秋の味覚として知られる魚といえば、さんまですよね。とはいえ、実際に「全国どこででも食べられる秋の味覚」となったのは戦後になってからと比較的最近です。漁法の発達と漁獲量の増加が、さんまの全国的な普及につながりました。
この記事では、日本人にはおなじみの「さんま」について、生態の秘密や歴史・見分け方を紹介します。これから旬を迎えるさんまをよりおいしく・楽しく味わいましょう!
秋の味覚として知られる魚といえば、さんまですよね。とはいえ、実際に「全国どこででも食べられる秋の味覚」となったのは戦後になってからと比較的最近です。漁法の発達と漁獲量の増加が、さんまの全国的な普及につながりました。
この記事では、日本人にはおなじみの「さんま」について、生態の秘密や歴史・見分け方を紹介します。これから旬を迎えるさんまをよりおいしく・楽しく味わいましょう!
さんまは、脂がのった身とその香ばしさから、秋の訪れを感じる食材として人気です。ここではまず、さんまの特徴をご紹介します。
参考:秋刀魚|食材大百科|神栄株式会社 食品部|業務用冷凍食品のサプライヤー
参考:サンマが獲れない・小さいその理由。温暖化や鮮度重視の戦略が関係? | 魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会
さんまの体は細長く、左右に平たい形です。
銀色に輝く体表は刀のようにも見えるため、漢字では「秋刀魚」の文字が充てられています。
さんまの体の色は、背側は濃い青色、腹側は明るい銀白色です。
これは、海の上から獲物を狙う鳥や、海中で遭遇する大型魚類から見えにくくするため。
同じく、海を回遊するカツオ・マグロなどと似たような配色です。
さんまは脂が多くおいしい魚ですが、その分傷みやすいのが特徴です。
さんまは脂質が酸化しやすいうえ、皮膚が薄く傷つきやすい構造をしています。
水揚げされてから時間が経つと身の色つやが失われ、味わいも落ちてしまうのです。
新鮮なさんまは刺身でも食べられますが、アニサキスなどの寄生虫が付いていることもあります。
おいしく・安全に味わうなら、基本的には焼いて食べるのがおすすめです。
スーパーなどで私たちが目にするさんまは、漁によって獲れた天然のもののみです。
日本では商業レベルでの養殖は確立されておらず、養殖されたものが店頭に並ぶことはほとんどありません。
さんまが広い海を群れで泳ぎながら長い距離を移動する魚であるため、限られた生けすの中で育てるのは難しいといわれています。
天然ものである以上、さんまの漁獲量には海水温や海流といった自然条件が影響します。
どうしても、年によって出回る量や時期にばらつきが出やすくなってしまうのです。
※イメージ画像(Adobe Fireflyにて作成)
現在では秋の味覚として親しまれているさんまですが、昔から今のように好んで食べられていたわけではありません。
さんまがどのような歴史をたどってきたのかを見ていきましょう。
電気のない江戸時代、夜の灯りは行燈(あんどん)でした。
そして行燈の燃料になるのは、魚から絞った魚油です。
脂の多いさんまは、安価な魚油の原材料として、広く流通していました。
菜種油などは価格が高く、当時の庶民には手が届きにくかったといわれています。
比較的安価な魚油の需要は高く、さんまは食用というよりは生活を支える実用的な資源として多く使われていたのです。
さんまは沖合を回遊する魚であったため、効率よく漁獲する手段が限られていました。
しかし網を使った新たな漁法が考案されると、まとまった量のさんまを一度に獲れるようになります。
この漁法はやがて房総沖にも伝わり、江戸時代後期には房総一帯でもさんま漁が盛んに行われるようになりました。
脂ののったさんまが大量に江戸へ運ばれるようになったことで、さんまを食用として味わう庶民も増えました。
安く栄養豊富なさんまは季節の味として江戸の町に浸透し、身近な存在として親しまれるようになったのです。
脂が多くにおいも強いさんまは、身分の高い武士の間ではあまり口にされなかったといわれています。
またさんまが刀を思わせる形をしていたことから、縁起がよくないというイメージもあったようです。
当時の武士とさんまの距離感は、古典落語「目黒のさんま」でも語られています。
さんまは手頃な価格で買える魚の代表でした。
しかし近年は、海水温の変化や漁獲量の減少などの影響で、水揚げ量が少なくなっています。
大きな要因として、日本の沿岸で水温が上昇したことや潮流の変化があげられます。
さんまが生息する場所は、日本から離れた沖合へと移ってしまいました。沖合は従来の生息地に比べて餌が少ないため、さんまが充分に成長できません。
繁殖にも悪影響が出た結果、魚全体の数が減少しています。
また近年は、日本近海でイワシやサバといった他の魚種が増加しました。
さんまが日本近海へ回遊してきにくくなったことも、漁獲量が減少した原因の1つです。
せっかく旬のさんまを食べるなら、新鮮で脂がのったものを選びたいですね。
お店でさんまを選ぶときは、いくつかのポイントを知っておくと、おいしいさんまを見つけやすくなります。
鮮度が保たれているさんまは、身が引き締まっており皮に張りと光沢があります。
表面がみずみずしく保たれているものは、状態がよい証拠です。直接には触れず、見た目の質感を確認してみてくださいね。
全体的に厚みがあり胴回りが太いものは、内部に脂がしっかりと蓄えられています。
頭の後ろから背中にかけてしっかりと肉がついているか・丸みを帯びているかをチェックしましょう。
体色の鮮やかさも重要です。獲れたてのさんまは背側が濃い青黒色をしており、腹側が綺麗な銀色に輝いています。
体表の色つやは徐々に失われていくため、色のコントラストがはっきりしているかどうかは鮮度を見分ける重要なポイントです。
さんまに限らず、魚は鮮度が落ちるとともに目の透明感が失われていきます。
目に濁りがなく澄んでおり、黒目の輪郭がくっきりとしているものは、水揚げされてからあまり時間が経っていないさんまだと判断してよいでしょう。
さんまの口先やお腹の色づきは、餌を十分に食べて栄養を蓄えた個体に見られる特徴です。
脂がしっかりのっており、焼いたときにより濃厚な味わいを楽しめるといわれています。
※ただし最近では、色は関係ないとする説もあります。
さんまの食べ方といえば、塩焼きが定番です。
ここからは、さんまの塩焼きの食べ方をご紹介します。
焼き上がったさんまは、頭を左側、尾を右側に向けて盛り付けるのが基本です。
日本では古くから左側を上位とする考え方があります。
その風習にならって、魚も頭を左向きに盛るようになりました。
さんまの塩焼きを食べるときは、まず中骨に沿うように箸を水平に入れ、上下二つの層に分けます。
箸を頭側から尾側へ動かすとスムーズです。
上側の身から食べ進めますが、一度に大きくほぐすのではなく、少しずつ箸で切り分けながら味わうと、身が崩れにくくなります。
上側を食べ終えたら、同じように頭から尾に向かって下側の身も食べていきます。
さんまの下半分には細かい小骨が集まっているため注意しましょう。
口に運ぶ前に箸で取り除き、皿の奥右側に寄せておくのがおすすめです。
上下の身を食べ終えたら、骨を外す工程に移ります。
ここで表側の身を食べたあとにさんまをひっくり返すのは避けましょう。
日本では尾頭付きの魚を縁起の良いものとする考え方があるため、頭は中骨につけたまま食べるのが基本です。
頭のすぐそばで中骨を軽くつまみ上げ、そのまま尾に向かって骨に沿わせるように箸を滑らせると、身と骨がきれいに分かれます。
骨が尾まで外れたら、尾の部分を折って切り離し、これも皿の奥右側へ移します。
尾をつけたままにしておくと骨と身がうまく分離しません。
頭と中骨は、残りの身を食べやすくするために皿の奥へ移動させておきましょう。
骨を外したら、身の中央に箸を入れて2つに分けます。
内臓も食べられますが、苦みや独特の風味があります。
気になる場合は取り除き、小骨と一緒に皿の奥右側へまとめましょう。
全て食べ終えたら、骨を半分に折って他の骨とまとめると、食後の皿もきれいに整います。