ありのままの自然を満喫できる海では、さまざまな生き物に出合えます。
とはいえ中には危険な生き物も潜んでいるため要注意です。
この記事では、夏の砂浜に潜む「エイ」をピックアップ。
エイの特徴や生態、さらにはうっかり遭遇してしまったときの危険性をまとめました。
万が一、エイに刺されてしまったときの対処法もご紹介するので、ぜひ確認してみてくださいね。
ありのままの自然を満喫できる海では、さまざまな生き物に出合えます。
とはいえ中には危険な生き物も潜んでいるため要注意です。
この記事では、夏の砂浜に潜む「エイ」をピックアップ。
エイの特徴や生態、さらにはうっかり遭遇してしまったときの危険性をまとめました。
万が一、エイに刺されてしまったときの対処法もご紹介するので、ぜひ確認してみてくださいね。
海の中を羽ばたくように泳ぐエイ。
優雅な姿は水族館でも人気が高く、子どもたちの注目を集めています。
しかし、そもそも、エイとはどのような生き物なのでしょうか?
エイの特徴を見ていきましょう。
エイはサメと同様に「板鰓亜綱(ばんさいあこう)軟骨魚類(なんこつぎょるい)」に分類される生き物です。
平べったいエイとシャープなサメが「仲間」だといわれても信じられないかもしれませんね。
しかし、両者は同じ祖先から派生した、れっきとした仲間。
外見だけではサメかエイか分からないものも存在しているんですよ!
サメとエイの違いは、「エラ孔(鰓孔;”えらあな”または”さいこう”)の位置」。
エラ孔が顔に付いているのが「サメ」、お腹についているのが「エイ」
と分類されます。
例えば東北の海や朝鮮半島南岸に生息するといわれる「コロザメ」は平べったく、一見するとエイのよう。
しかし、エラ孔が顔に付いているため、サメなのです。
一方「トンガリサカタザメ」は「サメ」と名前に付いていますが、エラ孔はお腹にあります。
すなわち、こちらはサメではなくエイの一種です。
↓はモノノケトンガリサカタザメです。
エイの生息地は、海水温に左右されません。
暖かい海・冷たい海のどこにでも生息しており、その種類は500以上にも上るといわれています。
エイの中で最も大きいといわれるのは、「マンタ」として親しまれている「ナンヨウマンタ」や「オニイトマキエイ」です。
体長は平均で3~4mあり、大きなものだと9mを超えるといわれます。
ちなみに、エイの多くは「卵胎生」といって、簡単に言うとお腹の中で孵化して、お腹から出てくるときには既にエイの姿になっています。
なんと、ナンヨウマンタの赤ちゃんが1.8mもの大きさで生まれたケースもあるのだとか。
反対に最も小さいといわれるのは、淡水に生息する「マグダレナスティングレー」という種です。
体長20cm程度のコンパクトサイズのため、家庭で飼育する人もいます。
「エイに知能はない」と思う人もいるかもしれませんが、アカエイは簡単な「1を加える足し算」と「1をマイナスする引き算」ができたという研究報告があります。
何も考えていないようでも、私たちが思う以上に、エイには思考能力があるのかもしれません。
参照:ドイツ・ボン大学動物学研究所のベラ・シュリュセル氏らによる研究
また、「マンタがダイバーに寄ってきた」「マンタがダイバーと遊んだ」などという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
マンタは意外に人懐こく、自ら人間に近づいてくることがあるのだそう。
マンタだけではなくアカエイも同様で、人間を怖がらない個体もいます。
↓人間と触れ合う様子の映像はこちら
一般財団法人 沖縄美ら島財団の研究グループは、エイの仲間であるトンガリサカタザメを用いてエイ類が眼を埋没させる仕組みを世界で初めて解明しました。
この研究によると、頭の中に眼を埋没させることができ、その移動距離は眼球一個分とのこと。
なんだ、一個分かと思うかもしれませんが、いやいや、眼が移動すること自体がすごくないですか?
これこそまさに、眼力(めぢから)が強いということなのでしょうね。
エイは淡泊な白身魚のような味わいで、クセがなくおいしい魚介類です。
古来日本では食用に使われており、日本各地にその土地ならではの食べ方があります。
注意点は、鮮度が落ちやすく臭みが出やすいこと。
軟骨魚類の特徴として、エイは死後、強烈なアンモニア臭を放ちます。
下処理をしっかりと行わないと、おいしく食べるのは難しいでしょう。
もしもエイを調理する機会があれば、以下を実行してみてくださいね!
水でしっかり洗う
塩・酒を入れたお湯で表面の色が変わるまで湯通しする
流水に15分程度さらす
魚は水洗いすると鮮度も味も落ちるといわれますが、エイは別。
水でしっかり洗わないと臭みが取れません。
下処理をしっかりして、唐揚げ・煮付けなどでおいしくいただきましょう!
※食す場合は、個人の責任であり、当サイトでは何ら責任を負いません。
日本の海で多く見られるのは「アカエイ」です。
海水浴に行くと、アカエイを身近に見る機会もあるかもしれません。
ここからは、アカエイについて詳しく見ていきましょう。
一般的なアカエイは、体調が1m前後です。中には2m近いものもいるそうなので、個体によって差があります。
外見の特徴は、背中全体が茶褐色をしていること。お腹側は真っ白で、フチ部分は黄味がかっています。
裏側の可愛い「顔」は実は顔ではなく、エラ孔。
エラ孔が「にっこり笑顔」に見えることから、水族館などでは人気者です。
また、ウロコがないのも、エイならではの特徴。
体の表面は粘液で覆われていて、触るとツルツルすべすべしています。
アカエイは、基本的に暖かい海水を好みます。
とはいえ生息地は広く、北海道南部から九州南岸・小笠原諸島周辺で姿を見ることができるでしょう。
淡水でも生きられるため、川を上って都市部まで入ってくる個体もいるんですよ!
またアカエイは、基本的に夜行性です。
昼間は目と噴水孔と尾だけを出し、砂の中でじっとしています。
浅瀬を好んで生息するため、海水浴場の波打ち際付近で目にする機会もあるでしょう。
アカエイの活動が活発化するのは、4~11月頃の比較的海水温が高い時期です。
特に海水温が高くなる7~8月は、元気に活動するアカエイが見られるかもしれません。
また5~9月頃は、アカエイの繁殖期。干潟や浅瀬などでは、アカエイの子どもが泳いでいることもあります。
2021年5月には千葉県でアカエイが大量発生し、ニュースになっていました。
その理由も産卵期で相手を探すために集まってきたところだったとのことです。
ちなみにアカエイは前述の通り「卵胎生」で、卵を体内で孵化させてから子どもを生みます。
1度の出産で5~10匹のチビエイが生まれるそうですよ!
アカエイ最大の特徴の一つは、しなやかなムチのような尾です。
敵に攻撃を受けた際は、尾を振りかざして身を守ります。
アカエイは基本的に大人しい性質で、自ら進んで攻撃してくることはありません。
しかし、アカエイを踏んでしまったり、触ってしまったりすると、パニックになったアカエイが尾を振り回すことがあります。
気を付けたいのは、
尾に「毒棘(毒針または尾棘)」が付いているということ。
万が一刺されてしまうと、かなりの激痛に襲われます。
激痛は90分程度続き、その後6~48時間かけて徐々に毒が抜けていくそうです。
どのような症状が出るかは人によりますが、ひどい場合は呼吸困難・けいれん・発熱・下痢・発汗・嘔吐・湿疹等を発症します。
アナフィラキシーショックで命を落とすケースもあるため、くれぐれも尾には触れないようにしましょう。
また、アカエイの毒棘は、両刃のノコギリのような返しが付いている点にも要注意です。
棘が皮膚に刺さるとなかなか抜けない上、外し方を失敗すると針が皮膚に残ってしまう危険もあります。
アカエイの毒棘は鋭く、ゴム靴くらいは簡単に貫通してしまいます。
たとえウォーターシューズを履いていたとしても、アカエイを踏むのは厳禁です。
水族館などでは、棘が切断されているなど、刺されないようにしている場合が多いです。
エイの毒棘はこちら↓
アカエイは砂の中に埋まっているため、気付かずに踏んでしまうケースもあります。
海水浴中にアカエイに刺されてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?
アカエイに刺された後、すべきことを紹介します。
まずは、刺された部分を塩水や水できれいに洗いましょう。
棘が刺さったままになっている場合は、取り除いてください。
ペンチやピンセットがあると、スムーズに除去しやすいでしょう。
ただし、刺されたのが頸部や胸部、腹部などの場合、うかつに抜くと危険なケースもあります。
刺された箇所や程度に関わらず自己判断を避け、医療機関に任せた方が安心です。
出血がひどい場合は、早急な止血も必要となります。
アカエイの毒はタンパク性で、熱に弱いといわれています。
痛みがひどいときは火傷しない程度のお湯に患部を浸すとよいでしょう。
なお、口で吸って毒を出す方法もありますが、口内の傷に毒が付着するおそれがあります。
2次被害を受けないよう、吸い出しは控えた方がよいかもしれません。
その場での応急処置が終わったら、すぐに医療機関に向かいましょう。
痛みが収まったように思えても、再発する可能性があります。
また、体内に毒棘が残ったままになっている場合、体内にずっと毒が送られることとなります。
「そのうち収まるだろう」と安易に構えず、迅速な行動が必要です。
特に刺されたのが子どもの場合、どのような症状が出るか分かりません。
状態が悪いと判断される場合は、ためらわずに救急車を呼ぶことも必要です。
場合によっては、医療機関で破傷風の予防注射が必要なケースもあります。