教とは別に、独自の信仰や伝説から生まれた鬼もいます。

▼酒呑童子(しゅてんどうじ)

平安時代の京都・大江山に住み、都を荒らしたといわれる鬼の頭領です。

最後には天皇の命を受けた源頼光(みなもとのよりみつ)という武将に退治されました。

 

その首は切られた後も頼光に襲いかかったといわれており、現在も京都の「首塚大明神」に祀られています。

▼茨木童子(いばらきどうじ)

酒呑童子の配下で、唯一生き残った鬼です。

酒呑童子の死後は羅生門に住みつき、人々を襲いました。

渡辺綱(わたなべのつな)に腕を切り落とされましたが、腕を取り返して逃げ去ったという伝説が残っています。

 

なお現在、大阪府茨木市は、茨木童子を「いばらき童子」として、特任大使に任命しているそうです。

 

参考:童子のへや | 観光情報 | 茨木市観光協会 アイランド

鬼神さま

神社というと八百万の神様をお祀りするところですが、全国に4つだけ鬼を神様とする「鬼神社」もあります。

 

  • 青森県弘前市:鬼神社
  • 埼玉県嵐山町:鬼鎮神社
  • 大分市の天満社境内:鬼神社
  • 福岡県添田町の玉屋神社境内:鬼神社

 

いずれの神社でも、「鬼=悪者」ではなく、人々を守る存在、強さの象徴、神聖な存在として大切に祀られています。

 

特に青森県で祀られている鬼は村を助けたという逸話が残っており、村人たちは鬼に感謝して神社を創建したのだとか。

神社の扁額の「鬼」の字には「ノ」(=角)がなく、優しい鬼を表現しているのだそうですよ!

節分の鬼

節分の鬼は、仏教の「五蓋(ごがい)」という煩悩を象徴しています。

煩悩とは、怒りや欲望、怠け心など、人を苦しめる悪い心のこと。

節分に登場する鬼の色には以下のような意味があります。

 

  • 赤 貪欲(どんよく) 
  • 青 怒り、憎しみ
  • 黄 後悔、甘え、我執
  • 緑 倦怠、不健康
  • 黒 疑い、愚痴

 

すなわち節分で「鬼は外!」と豆をまくのは、自分の中の悪い心を追い払うという意味があるのです。

▼なぜ鬼に豆を投げるのか

そもそもなぜ鬼に「豆」を投げるのでしょうか?

これには諸説あります。

1つは、「米・麦・ひえ・あわ・豆」の五穀には精霊が宿るとされ、鬼を払うのに一番粒が大きかった豆が最適とされたという説があります。

他には「魔を滅する」=魔滅(まめ)という語呂合わせから来ているという説もあります。

「心の中の鬼」を追い払って福を呼ぼう! 節分の正しい作法

豆まきの日にち・時間

節分は季節の目安とされてきた「雑節」の1つで、旧暦の大晦日です。日にちは固定ではなく、「立春がいつになるか」によって変化します。

 

立春の日にちは、「太陽が黄道上の視黄経315度の位置を通過する瞬間を含む日」とする決まりです。

したがって立春が2月3日なら節分は2月2日、立春が2月4日なら節分は2月3日となります。

2026年は立春が2月4日であるため、節分は2月3日です。

 

一方豆まきの時間は、鬼がやってくるといわれる「丑寅の刻(午前1時〜5時頃)」におこなうのがよいとされます。

 

とはいえ深夜に豆まきをするのは現実的ではありませんよね。

家族が夕食を終え、ゆっくりできる時間に始めましょう。

豆をまく人

伝統的には、以下の人が豆をまくとされています。

 

  • 一家の主人:家の代表として
  • 年男・年女:その年の干支生まれの人
  • 厄年の人:厄を払うため

 

とはいえ家庭で行う場合は、あまり神経質になる必要はありません。

家族みんなで楽しみましょう。

豆のまき方

豆まきの豆は、炒った大豆を使う決まりです。

生の豆だと芽が出る恐れがあります。

 

まいた豆から芽が出ることは、「邪気や災いがまた芽を出す」として、縁起が悪いと考えられているのです。

このほか、豆を炒ることには「魔を射る(まをいる)」という意味もります。

 

豆まき用の豆を準備したら、以下の手順でまきましょう。

 

  1. 窓や玄関を開けておく(鬼が逃げやすいように)
  2. 「鬼は外!」と言いながら外に向かって豆をまく
  3. すぐに窓や玄関を閉める

 

豆をまくときは、「福は内! 鬼は外!」と言いながらまきましょう。

 

これを家のすべての部屋で繰り返し、最後は玄関で締めくくります。

 

なおまきおわった豆は、自分の年齢+1粒を食べるのが昔からの伝統です。

数え年の考え方で豆を食べることで、来年の分まで先取りして健康を願うという意味があります。

 

ただし、小さな子どもやお年寄りは豆を喉に詰まらせる危険があるので、無理をしないようにしましょう。

鬼はこわくない? 「鬼は外!」とは言わない地域

「鬼は内!」と言う地域・お寺

鬼と関係があったとされる地域では、節分の掛け声も「鬼は内!」などとするところが多く見られます。

 

例えば以下のような地域・お寺では、「鬼は外!」などと鬼を追い出したりしません。

 

  • 群馬県藤岡市鬼石地域:「福は内、鬼は内」
  • 奈良県 吉野山(金峯山寺:きんぷせんじ):「福は内、鬼も内」
  • 兵庫県尼崎市富松地区:「茨木童子の里、鬼は内!」
  • 岡山県 最上稲荷:「福は内、福は内」

 

鬼にやさしい掛け声がある一方で、「鬼をとことん追い払おう!」と厳しい声を挙げるところもあります。

 

例えば宮城県仙台市青葉区の「大崎八幡宮(おおさきはちまんぐう)」では「福は内! 鬼は外!」の後に、「天打ち、地打ち、四方打ち、鬼の目ん玉ぶっつぶせー」と唱えるのが習わしだそうです。

節分が不要な人や「鬼は外」と言いづらい地域も

茨木童子という鬼の腕を切ったのは、平安時代の武将「渡辺綱」でした。

鬼は「渡辺」という名前を見ただけで逃げ出すといわれており、全国でも渡辺さんは豆まきをする必要がないといわれています。

 

また、福島県二本松地域では、かつての藩主の名字が「丹羽(にわ)」でした。

「おには外」というとお殿様を追い出すことになってしまうため「おにーそと」という掛け声が伝わったといわれています。

 

このほか紀伊半島や伊勢志摩地域も、藩主の名前が「九鬼(くき)」であったため、節分では「鬼は外」と言えなかったそうです。

まとめ

鬼は、昔の人々が感じていた「原因のわからないことへの不安」「人間の常識や力が通じないことへの恐怖」の象徴です。
必ずしも悪い存在というわけではなく、地域によっては神様と同様に人々の信仰を集めています。

私たちが節分で「鬼は外!」と追い払うのは、怒り・いじわる・怠け心といった悪い心です。
すなわち節分は鬼をやっつける行事ではなく、心の中をリセットする行事。自分の中の「なまけ鬼」を追い払って、晴れやかな春を迎えましょう!


文/カワサキカオリ

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